Interviewインタビュー

「地域に寄り添い、共に成長する」 医療法人MIRIZE 博多トラストライズクリニック 理事長 中川 剛の挑戦

医療法人MIRIZE 博多トラストライズクリニック

理事長 中川 剛

地域医療の最前線で、患者さんと真摯に向き合い、信頼関係を築き上げている医師がいます。福岡県柳川市に拠点を置く「医療法人MIRIZE 博多トラストライズクリニック」の理事長「中川 剛」先生です。大学病院での豊富な経験と専門性を持ちながら、なぜ地域での開業を選んだのか。開業から11年を経て、診療への想い、独自の経営戦略、そして人材育成に対する熱い哲学を伺いました。特に、専門性の高い泌尿器科の診療に加え、常に挑戦し続ける姿勢は、これから開業を目指す医師や、地域の医療を支える全ての人々にとって、大きなヒントとなるでしょう。中川先生の経験談から、クリニック経営の本質と、理想の医療を実現するための道のりを探ります。

地域医療の担い手へ–医療法人MIRIZE 博多トラストライズクリニック 理事長 中川 剛インタビュー

医師を目指した原点と開業への道のり

さっそくですが、医師を目指されたきっかけからお聞かせいただけますでしょうか?

元々は歯科医師を目指していたのですが、少し進路が変わってしまい、滑り止めで受験した私立の医学部に進学したのが始まりです。その後、大学病院時代に泌尿器科に入局し、専門医として歩むことになりました。

地域での「開業」という道を選ばれたのはなぜでしょうか?

大学病院にいる頃から、地元の近くの病院に週に1回、非常勤として外勤に出ていたんです。その際に、患者さんから「この地域で、あなたの専門的な診療を常時受けられるようにしてほしい」というお声を多くいただくようになりまして。その患者さんからの要望が、開業に踏み切る大きなきっかけになりました。

診療への哲学と専門性へのこだわり

中川先生が日々の診療で特に意識されていること、大切にされていることは何でしょうか?

最も重要視しているのは、患者さんとの信頼関係を築くことです。最初は病気のことだけを診るのですが、患者さんがだんだん通ってくださるようになるにつれて、病気だけでなく、その方の生活全体、人生の悩みなども打ち明けてくださるようになるんですね。

泌尿器科診療において、ターゲットとしている患者さんの層について教えてください。

泌尿器科を専門としており、年齢層は40歳から70歳くらいまでの男女を主なターゲットとしています。

高い専門性が求められる中で、どのような地域から患者さんがいらっしゃいますか?

福岡だけでなく、九州全域(沖縄や奄美大島など)、大阪、東京からも新幹線や飛行機を利用して来てくださっています。また、海外に在住の日本人の方も来院されるなど、広域から患者さんの信頼を得ています。

患者さんとの関係を深めるために、どのようにコミュニケーションをとられていますか?

最初は病気のことから入りますが、徐々に患者さんご自身の人となりや人生観といった全体像を把握できるようにしています。その結果、他の病気について相談されたり、生活に関するアドバイスを求められたりすることも増え、より良い医療につながると考えています。

経営戦略と人材育成への熱意

経営者として、先生が最もご苦労されたエピソードは何でしょうか?

それが、実は「これ」といった「落ち込むような大きな壁」はなかったのですよね。私は、課題があった方がむしろ楽しくて、逆に何もかもが上手くいきすぎていると面白くないと感じてしまうタイプなんです。人や組織の問題も含め、全てを「経験」と捉え、プラスに変えていくようにしています。

クリニックを経営されていて、どのような瞬間に喜びを感じられますか?

やはり、スタッフが成長してくれた時が一番嬉しいです。以前は患者さんからのお礼が喜びでしたが、最近は、スタッフが少しでも成長してくれることに大きな喜びを感じるようになりました。彼らが楽しく働いてくれることが、私にとって最高の喜びです。

人材育成において、具体的にどのような取り組みをされていますか?

看護師長には看護師の指導を、事務長には事務の指導を任せています。また、看護師、事務、医師それぞれの職種ごとに「これをやれるようになろう」という達成目標の項目をExcelで作成し、自律的な成長をサポートしています。

分院の経営状況について教えてください。

分院は昨年開設したばかりですが、おかげさまで2ヶ月で黒字化し、上手く回っていると思います。システムによるサポートやクラウドカルテによる情報共有により、遠隔地からも管理しやすい体制を整えています。

これから開業を目指す医師へのメッセージ

これから開業を目指す医師へ、ご自身が学んでおいて良かったことを含めてアドバイスをお願いします。

勤務医時代にはあまり学ぶ機会がなかった「経営」を学んでおくことは、非常に有効だと思います。私自身、MBAを取得するために2年間、夜間のコースに通ったのですが、これが視野を広げ、現在のクリニック経営に活きています。

現在のクリニック運営において、導入して良かったシステムやツールは何ですか?

予約システム、電子カルテとの連携が可能なノウハウ共有システム、会計システム、自動精算機などが挙げられます。特に、24時間予約可能な予約システムは、電話対応の手間を減らし、業務効率化に大きく貢献しています。

ITやAIの活用について、具体的に行っていることはありますか?

Webサイトの構築や更新は、AIを活用してコードを作ってもらい、それをWordpressに組み込むという形で対応しています。AIに情報処理をさせて、自分たちはその結果を活かすという、効率的な方法を採用しています。

最後に、中川先生にとっての「夢」や今後の目標についてお聞かせください。

ちょうど昨年、分院を成功させることが一つの目標でしたが、それがうまく回り出すと、次は「何をしようか」と考える日々です。課題がないと面白くないので(笑)、常に新しい挑戦を求めている状態です。「いかに強く生き抜いていくか」という精神で、今後も地域医療に貢献し続けたいと思います。

Profile

理事長 中川 剛

中川 剛先生は、2002年3月に久留米大学医学部をご卒業後、同年5月に久留米大学医学部泌尿器科に入局され、医師としてのキャリアをスタートされました。2004年4月には済生会福岡総合病院泌尿器科勤務、2006年4月には久留米大学医学部泌尿器科 助教、2010年4月には再び久留米大学医学部泌尿器科 助教を務めるなど、大学病院を中心に研鑽を積まれました。特に、2013年4月には久留米大学女性外来主任、内視鏡手術指導医も兼任されるなど、高い専門性と技術をお持ちです。地域に根ざした医療への強い志を持ち、2014年4月に「中川ごうクリニック」を開院。さらに2016年6月には「医療法人 MIRIZE」の理事長に就任され、現在に至ります。専門分野である泌尿器科診療を通じて、地域医療の質の向上に尽力されています。

会社情報

医院名

医療法人MIRIZE 博多トラストライズクリニック

設立

2014年

URL

中川ごうクリニック(本院): https://www.mirize.or.jp/

博多トラストライズクリニック(分院): https://www.trustrise-clinic.jp/