Interviewインタビュー

歩んできた道、これからの想い

おかざき足の血管外科痛みのクリニック

院長 藤原 圭史

愛知県岡崎市にある「おかざき足の血管外科痛みのクリニック」。院長の藤原圭史先生は、学生時代に迷いながらも医師の道を選び、仲間との出会いや家族への想いを大切にしながら歩んできました。開業後はスタッフとの関わりや経営の工夫に苦労することもありましたが、地域の患者さんに寄り添い、安心できる医療を届けたいという気持ちは揺らぐことがありません。本インタビューでは、藤原院長が医師を志した原点から開業に至るまでの歩み、そしてこれからの地域医療への思いを語っていただきました。

地域に根ざして歩む、おかざき足の血管外科痛みのクリニック院長のストーリー

医師を志した原点と開業への決断

藤原先生が医師という道を選ばれたきっかけを教えていただけますか?

実は、高校生の頃は医学部か建築学部かで迷っていました。建築は、家やビル、特に遊園地が好きで、「世界一怖いジェットコースターを作ってやる」と本気で思っていた時期もありました。一方で、人間の体にも興味があり、どちらに進むべきか悩んでいましたね。浪人時代は、医学部を目指す仲間が多くいる環境に身を置き、彼らの志の高さに触れたり、「医学ってこんな側面もあるのか」と知るうちに、どんどん興味が湧いていきました。仲間たちとの出会いが、医師になるという決意を後押ししてくれたんだと思います。

いくつかの病院に勤務された後、開業に踏み切られたきっかけは何だったのでしょうか?

もともと開業するつもりはありませんでした。開業する前は運動器カテーテル治療という細いチューブを使った新しい治療を行っており、これは保険診療外の治療になるですが、今までにない新しいアプローチの治療法で、他の病院で治らなかった痛みなくなり患者さんが喜んで帰っていく姿を見て、とてもやりがいを感じていました。ただ、治療を続けていくうちに、「もし自分がやるならこうするのに」という思いが少しずつ芽生え始めたのと、もっと自分の人生を自分で舵を取って生きていきたいと思い、地元愛知で開業しようと決断しました。

開業で直面した課題と得られたやりがい

開業されてから、特に苦労されたことはありますか?

これは多くの先生方も同じだと思いますが、やはりスタッフの採用と定着ですね。幸い、全員が一度に辞めてしまうようなことはありませんでしたが、家庭の事情などで退職するスタッフは少なからずいます。その度に採用活動を行い、新しいスタッフを教育していくのですが、その負担が既存のスタッフにかかってしまうこともあります。当クリニックのような比較的小さな組織では、スタッフ一人ひとりの言動が全体に影響するため、人間関係の調整には気を遣います。採用面接では、技術的なスキルはもちろんですが、協調性があり、周りのスタッフと仲良くやっていけそうな方かを見極めるようにしています。もちろん、短時間で見抜くことは難しいですが、なるべく「みんなでフォローし合いながらやっていこう」という雰囲気を作っていきたいと思っています。

逆に、開業されて良かったこと、幸せを感じる瞬間はありますか?

私にとって一番うれしい瞬間は、患者さんの痛みや症状が和らぎ、その方が笑顔になってくださる時です。開業医というと「手術やカテーテルなど、自分のやりたい医療ができなくなる」というイメージを持たれることもありますが、私の場合は開業後も、自分が本当に追求したい医療を実践できています。それは大きな喜びであり、この道を選んでよかったと心から感じる点です。

専門分野から広がる医療の可能性と今後の挑戦

藤原先生の専門分野について教えていただけますか?

私の専門は放射線科です。放射線科医は、MRIやCTなどの画像を見て診断する画像診断が主な役割ですが、実はカテーテル治療も得意としています。脳外科や循環器内科といった特定の臓器を専門とする科とは異なり、放射線科医はカテーテルを使って全身のさまざまな部位の治療を行うことができます。私自身、カテーテル治療をやりたかったので、この分野を選びました。画像診断は場所を選ばないので、以前はハワイに滞在しながら日本の夜間の読影(画像を読んで診断すること)を行うという試みもしていました。テクノロジーをうまく活用すれば、場所にとらわれない働き方ができるのもこの分野の魅力ですね。

システム導入で成功したと感じたものはありますか?

自動精算機やウェブ予約システム、電話応対サービスなど、一般的なものが多いですが、導入して良かったと感じています。私は別の場所でも勤務することがあるので、開院していない時間帯に電話応対サービスが対応してくれるのは助かっています。また、医師が行わなければならない書類仕事を減らすために、チャットGPTなども活用しています。他には、レセプトチェックで病名漏れを指摘してくれるサービスなども導入しています。

集患については、どのような取り組みをされていますか?

ウェブ広告や、年に1回ほどチラシを出すといった取り組みをしています。ただ、リスティング広告がどれだけ実際の来院につながっているかは、厳密には判断が難しい部分もありますね。

2〜3年後を見据えたとき、どのようなクリニックにしていきたいか、ビジョンがあれば教えてください。

特に大きなビジョンはありません。今後やってみたいこととしては、今は医師は私一人で診療を行っていますが、将来的にはドクターをもう一人採用したいと考えています。ただ、当クリニックで行っているカテーテル治療は特殊な技術なので、誰でもすぐにできるわけではありません。当院に来ていただいたら、一から技術を教えて、一緒にやっていける仲間を増やしたいと思っています。また、患者さんの数をやみくもに増やすのではなく、一人ひとりの患者さんに質の高い医療を提供し続けることを大切にしています。患者さんの数が一定数を超えると、どうしても医療の質が低下してしまいますからね。効率的な運営を追求することで、医療の質を維持しつつ、スタッフの給与も上げていけるようなクリニックにしていきたいです。

クリニック経営の工夫と同じ道を歩む医師への言葉

開業を考えている先生方や、同じような境遇の先生方に向けたメッセージをお願いします。

自己実現の場として、開業はとても良い選択肢だと思います。人生一回しかないので、やりたければチャレンジするといいと思います。ただお金の面で一つアドバイスするとしたら、「大きな借り入れは避けた方がいい」ということです。特に保険診療がメインとなる科の先生方は、今、物件費や人件費がかなり高騰しています。これほどの借り入れをして、果たして返済していけるのかと心配になるようなケースも目にします。経営が安定しないと、結局税金と借入返済後の手取りが勤務医時代よりも大幅に下がってしまうこともあり得ます。そういった面も考慮した上で、慎重に開業を進めることが大切です。

Profile

院長 藤原 圭史

おかざき足の血管外科痛みのクリニックの院長 藤原先生は、学生時代に医師を志し、放射線科で経験を積んだのち、地域医療に貢献したいという思いから開業を決意しました。勤務医時代に培った知識と技術を活かしながら、患者さん一人ひとりに寄り添った診療を大切にしています。開業後はスタッフとのチームづくりやクリニックの運営にも力を注ぎ、地域の方々に安心して通っていただける医療を目指して日々取り組んでいます。

会社情報

医院名

おかざき足の血管外科痛みのクリニック

設立

2022年