医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
「正しい治療」と「予防」を両立し、患者さんの未来を守る歯科医療
Savy Dental Clinic
院長 木方 一貴
岐阜県岐阜市にある「Savy Dental Clinic」は、2025年3月に開院した新しいクリニックです。院長の木方一貴先生は、大学病院で歯科保存学の助教を務め、日本歯科保存学会の認定医・専門医として高い技術と学識を兼ね備えています。特に「エンド(根管治療)」を専門としながらも、クリニックのスタイルとして「予防」を重視されているのが特徴です。その信念の背景には、患者さんに寄り添い、将来にわたって口腔内の健康を維持してほしいという熱い想いがあります。今回は、木方先生のこれまでの歩み、クリニックの診療へのこだわり、そして今後のビジョンについて詳しくお話を伺いました。地域密着でありながら、妥協のない最高レベルの治療と予防を提供し続けるSavy Dental Clinicの魅力に迫ります。
—まず、歯科医師になろうと思われたきっかけを教えていただけますか?
実家が歯科医院を経営していまして、明確なきっかけがあったというよりは、流れでそうなったという感じなんです。自分の選択肢の中で、一番妥当性が高いというところから歯科医師の道に進みました。その後、大学病院に在籍しながら、歯科医療という分野にのめり込んでいった、という経緯ですね。
—開業を考えられたのはどのような理由からでしょうか?
実は、元々は実家を継ぐつもりでいました。ただ、私はずっと大学病院にいて、一度大学を辞めようと思ったタイミングがあったんです。その時、父はまだ引退するには早すぎると考え、一緒に実家で働くという選択肢がなくなりました。それなら、自分の理想とする歯科医療を実現できる環境を自分で作るしかないと考え、開業に至りました。
—木方院長の専門分野、そしてクリニックの診療スタイルについて教えてください。
私の専門は「エンド」、つまり歯内療法(根管治療)です。歯の内部の治療ですね。しかし、クリニックのスタイルとしては、エンドに特化するのではなく、「予防」を一番に重視しています。
—予防を重視される理由と、先生の考える「予防」について詳しく聞かせていただけますか?
私にとって、予防も治療も本質的には同じなんです。どんなに良い治療をしても、その後の予防ができなければ、虫歯や歯周病が再発してしまう。それは何の意味もありません。逆に、予防を成功させようと思ったら、そもそも最初の治療がしっかりできていないと予防はうまくいきません。質の高い治療は、すなわち最高の予防につながります。だから、「良い治療をすることが、全て予防につながる」というコンセプトで診療しています。
—「良い治療」とは、具体的にどのようなことでしょうか?
例えば、コンポジットレジン(詰め物)が精密にできなければ、そこから二次的な虫歯になるでしょう。歯周病になる原因にもなります。つまり、自分の持てる限りの全力を尽くして、一つ一つの処置を丁寧に行うということです。当院では、1回の診療に1時間という予約枠を確保し、時間をかけて丁寧に、妥協のない治療を行うことを徹底しています。
—予防に力を入れるというスタイルだと、患者さんも選ばれるということでしょうか?
そうですね。当院では「通う意思があるかどうか」を非常に重視しています。治療だけをして終わりにするつもりは全くありません。治療後のメンテナンスも含めて、一緒に口腔内の健康を守っていける方に通っていただきたいです。メンテナンスに来ない方、何度も予約をキャンセルする方などは、治療を始めても最終的な結果に結びつきません。私は時間と労力をかけて全力で治療しますので、お互いにとって苦痛にならないためにも、継続して通院するという意欲のない方は、お断りすることもあります。
—経営者としての理念や、大切にされている考え方はありますか?
経営理念はとてもシンプルで、「正しいことを真面目にやる」ということです。真面目に、そして丁寧にやる。それに尽きます。そうすれば、お金は後からついてくると思っています。今はまだ苦しんでいますけどね(笑)。この考え方は、スタッフにも共有しています。最高の治療をしてくれればいいと伝えていますし、そのために1時間という時間を設けているのです。
— 今後、2〜3年でどのようなクリニックになっていたいというビジョンをお持ちですか?
当院は1日に1時間の予約枠で診療しており、ユニット(治療台)が3台なので、1日に診療できる人数には限りがあります。安定した経営のためにも、あと1〜2台ユニットを増やし、分母を増やすことで、予約の待ち時間を短くし、より多くの方に質の高い医療を提供できるようになりたいと考えています。大金持ちになりたいわけではなく、このスタイルを維持して、ストレスなく自分の好きな診療ができる環境を安定させることが目標です。
—木方院長にとっての「夢」とは何でしょうか?
今の治療のクオリティをずっと続けられることですね。まだ自分にできないこともありますが、技術や知識を磨き、保険診療でも自費診療でも、常に自分の全力を出せる環境を維持し続けるのが夢です。「保険だから手は抜く」といった考えは全くありません。保険でも自費でも、使う材料の違いはあっても、患者さんには常に自分の全力で治療を施す。それができる環境を続けることが、私の夢です。
—これから開業を目指す、あるいは同じ境遇で頑張っている先生方にメッセージをお願いします。
やりたいことをやるべきだと思います。開業は、自分のやりたいようにできるのが最大のメリットです。私のように「最高の治療がしたい」という目標があるなら、変にブレずにその軸を貫いてください。逆に「お金儲けがしたい」と思うのであれば、それも否定しませんから、変に遠回りをせず、ちゃんと収益を追求する経営をしたら良いと思います。変にブレず、自分の軸を持ってやることが一番大切ではないでしょうか。
Profile
院長 木方 一貴
Savy Dental Clinicの院長 木方 一貴(きほう かずき) 先生は、2011年に朝日大学歯学部を卒業後、朝日大学歯学部附属病院で臨床研修を修了されました。その後、同大学歯学部歯科保存学分野で修練を積み、朝日大学病院口腔外科の非常勤歯科医師も兼任。2015年には日本歯科保存学会の認定医を取得し、2016年からは朝日大学歯学部口腔機能修復学講座の助教として、後進の指導と研究にも尽力されました。2017年には歯科医師臨床研修指導医の資格を取得。大学病院での豊富な経験と高度な専門性を持ち、2024年に日本歯科保存学会専門医となり、2025年には専門医優秀症例発表賞を受賞するなど、常に自己研鑽を続けています。その確かな技術と知見を地域に還元すべく、2025年3月にSavy Dental Clinicを開院。患者さんの生涯の健康を見据えた、質の高い歯科医療を提供されています。