医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
会田 梓 院長が目指す、温かみのある医療と未来へのビジョン
銀座内科Ginza Medical Clinic
院長 会田 梓
華やかな街、銀座の一角に位置する「銀座内科Ginza Medical Clinic」は、糖尿病や甲状腺疾患といった内分泌代謝領域の専門医として、質の高い医療を提供されています。院長の会田 梓先生は、長年の臨床経験と研究活動で培われた確かな知識と技術で、患者様一人ひとりの心と体に深く寄り添う医療を目指しています。開院から間もないながらも、すでに多くの患者様から厚い信頼を得ている会田先生に、医師を志したきっかけから、クリニック経営に対する想い、そして今後のビジョンについて詳しくお話を伺いました。会田先生の温かいお人柄と、医療への真摯な姿勢が感じられる貴重なインタビューです。
—医師を志されたきっかけと、現在の専門領域について教えていただけますでしょうか?
はい。医師を志すきっかけとなったのは、開業し、元気に働いていた祖父が病気になったことです。 通院を繰り返す祖父と、支える家族をみて、「病気を持っていても、できるだけ快適に暮らせるようなサポートができる仕事に就きたい」と強く思ったんです。 また、両親や親戚のほとんどが医療従事者だったという環境も、自然とこの道へ進む後押しとなりました。
—主にどのような病状を専門とされているのでしょうか?
私の専門は、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症)といった生活習慣病、そして最近話題の肥満症です。さらに、糖尿病専門医と合わせて内分泌の専門医でもあるため、甲状腺疾患や、脳の下垂体、性ホルモンに関わる更年期障害など、ホルモンを扱う分野も専門としています。
—大学病院でも活躍されてきた先生が、開業という道を選ばれたのはなぜでしょうか?
はい。勤務医の生活も大学院での研究生活も、刺激的で非常に楽しかったんです。研究の場にいる方が、国際交流の点も含め、世界との関わりも深く、自分にとっては興味深いことがたくさんありました。 しかし、私の両親や祖父母が開業医であったこともあり、開業に抵抗感はありませんでした。そして、父が亡くなる前に、「開業医も素晴らしい仕事をしている先生はいるから、開業も一つ考えてほしい」という言葉をかけてくれたことが、大きなきっかけとなりました。父は、開業医は患者さんとより近い関係で病気を治せる、病気だけでなく患者さんの精神的な面にも向き合える医師が育つ、と考えていたんです。この父の言葉が、私の心に響き、開業を決意しました。
—勤務医時代に、特に「つらい」と感じた時期はありましたか?また、どのように乗り越えられたのでしょうか?
医師になりたての頃は、当直や長時間労働も多く、肉体的にも精神的にもハードでつらいと感じることもありました。当時の医療現場には働き方改革のような制度がまだなく、裁量労働制のような形でかなり長時間働くことも珍しくなかったためです。 また、血液内科を目指していた時期があり、「死」が身近にあるという現実に直面し、精神的にきつい時期もありました。昨日まで元気だった方が突然重い病気になったり、救急搬送されてきた方が亡くなったりといった経験を通して、「死」がすぐ近くにあることを知ったんです。 ただ、だんだんと臨床の経験を積んでいく中で、病気の流れが予測できるようになり、冷静に患者様に向き合えるようになりました。また、後輩たちと一緒に勉強したり、臨床の場から研究の場へ移ったりと、自分の世界が広がっていくうちに、仕事が「楽しい」と思えるように変わっていったんです。つらい時期を乗り越えて、今は本当にこの仕事が楽しいと思えています。
—「銀座」という場所を選んだ理由と、地域の特性を考慮したクリニックの特徴を教えてください。
銀座は様々な方が集まる場所です。近隣にお勤めのビジネスパーソンの方や、外国籍の方なども多く、専門性を活かした質の高い医療を提供できる場所だと考えました。 地域の特性として、美容や健康への意識が高い方が多いと感じています。そのため、当院では専門である糖尿病や肥満症の治療において、単なる病気の治療に留まらず、体質改善や健康寿命の延伸といった患者様のニーズにも応えられるよう取り組んでいます。また、英語対応にも力を入れ、外国人の方にも安心して受診していただける体制を整えています。
—クリニックの顔となる集患の部分で、会田先生がこだわって導入されたツールや戦略があれば教えてください。
集患では、ウェブ戦略、特にホームページ作りに最も力を入れました。ホームページはクリニックの看板になると考えているので、デザインや構成にこだわり、専門性や当院のカラーがしっかりと伝わるように作り込みました。 当院のホームページは、文字情報が多くても読みやすく、専門的でありながらも洗練されているとご評価いただくことが多いです。これは、単に情報を載せるだけでなく、患者様にとって必要な情報が分かりやすく整理されていることが重要だと考えているからです。ウェブを介して、当院の医療に対する姿勢が伝わるように工夫しています。 また、集患だけでなく、採用も念頭に置いた体制づくりも重要です。最初から多くのスタッフを雇用するのではなく、まずは少人数で始め、患者さんが増えてきたら、徐々にスタッフを増やしていくという方針で進めています。
—患者様とのコミュニケーションで大切にされていることや、印象的なエピソードがあればお聞かせください。
患者様とのコミュニケーションで大切にしているのは、「心」と「体」の両面から向き合うことです。体の具合が悪くて来られる方は、精神的にも疲れていることが多いので、ホスピタリティを持って接し、少しでも癒やされて帰っていただけるように心がけています。 開業医は患者様との距離が近いため、一人ひとりの患者様の人生を考え、その方にとって最適な治療や指導を行うことができます。例えば、最初は薬を拒否していた患者様が、私の説明を聞いて納得し、治療を始めた結果、体調が劇的に改善された時には、大きな喜びを感じます。また、患者様から「先生のクリニックに来ると安心する」と言っていただけることが、何よりの励みになります。
— スタッフ採用や育成で重視していることは何でしょうか?
スタッフには、仕事にやりがいを感じ、自己成長できることを重視しています。当院では単なる受付業務だけでなく、例えば栄養指導に興味を持ったスタッフには、その分野の知識を深められるようサポートするなど、主体的に学べる環境を提供しています。 また、チームとしての調和も大切です。患者様から「ここのスタッフは感じが良い」と言っていただけることは、スタッフ自身の喜びとなり、モチベーションにつながります。スタッフが互いに協力し合い、患者様に対して温かい対応ができるチームであることが、クリニック全体の質を高めると信じています。
—多忙な医師として、「ワークライフバランス」についてどのような考えをお持ちでしょうか?
勤務医時代は、プライベートの時間を十分に取れない時期もありました。仕事はもちろん好きですが、人生を長く豊かに送るためには、仕事以外の時間も大切にするべきだと考えています。 開業した今、ある程度自分の裁量で働く時間をコントロールできるようになったので、今後は仕事の割合を調整し、趣味やプライベートの時間を増やしていきたいと思っています。もちろん、健康管理は怠らず、健康を維持しつつ、仕事以外の分野、例えば音楽やスポーツなども楽しめるように、人生設計をしています。
—ワークライフバランスを整えながら質の高い医療を提供するために、今後クリニックで取り組んでいきたいことはありますか?
将来的には、大規模な分院展開ではなく、私自身の目が届く範囲で、医療の質を維持・向上させていくことを目指しています。 具体的な取り組みとしては、医療機器の拡充や、検査体制の強化などを検討しています。フロアを増やして設備を充実させる可能性はありますが、患者様との関係性を壊さないよう、アットホームで温かみのあるクリニックの規模感は保ちたいと考えています。 また、医療業界は常に変化しています。診療報酬の改定やAI技術の進化など、新しい情報に常に耳を傾け、変化すべきところは柔軟に対応していく必要があります。患者様にとって、時代に合った最高の医療を提供し続けることが、今後の大きな目標です。
—最後に、これから開業を目指す医師や、同じ道を歩む先生方に向けたメッセージをお願いします。
私自身、開業してまだ一年しか経っていませんし、今後も診療報酬の問題など、厳しい状況は続くかもしれません。しかし、開業は、患者さんとじっくり向き合い、自分の理想とする医療を実現できる最高の場所です。 周りの意見に惑わされることもあるかもしれませんが、ご自身の診療に対する強い信念と、患者様に対する情熱があれば、必ず道は開けます。「今やろうとしていること」に自信を持って、前向きに頑張ってほしいと思います。私たち開業医も、お互いに情報交換しながら、この難しい時代を乗り越えていきましょう。
Profile
院長 会田 梓
「銀座内科Ginza Medical Clinic」院長の会田 梓(あいだ あずさ)先生は、北里大学医学部医学科を卒業後、東京大学大学院医学系研究科にて博士課程を修了されました。日本赤十字社医療センター、東京大学医学部附属病院、聖路加国際病院など、名だたる医療機関で経験を積み、糖尿病・代謝内科、内分泌代謝科の専門医として活躍。特に、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病や、甲状腺疾患などの内分泌領域を専門とされています。大学病院での臨床と並行して研究にも尽力され、多忙な勤務医生活の中で、より患者様の近くで、きめ細やかなサポートを提供したいという想いから、2024年より銀座に「銀座内科Ginza Medical Clinic」を開院されました。会田先生は、総合内科専門医の資格もお持ちで、内科全般の診療にも対応されています。その豊富な知識と経験、そして温かいお人柄で、患者様の「心」と「体」の両面から支える医療を実践されています。