信頼の歯科技術と教育への情熱–さくら通りみなみ歯科医院 南 一郎 院長インタビュー
2025.11.18
「病気になる前のサポート」と「経営」の両立に挑む
Riyoメディカルクリニック
院長 上利 理代
現代医療が直面する課題の一つに、病気の「治療」だけでなく「予防」や「心身の統合的なケア」へのニーズの高まりがあります。大阪梅田に位置するRiyoメディカルクリニックの上利 理代 院長は、がん治療の最前線から在宅医療、そして統合医療へと専門分野を広げ、患者様の「よりよく、幸せに生きる」を支えることを使命とされています。医療の専門家でありながら、一経営者としての視点も持つ上利先生が、どのような想いでクリニックを開業し、日々の診療に臨んでいらっしゃるのか、その情熱と挑戦についてお話を伺いました。
—医師を志されたきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか?
医師を志したきっかけには、幼い頃からの家族の病を身近に見てきた経験が関係しています。当時の医療では手の施しようがない状況に直面し、病に苦しむ家族を見ていることしかできないという強い無力感を痛感しました。この原体験から、病気を治すだけでなく、病気によって奪われる「日常」や「希望」を守りたい、そして最善の策を模索し続ける医師になりたいという強い決意が芽生え、医学の道を志す揺るぎない原動力となりました。
—がん治療の最前線から在宅医療までご経験された中で、ご自身の理想の医療を実現するため、クリニックを開業しようと決意された強い動機は何でしたか?
在宅医としてがんの方の看取りなどをさせていただく中で、自分の力の小ささや無力さに打ちのめされた時期があったことです。そこから「もう少しがんの方にできることはないか」「病気になる前の段階の方を、病気にならないようにできないか」と強く思うようになりました。自分が身につけたこと、やりたいことを全て患者様に提供するためには、勤務医ではなく、自分の理念に基づいたクリニックを経営していくしかないと決断しました。
—先生の専門分野は、具体的にどのような領域になりますか?
専門医としては、放射線科の治療医、つまり放射線でがんを治す専門分野を持っています。その後に再生医療などを学び、現在は未病医療や統合医療を専門として診療しています。診療内容としては、再生医療や統合医療、そして未病医療が中心です。
—がんや難治性の病気、なかなか治らない痛みを抱えた方々が多く来院されるかと思いますが、診療時に特に意識されていることは何でしょうか?
まず、患者様が抱えている思いや悩み、ご家族の方々の心配事など、全てを丁寧に、受け止めてお聞きするように心がけています。どこにも言えなかったことや聞けなかったことが、当クリニックに来て話すことで心が楽になる、と感じていただけるようなスタンスを大切にしています。
—自由診療だからこそ、治療の進め方で特に重視しているポイントはありますか?
対話だけで終わるのではなく、科学的根拠に基づいた治療を大切にしています。私は放射線科医ですので、画像検査や血液検査をしっかりと拝見し、画像も確認しながら、その方に合った適切な治療法を選び、提供できるようにしています。対話を通じて患者様の心も受け止めつつ、科学的根拠に基づいて体の治療を行う、その両方を実践しています。
—実際に患者様が良くなっていく姿を見る中で、「やっていてよかった」「幸せだ」と感じる瞬間はどんな時でしょうか?
患者様が「先生に会うと、話すと元気になる」と言ってくださったり、来院するたびに患者様やご家族の方が明るく、元気になっていく姿を見るときは幸せを感じます。そして何より、諦めていた体の状態が良くなっていくという、その変化を患者様と私自身が一緒に体感できることが、一番嬉しいことです。
—医師としてだけでなく、一経営者として、開業されてから特に大変だったことや、乗り越えるのに苦労されたエピソードはありますか?
医師は「治してあげたい」という想いで医療を始めますが、経営となると、その想いだけではうまくいかないという現実に直面します。スタッフの雇用や、高額な医療機器の維持など、理想だけでは毎月やりくりできないという現実があります。特に医療は、患者さんにとって良いことが、必ずしも経営にとって良いことではないという側面があり、シンプルに言うとキャッシュフローが厳しいと感じることも多いです。
—患者様を増やしていくための広告戦略などはありますか?
私たちの医療は、美容とは違い、「よりよく、幸せに生きる」ためのものなので、あまり露出を増やすとイメージと異なってしまう可能性があります。そのため、宣伝や広告はほとんど行っておらず、ほぼ口コミで来ていただいています。真面目に、誠実に診療をしていれば、後から結果はついてくると思っています。
—理想と現実のバランスが重要とのことですが、これから開業される医師へ、経営面でのアドバイスをお願いします。
開業すると、すべての責任が自分に課せられるというプレッシャーはありますが、やりたいこと、開業の理念を貫いていけば、必ず道は開けます。理想を追い求めることと、経営者として現実を把握すること、そのバランスを取りながら進むことが、成功への鍵だと思います。
—今後のクリニックの展望についてお聞かせください。直近の目標や、どのようなクリニックにしていきたいとお考えですか?
現在よりももっと大きな場所でクリニックを開設したいと考えています。規模が大きくなれば、現在私が持っているスキルや、患者様に提供してあげたいけれど今の場所ではできていないことが、より多くの選択肢として提供できるようになります。患者様にとって必要な治療が、幅広く選択できる場所にしていきたいです。
—どのような患者様に、今後特に当クリニックに来ていただきたいとお考えですか?
がんを患っている方や、他の病院で治療法がないと言われた方はもちろんですが、病気と診断されていなくても、昔と比べて「ちょっとしんどい」といった未病の方にも来ていただきたいです。病気にならないための予防に、一緒に取り組んでいきたいと考えています。
—先生が最終的に目指す、医師としての大きな夢は何でしょうか?
クリニックを開設した時に掲げた目標は、「ウェルビーイング(Well-being)」、つまり「よりよく、幸せに生きる」という言葉を、誰もが実感できる世の中になればいいなというものです。私だけでなく、私の診療を受けた方から周りに広がっていくことで、世の中の誰もが幸せに毎日を過ごせるように、その「手助け」ができる医療人でありたいと思っています。
Profile
院長 上利 理代
上利 理代 院長は、2000年3月に高知医科大学(現高知大学) 医学部医学科を卒業されました。2000年5月より岡山大学医学部 放射線科医員としてキャリアをスタートし、南岡山医療センター、岡山赤十字病院にて放射線科医員を歴任。2006年4月からは岡山旭東病院 サイバーナイフセンター専任を務められ、がん治療の最前線で経験を積まれました。その後、医療法人純心会 前田医院(内科)、おひさまクリニック西宮(在宅医)での勤務において患者様の看取りに深く関わる経験をされ、より深く、予防や統合的な医療を志すきっかけを得られます。また、びわこ成蹊スポーツ大学の主任教授として教育にも携わられました。そして、2022年7月、自らの理想とする医療を実現するため、Riyoメディカルクリニックを開院し、院長として再生医療、統合医療、未病医療を軸にした診療を提供されています。