地域医療への貢献を目指す–浜松歯科 中野 陽平 院長の経営と情熱
2026.02.17
長く健康な歯並びを支え、患者さんと共に歩む矯正治療の真髄
畑矯正歯科
院長 畑 豊
兵庫県川西市で開業され、長きにわたり地域医療に貢献されてきた畑矯正歯科の畑 豊院長。インタビューを通じて感じたのは、医師としての深い探求心と、患者さんに対する真摯な想いでした。矯正治療を通じて、単に歯並びを整えるだけでなく、患者さんの長期的な健康と生活の質向上を目指す先生の治療は、多くの人々の笑顔を支えています。 開業から現在に至るまでの道のり、そして未来を見据えたクリニックのビジョンについて、畑先生にお話を伺いました。地域医療の未来を担う次世代の医師へのメッセージも必見です。長年培われた経験と知恵から導き出された、矯正歯科医としての確固たる信念が詰まったインタビューをお届けします。
—まず、医師を志されたきっかけについてお聞かせください。
父が商人だったため、「家業を継ぐのは嫌だ」という思いがまずありました。そんな中、兄が歯科医師になったのを見て、私も手に職をつけるという意味で歯科医師になるのも悪くないと考えたのがきっかけです。中学の頃から高校、大学と、そういった一貫教育の学校に通っていましたので、高校で受験して大学は他に行こうとは考えていなかったんです。
—先生は、ご開業までに長い臨床経験を積まれています。矯正歯科を専門にされたのはなぜですか?
兄も歯科医師になりましたし、私自身も手に職をつけたいという思いがありました。その当時、まだ日本では矯正歯科の専門医が非常に少なかったんです。専門医になるのは大変ではありましたが、誰もやっていない分野だからこそ、挑戦してみる価値があると考え、矯正の道を選びました。
—長年の研鑽を経て、兵庫県川西市で開業された経緯についてはいかがでしたか?
大学の矯正科に在籍しながら、専門の先生のもとでも研鑽を積み、約7年間、臨床経験を重ねてまいりました。つまり、大学と専門の歯科医院の両方で同時に学んでいたため、大学卒業後、約7年で開業に至りました。
—開業当初、特に苦労されたエピソードはありますか?
一番苦労したのは、やはり患者さんの獲得でしたね。私が開業した1980年代から90年代にかけては、まだ矯正治療が今ほどポピュラーではありませんでした。アメリカでは小学生の6割以上が矯正装置をつけていましたが、日本ではまだ10数パーセント程度の時代で、矯正装置をつけることに抵抗を感じる方も多かったんです。 私としては、矯正装置は歯の健康を保つためのものであって、骨折したときにギプスや松葉杖を使うのと同じように、治すために必要なものだと説明しても、なかなか理解してもらうのが難しかったですね。「恥ずかしい」という患者さんに、そうではない、むしろ健康のために大切なことだと、常に根気強く伝えていました。
—長くクリニックを経営される中で、特に大切にされている考え方やポリシーについて教えてください。
患者さんファーストであることはもちろんですが、私はスタッフも大切にしています。そして、経営者として大切にしているのは「正しいことをしていれば、後からお金はついてくる」という考え方です。お金儲けを目的とするべきではありません。矯正治療の最大の目的は、患者さんの歯が長持ちすることであり、そのための治療とメインテナンスの対価として、お金をいただいているという感覚です。
—患者さんの採用や教育について、何か特別な工夫はされていますか?
おかげさまで、私自身が歯科衛生士学校で講師をしていた縁などもあり、人とのつながりで採用できることが多かったため、ネットを使った採用はほとんどありませんでした。また、長くやっていると、患者さんとして通っていた方が衛生士になって戻ってきてくれたり、そのお子さんがスタッフになったりすることもあります。 教育で一番大事にしているのは「診断」です。小さな部分だけを見るのではなく、まずは全身の骨格構造から、上顎、下顎、そして歯へと、森を見て、林を見て、木を見るように、全体から細部へと診断していくことを指導しています。
—昨今、医療の現場でもDX化が進んでいます。先生のクリニックで導入されている中で、「これは他のクリニックにもおすすめできる」というシステムやサービスはありますか?
実は、私はITや広告といった分野には、これまであまり積極的に関わってこなかったんです。ありがたいことに、そういったことに意識を向けなくても、これまで患者さんが来てくれていたからです。今後は若い世代に継承していくためにも、ウェブサイトやSNSでの情報発信、さらにはGoogleマップ対策など、デジタルへの対応は必要不可欠だと感じ、スタッフや専門家の意見を聞きながら少しずつ進めているところです。新しいホームページもまもなく公開予定なので、ぜひご覧ください。
—今後のクリニックの展望についてお聞かせください。
私も年を取ってきましたので、若い世代に世代交代をしていきたいと考えています。その際、次世代の医師が私と同じような苦労をせずに、患者さんにとって最良の治療を継続して提供していけるよう、安定した経営状態を継承していくことが重要だと考えています。そのため、医療法人化なども視野に入れつつ、後継者やスタッフが安心して働ける環境づくり、そして安定した治療を提供し続けられる基盤づくりに力を注いでいます。
—後継者やスタッフを育成する上で、特に注力している点はありますか?
技術的な指導はもちろんですが、人として成長してもらうことを常に心がけています。また、スタッフが長く安心して働けるように、社会保険をはじめとした待遇や、将来的な年金制度といった部分も考慮し、時代に合った充実した福利厚生を提供できるよう、経営者として敏感に対応しています。
—先生にとっての「夢」があれば教えてください。
矯正治療を通じて、皆さんには安定した綺麗な歯並びで長生きしてほしい。それが一番の願いです。そして、その皆さんの笑顔を見ながら、私も美味しいお酒を飲んでゆっくりと過ごしたいですね。
—それでは、これから開業を志す先生方や、同じ境遇にいらっしゃる先生方へメッセージをお願いします。
まず、開業の場所選びについてですが、あまり場所自体にこだわりすぎる必要はないと思います。一度開業すると、簡単に移転することはできませんからね。 そして、人として、そして医師として、何よりも大切なのは「患者さんに対する誠実さ」です。嘘をつかないこと、本音で話すこと、できないことはできないと正直に伝えることが重要です。患者さんは必ずわかってくれます。わからないときは、はっきり「わかりません」と言えばいいんです。絶対にごまかしてはいけません。信頼関係を築くことが、何十年と続くクリニック経営の土台となります。
—矯正治療の重要性について、読者の方々に強く伝えたいことはありますか?
「オーラルフレイル」という言葉があるように、年を重ねるほど、歯の健康、特にお口の中の環境は全身疾患と深く関わってきます。高齢者の肺炎の原因の一つに、口の中の細菌が関与していることも分かっています。歯並びを整えることは、歯周病になりにくく、しっかり噛めることにも繋がり、結果として健康寿命を延ばすことに繋がるんです。 長生きしたいと願う全ての人にとって、矯正治療は非常に価値のある選択肢です。もう年だからと諦めずに、ぜひ歯を綺麗に保つための努力をしていただきたい。そして、親知らずは早めに抜くことをお勧めします。もし周りに健康を願うご家族がいらっしゃるなら、ぜひ「歯は一生ものだ」ということを伝えてあげてください。
Profile
院長 畑 豊
畑矯正歯科 院長の畑 豊(はた みのる)先生は、1975年に関西学院高等部を卒業後、1981年に岐阜歯科大学(現 朝日大学)を卒業されました。その後、1981年から1987年まで大阪歯科大学歯科矯正学教室に入局し、研鑽を積まれました。1987年に兵庫県川西市にて「畑矯正歯科」を開院し、以来、地域に根差した歯科医療を提供されています。また、1998年から2008年まで兵庫県歯科学院にて歯科矯正講師を務めるなど、後進の育成にも尽力されてきました。開業から40年近く経つ現在も、「患者さんの歯が長持ちすること」を第一に考え、矯正治療に情熱を注ぎ続けています。穏やかで気さくなお人柄は、多くの患者さんやスタッフから信頼を集めています。