Interviewインタビュー

歯科医師を目指した原点と地域医療への想い

玄和堂歯科診療所

院長 寺師 史峰

玄和堂歯科診療所は、東京都目黒区において、地域に根ざし、質の高い保険診療と専門性の高い治療を提供する歯科診療所です。保険診療を基本としながらも、大学病院の専門医を招くなど、設備と技術に妥協しない診療姿勢は、地域の方々から大きな信頼を集めています。 今回のインタビューでは、院長の寺師 史峰先生に、歯科医師を志した原点から、妥協なきクリニックづくり、そして「後悔などあろうはずがない」と語る医療にかける熱い信念についてお話を伺いました。

玄和堂歯科診療所:寺師 史峰 院長の挑戦–地域とともに歩み、後悔なき歯科医療を追求

歯科医師の道を選ぶまでの物語

まずは、先生が歯科医師を志されたきっかけについて教えていただけますか?

実は高校を卒業してすぐに歯学部に進学したわけではありません。一度は一般大学に進み、その後はサラリーマンとして働いていました。ただ、実家には医療関係者が多く、特に医師が多かったことから、医療に対する憧れはずっと胸の中にありました。 当時は勉強が得意ではなく、現役で医学部や歯学部に入れるほどの実力はありませんでした。それで一度は別の道を選んだのですが、どうしても諦めきれなかった。29歳で再受験を決意し、勉強をやり直して歯学部に進学しました。

開業については、どのような経緯があったのですか?

以前から開業は考えていましたが、物価や家賃が高騰していて、理想的なクリニックを実現するのは難しい状況でした。特に広い面積が必要だったので、家賃との折り合いがつかず、一度は諦めかけました。そんな中で地元・目黒区に、広さも家賃も条件に合う物件が見つかり、「ここしかない」と感じて開業を決めました。それまでは勤務医として経験を積んでいました。

実際に開業してみて、一番大変だったことはどんなことでしょうか?

やはり材料費の高さと保険点数の低さです。保険診療で最高レベルの治療を行おうとすると収支が合わないのが現実です。それでも多くの患者様が保険診療を希望されるので、その中でいかに良い治療を提供できるかが私の使命だと考えています。

地域に根ざした診療にこだわっているのですね。

はい。私の家系は医歯薬獣幅広い各科に医療人として三世代にわたり従事してきております。だからこそ「診療所らしくあること」を大切にし、基本を崩さず真摯に取り組んでいます。SNSや派手な内装で集客する医院も増えていますが、私たちはそうした方法は取らず、地域の皆様に信頼される真面目な歯科診療所であり続けたいと思っています。

質の高い医療を支える体制と、求めるもの

スタッフ体制が充実していると伺いました。現在どのくらいの人数で診療されているのですか?

勤務医を含め歯科医師が7名、歯科衛生士が3名、助手と受付が2名で、全部で12名の体制です。

採用にあたっては、先生なりの基準があるのでしょうか?

全員に「教育係を任せられる人材」であってほしいと願っています。具体的には専門医資格を持っている、大学院を修了している、臨床経験は最低10年以上へあるといった条件のもと、歯科医師や衛生士は私が以前から信頼してきた方に声をかけました。経験が浅い先生は採用していません。さらに口腔外科のオペの際には、大学病院、総合病院にて口腔外科部長や講師を努められている先生方にも来ていただいています。また、開業後に新しく採用した歯科衛生士にも積極的に「勤務時間内での学びの場」を設けるようにしており、将来的には教育係として活躍できるような人材育成にも力をいれています。

先生ご自身が診療で意識していることや、やりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか?

常に「保険で最高の治療をする」ことを意識しています。そして「先生、上手ですね」と言っていただける時が一番嬉しいですね。中には他院で治らず、不安を抱えて来られる方もいますが、そうした方が「ここでは治った」と笑顔を見せてくださることが、私にとって大きな喜びです。「真面目で働き者の先生だ」と言っていただくこともあり、本当にありがたく感じています。

「後悔などあろうはずがない」という熱い信念

今後の目標や夢についてお聞かせいただけますか?

直近の目標は診療スペースを広げることです。特に口腔外科のオペは予約がすぐに埋まってしまうため、より多くの患者様に対応できるようにしたい。さらに設備を充実させ、質の高い医療を提供できる体制を整えたいと考えています。 そして、私自身の目標は、引退するときに「後悔などあろうはずがない」と言えることです。イチロー選手の言葉ですが、私も同じように、毎日歯科医療に全力で向き合い、やりきったと胸を張れる人生にしたいですね。

最後に、これから開業を目指す医師の方々にメッセージをお願いします。

何よりも大切なのは腕を磨くことです。私は歯科医師になってから今日まで休みは皆無、毎日診療室とアパートの往復だけです。足りないセンスをテクニックで超えるために腕を磨くことのみに注力しています。医療にはテクニックセンシティブの壁を超える道具や薬剤は永久に出現しません。最終的には自分の腕のみが頼りです。 腕がなければ信頼も集まらず、人材も育ちません。これから歯科医師として開業するなら「地域で他院他科と連携して集患を伸ばす」「極小規模で経営する」「診療の軸足を訪問に置く」のいずれかが生き残る道だと思います。私はその中でも「地域連携で集患を伸ばす」が王道であり、確実な道だと確信しています。ただし、どの道に進むにせよ基本術式の徹底と、アドバンス的な治療を行う上で必要となるセンスの壁をテクニックで超えるまでの、血がにじむ努力は必須です。我々が、先人の失敗から学び改善を積み重ねていくことは、診療科の如何に関係なく医師としての使命です。どうか、何があっても学ぶことを止めないでください。

Profile

院長 寺師 史峰

玄和堂歯科診療所の院長の寺師 史峰先生は、「保険で最高の治療をする」という強い信念のもと、日々診療にあたっています。一度は一般企業へ就職するも、医療への志を諦めきれず29歳で歯学部に再入学。歯科医師となってからも、「休む間もなく」自己研鑽を続けるストイックな姿勢で知られています。 その揺るぎない理念から、診療所の設備には特にこだわり、一般歯科でありながらセファロ(矯正用レントゲン)やCTを完備。さらに、専門医の資格を持ち、大学病院の講師を務めるような経験豊富な歯科医師をヘッドハンティングで招き、質の高いチーム医療を実践しています。 地域密着型の信頼を大切にしながら、高度な技術と最新の知識をもって、患者一人ひとりの要望に応えることを自身の使命としています。その目標は、「歯科医師を引退する時に『後悔などあろうはずがない』と言えること」と語る、真のプロフェッショナルです。

会社情報

医院名

玄和堂歯科診療所

設立

2024年