医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
「こはる眼科」院長 池本 淳子 先生が目指す、患者さんの人生を豊かにする標準的で確かな眼科医療
こはる眼科
院長 池本 淳子
今回お話を伺ったのは、大阪市中央区で「こはる眼科」の院長 池本 淳子先生です。大学病院や地域の中核病院での豊富な経験を経て、2024年にご自身のクリニックを開業されました。池本先生は、特に小児眼科や近視治療に注力されており、患者さん一人ひとりの生活に寄り添い、質の高い標準的な医療を提供することを大切にされています。都会のクリニックでありながら、地方の病院のような温かい人間関係を築くことを理想とされている先生の、医師としての原点から開業への想い、そして今後の展望について、詳しくお話を伺いました。地域医療への熱い情熱と、患者さんへの真摯な姿勢が伝わるインタビューをどうぞお読みください。
—さっそくですが、医師を志したきっかけについて教えていただけますでしょうか?
母が医師ではないのですが大学病院に勤めていて、子どもの頃から医師という職業を勧められてはいたんです。ただ、当時の私はあまりその気はなく、浪人が決まってしまってからですね。その時に、女性が長く働き続けるには、医師のように専門的な資格がないと難しいのではないかと、急にスイッチが入ったんです。それからは猛勉強をして、国立大学に入り、医師になりました。母が大学病院に勤めていたことで、医師という仕事がどういうものなのかというイメージはなんとなくありましたが、なかなか一歩を踏み出す勇気がなかったのが正直なところです。
—小児眼科という分野に興味を持たれたのはなぜでしょうか?
私は子どもがすごく好きなので、小児科や小児眼科など、子どもたちを助けたいという思いがなんとなく頭の中にありました。キャリアのことや、子どもへの思いなど、これらのことが重なり、小児眼科の医師の道を歩むことになりました。
—これまでのご経歴の中で、特に注力されてきた専門分野について教えてください。
専門分野としては、「小児眼科」と「近視の治療」「まぶたの手術」、そして「眼鏡・コンタクト処方」の4つに注力しています。特に、小児眼科では子どもの目の異常を早期に発見すること、そして「近視の治療」では、近視が最も進行しやすい10歳前後の時期に早めに手を打つ、進行抑制の治療に力を入れています。
—開業されるまでに、地域医療と都会の医療、それぞれどのような経験をされましたか?
これまでは地方の病院で長く過ごしており、その後に大阪の都市部で初めてクリニックの院長を経験しました。地方では温かい医療に触れてきましたが、都会では手術や収益をメインにしているクリニックが多く、「お金儲け」が重視されがちだと強く感じたんです。この経験から、都会にいながらも地方のような温かさと、人対人の関係を大切にする医療を提供したいという想いが強くなりました。
—大学病院や地域病院での勤務を経て、ご自身のクリニックの開業を決意されたきっかけは何でしょうか?
地方の病院での経験から、「医師と患者さんの関係が人対人であるべき」という医療の原点に立ち返りたかったんです。都会で、利益追求だけではなく、標準的で確かな医療を提供し、患者さんに満足して医療を受けてもらい、結果として患者さんが増えていったら良いという信念を持って開院しました。周りにそのような医療を提供するクリニックが少なかったことも、自分でやってみようと思った理由です。
—貴院の運営における経営理念や、大切にされている想いについてお聞かせください。
経営理念は、まず「標準的で確かな治療」を提供することです。そして「クリニックを通して人とつながる」こと、つまり地域の方々や、スタッフも含めた人との連携を大切にしています。また、スタッフの「好きなことを応援する」というのも大切にしており、お互いの夢ややりたいことをサポートし合えるようなクリニックにしたいと思っています。
—特に注力されている小児眼科や近視治療について、どのような治療を行っていますか?
特に近視治療では、近視の進行を抑える治療に力を入れています。近視は一度なってしまうと治すのではなく、進行を抑えることが重要になります。スマートフォンやYouTubeなどが普及し、子どもの近視が増えている中で、早い段階での目薬やコンタクトレンズの使用など、どのタイミングで介入するのが最適かという見極めを大切にしています。
—経営者として、医療以外に大切にしていることはありますか?
私自身は、患者さんを治すこと、つまり医療の提供が楽しくてやりたいことなので、経営的なことにはなかなか興味が持てず苦労していますが、クリニックを継続させるためには、経営や経済の知識も必要だと痛感しています。また、スタッフ全員が夢を持って働ける環境を整えるためにも、適正な収益を上げることも重要だと考えています。
—開業されてから現在までで、特に苦労されたエピソードがあれば教えていただけますか?
医師は医療の専門家で、経営や経済の勉強をほとんどしてこなかったので、その部分で苦労しています。医療だけをやっていても、経営はうまくいきませんから、社会保険や雇用保険といった事務的なことについても知っておく必要があります。興味のない分野ですが、全く知らないわけにもいかないので、その両立に大変苦労しています。
—逆に、クリニック経営をしていて、どのような時に嬉しさや幸せを感じますか?
やはり、患者さんが喜んでくださる姿を見るときですね。手術であっても、眼鏡やコンタクトレンズの処方であっても、「見えるようになった」「生活が楽になった」と、喜びの声をいただく時が一番嬉しいです。その人の生活が豊かになるお手伝いができたと実感できる瞬間が、私にとっても大きな喜びです。
—貴院の患者さんは、どのようなことに対して特に満足されていますか?
白内障手術のように大きな手術だけでなく、コンタクトや眼鏡の処方であっても、患者さんの生活が豊かになるという点では同等の喜びがあると思っています。特に、小児眼科にも力を入れているので、お子さんと、その成長を喜ぶ親御さんの両方から感謝されることも大きな励みになっています。
—今後の展望について、2~3年後にどのようなクリニックになっていたいかというビジョンがあれば教えてください。
この地域にお住まいの患者さんが、「こはる眼科に来れば安心だ」と自然に思ってくださるようなクリニックを目指しています。特に眼鏡やコンタクトレンズの処方においては、地域の中で「あそこに行けばうまくいく」と信頼していただける眼科でありたいと考えています。手術に関しても、適応を丁寧に見極めたうえで、お一人おひとりに合った最適なサポートを行います。
—近視の進行抑制について、地域への貢献という面でどのようなお考えをお持ちですか?
大阪の近視の子どもの数を減らしたいという夢があります。今の患者さんが大人になった時に、「こはる眼科に来てよかったな」と思ってもらえるようにしたいですね。近視の進行抑制には、大人が子どもの生活に関わり、早期に治療介入することが重要だと考えています。
—最新の電子カルテシステムを導入されたそうですが、特におすすめできる点はありますか?
M3の電子カルテを使用していますが、眼科で導入している施設はまだ少ないと感じています。このシステムの大きな特長は、予約、会計、レセプトまでの一連の業務がすべてM3内で完結できる点です。予約システムや会計システムが別々の場合、連携が難しくなることもありますが、M3であれば一元管理が可能なため、手続きが煩雑にならず、スタッフの負担軽減にもつながります。都心部にあるクリニックだからこそ、診察から会計までをスムーズかつ迅速に行える点は大きなメリットだと思います。
—最後に、これから開業を目指す、あるいは同じ境遇の医師に向けて、メッセージをお願いします。
これから開業を目指すのであれば、しっかりと大学病院や、症例が多い施設で、一通り臨床経験を積んでから開業した方が良いと思います。知識だけでなく、実際に患者さんの病気を「体感」しないと、患者さんに対する説得力が生まれないからです。若く体力のあるうちに多くの症例を経験し、自分の道を切り開くための基盤を固めることが大切だと考えています。
Profile
院長 池本 淳子
「こはる眼科」院長の池本 淳子 先生は、2001年に福井大学医学部を卒業後、京都府立医科大学眼科学教室に入局されました。その後、2002年には京都府立医科大学附属北部医療センターで外科研修医を務め、宇治徳洲会病院、山形井出眼科病院、済生会滋賀県病院、京都中部総合医療センター、東近江市立能登川病院などで、地域医療から高度医療まで幅広く経験を積まれています。豊富な臨床経験と、地域の中核病院での医長・部長としてのキャリアを経て、2018年におおしま眼科池本クリニックの院長に就任。多忙を極める環境で多様な症例を経験されたことが、現在の標準的で確かな医療を提供したいという信念に繋がっており、2024年に大阪市中央区で「こはる眼科」を開院されました。