Interviewインタビュー

地域医療の未来に架ける橋--かけはしファミリークリニック院長が語る、患者とスタッフが輝くクリニック像。

かけはしファミリークリニック

院長 渡邉 健太郎

2025年4月、大阪府吹田市に開院した「かけはしファミリークリニック」。院長の渡邉健太郎先生は、ご自身の小児喘息や肺気胸の経験、そして薬剤師であるお母様の影響を受け、幼少期から医療という存在を身近に感じてこられました。大学病院でのキャリアを積み重ねた後、「地域に密着した医療を提供したい」という想いと、志を同じくする同級生からの誘いを受け、地域に必要とされるクリニックの開院を決意されました。本記事では、渡邉先生の医師を志したきっかけから、開業までの道のり、そして地域医療への熱い想いについて、深掘りしていきます。患者さんだけでなく、スタッフも働きやすい環境を目指す渡邉先生の挑戦は、開業医を目指す多くの医師にとって、きっと有益なメッセージとなるでしょう。

地域に根ざした医療で患者さんとスタッフが輝く「かけはしファミリークリニック」の未来–渡邉 健太郎 院長インタビュー

医師を志した原点と開業への道

さっそくですが、渡邉先生が医師を志されたきっかけについてお聞かせください。

そうですね、はっきり『これだ』という一つの出来事があるわけではないのですが、私自身が幼少期に小児喘息で入院を経験したり、肺気胸で3回ほど手術を受けていたりといった経験があり、医療というものが身近な存在でした。また、母が薬剤師だったことも、医療という分野に興味を持つきっかけの一つになったかもしれません。

大学病院でのご勤務を経て、開業を決意されたのはなぜですか?

大学病院では約8年間勤めていましたが、研究や教育といったアカデミックな側面も多く、私自身は患者さんと直接向き合い、臨床を行うことに重きを置きたいという想いが強かったのです。

開業という選択は、大学時代からのご友人と共にされたそうですね。

はい、大学時代からの同級生であり、現副院長の日下部先生と『二人で一緒に開業してみないか』という話が持ち上がったのが大きなきっかけです。地域に密着し、患者さんの診療に力を尽くせるクリニックを目指したいと考え、開院に至りました。

渡邉先生の専門分野と、地域のクリニックとしての役割について教えていただけますか?

私の専門は腎臓内科です。腎臓は糖尿病や心不全、脳血管障害といったさまざまな生活習慣病や循環器系の疾患と密接に関連しています。そのため、腎臓内科医という立場から、広範囲にわたる病気を診ることができるため、地域のかかりつけ医として幅広くサポートしたいと考えています。

開業後の挑戦とクリニック経営

開業されてからの約8ヶ月間で、特に苦労されたことはありますか?

経営者という立場になって、一番大変だったのは労務ですね。勤務医時代には意識していなかった、法律に基づいた労働時間や休憩時間、残業代の割増しなどの管理が非常に大変でした。

人材の採用や教育も多くの先生方が直面する課題だと思いますが、いかがでしょうか?

おっしゃる通り、人材の採用と教育も大きな課題です。コアとなる職員の育成に奮闘しています。また、集患に力を入れすぎると、スタッフの成長が追いつかず、十分な対応ができなくなるため、集患とスタッフの成長のバランスが今の課題です。

経営者として大切にされている理念についてお聞かせください。

患者さんのためになる医療を提供するというのがもちろんですが、同時にスタッフにとっても働きやすい、良い環境を作ることが重要だと考えています。適切な労務管理や福利厚生の充実など、スタッフが安心して働ける環境を追求していきたいです。

経営者という立場の変化で、診療への考え方も変わりましたか?

大きく変わりました。以前はあまり保険点数のことを考えることはなかったですが、今はクリニックの経営として、医学的なことに加えて保険点数に対する意識も非常に大切だと痛感しています。

集患・DXへの取り組みと未来の展望

患者さんの集患について、何か工夫されていることはありますか?

ポータルサイトへの掲載など、少しずつですが集患策は行っているところです。ありがたいことに、患者さんは順調に増えてきてくださっています。

医療DXの観点から、オンライン診療の活用についてはどのようにお考えですか?

オンライン診療は、利便性の高いシステムだと理解していますが、診療報酬の問題や、患者様にメリットのある活用方法に課題を感じています。

直近2〜3年後のクリニックのビジョンについてお聞かせください。

まず、スタッフが十分にいて、皆が休みを取りたければ取れるような、福利厚生が充実した働きやすいクリニックにしたいですね。もちろん患者さんからも人気があるクリニックを目指します。

医師としての大きな夢とメッセージ

渡邉先生の、さらに大きな夢や目標はありますか?

将来的には、クリニックの規模を大きくしたいという想いがあります。そして何よりも、患者さんがどんなことでも気軽に相談してくれるクリニックになりたいです。困り事があれば、我々が適切な専門機関に紹介するなど、地域医療の架け橋になれたらと思っています。

最後に、これから開業を目指す先生方へのメッセージをお願いします。

やはり、『なぜ開業したいのか』という目的を明確にしておくことが大切です。昔に比べ、経営環境は厳しくなっています。そのため、明確な理念や、提供したい医療の形がしっかりしていないと、継続が難しくなると思います。 特に、我々のように開業からまだ日の浅いクリニックは、初期の設備投資などに多くの費用がかかるため、費用対効果が高く、継続的な効果が期待できる集患対策を早いうちから見極めることも重要だと感じています。

Profile

院長 渡邉 健太郎

かけはしファミリークリニック院長の渡邉 健太郎 先生は、2011年3月に神戸大学医学部を卒業。その後、甲南病院での勤務を経て、神戸大学医学部附属病院腎臓内科医員・助教・病棟医長を歴任され、腎臓内科の専門医として約8年間、臨床と教育・研究に携わられました。特に腎臓内科の専門性を活かし、糖尿病や循環器疾患など幅広い分野の診療経験を積まれています。2024年にはファミリークリニック加古川、有床診療所はすいけクリニックでの勤務を経て、2025年4月に、地域に密着した内科・消化器内科・腎臓内科・糖尿病内科の診療を行うかけはしファミリークリニックを開院。患者さんとスタッフ双方の幸福を追求する理想のクリニック経営を目指しています。

会社情報

医院名

かけはしファミリークリニック

設立

2025年