Interviewインタビュー

「おきたクリニック」院長 尾北 賢治が語る、人を想い、地域に尽くす医師像

おきたクリニック

院長 尾北 賢治

本日は、大阪府大阪市浪速区に位置する「おきたクリニック」の院長、尾北 賢治先生にお話を伺います。尾北先生は、大学病院での外科医としてのキャリアに加え、救急医、災害医、国際救援医としても国内外のさまざまな現場で活躍されてきました。その豊富な経験と、故郷である大阪の地域医療に貢献したいという強い想いから、2025年5月に「おきたクリニック」を開院されました。多忙な日々を送る先生が、なぜ「開業医」という道を選ばれたのか。そして、患者さんや地域社会に対する先生の揺るぎない理念について、詳しくお話を伺っていきます。この記事が、これから開業を目指す医師の方々や、医療従事者の方々にとって、新たな視点を提供するきっかけとなれば幸いです。

医療の理想と現実–地域医療への貢献を目指す「おきたクリニック」院長 尾北 賢治 先生インタビュー

医師を志した原点と開業に至るまでのキャリア

尾北先生が、そもそも医師を志されたきっかけは何だったのでしょうか?

私が医師を志した原点は、4歳の頃の出来事にあります。当時、地元の小さな診療所を支えていた女性医師が、インフルエンザ流行による激務の最中、過労により亡くなりました。診療所の休憩所で急逝だったと聞いています。 幼かった私に当時の明確な記憶はありませんが、その訃報に際し、両親に向かって「自分が先生の跡を継ぐ」と宣言したそうです。今振り返れば、その幼いながらの決意が、医師としての道を歩む最初のきっかけになったのだと思います。

これまでのご経歴の中で、特に先生の医師像に影響を与えた経験はありますか?

大学の医局や国際救援活動、救急医としての経験など様々ありますが、離島での診療経験が一番影響したと思っています。地域の人々に対して、どれだけ貢献できる医師であるべきかという、私の医師像を明確にさせてくれました。

多くの経験を積んだ後、最終的に故郷の大阪で開業という道を選ばれたのはなぜでしょうか?

さまざまな医療の現場を経験し、自分の中で医師としての理想が明確になった結果、最後に尽くすべき場所は、生まれ育った故郷の大阪だろうという結論に至りました。これが、開業の経緯です。

開業後の経営と人材育成に関する課題

これまでの勤務医から開業医という経営者に立場が変わられたことで、最も苦労されたのはどんな点ですか?

端的に言って、やはりビジネスとして成り立たせなければならないという点です。医師としての理想だけでなく、自分の生活、家族、そして従業員の生活も背負っていくという意識改革が、開業して真っ先に直面し、最も苦労した点ですね。

人材採用状況はいかがでしょうか?また、どのような採用手法をとられていますか?

人材は現在充足していますが、追加で必要な時に苦労するのは確かです。採用手法はIndeed Plusを主に利用していますが、費用がかかる割に、望む人材獲得には苦労しています。

クリニックのスタッフの方々に対し、人材教育で特に意識されていることは何でしょうか?

私の医師としてのポリシーを共有するようにしています。それは、とにかく優しく対応すること、言葉を交わさなくても目をみて傾聴すること、そして異なる職種間でも互いに感謝し合える関係を築くことです。

クリニックの経営理念と地域密着の集患戦略

経営理念について、改めてお聞かせいただけますか?

当院は、内科・外科を問わず、あらゆる疾患に対応します。受診だけでなく、健康相談やトラベルの相談も受け付けます。そして、どの国籍、どこの国から来られた方でも、分け隔てなく相談に乗り、医療を提供するということが、私たちの経営理念です。

その理念のもと、今後の短期的なビジョン(2〜3年後)はございますか?

ありとあらゆるものを医療に取り入れ、一人で対応しきれない部分をカバーできるよう、在宅診療専門の分院や精密検査を行う専門の分院など、多角的に何でも診られるクリニックとして、地域全体をカバーしていきたいと考えています。

集患・集客において、他のクリニックにも勧めたい有効な手段はありますか?

アピールする手段は多ければ多いほど良いです。ホームページの充実と頻繁な更新、SNSを活用した話題性の意識に加え、高齢者層にはチラシや新聞広告などのアナログな手法も有効です。そして、何よりも地域の医師会に所属することは、情報や紹介の面で非常に大切です。

外国籍の患者様が多い地域で、特にDX化(デジタルトランスフォーメーション)の観点から導入して良かったシステムはありますか?

外国籍の方を取り込む上で、キャッシュレス決済は絶対に必須です。クレジットカードやPayPayなどの電子決済を積極的に導入することは、多くの患者さんを集客できる大きな要因になると思います。

開業医としての覚悟と今後の夢

これから開業医を目指す先生方へ、特に伝えたいことはありますか?

ビジネスの世界に飛び込めば、成功しなければ、自分、家族、従業員を守ることはできないというプレッシャーに打ち勝たなくてはいけないため「半年は覚悟する必要がある」と伝えたいです。具体的には、その期間は十分な収入もなく、睡眠がとれなかったり、食事も適当になりがちです。医療を目指す人は「困った人を助けたい・医療が届いていない場所に最善の医療を」という理想を持って追求している方が多いと思います。しかし、いざ開業するとなるとビジネスとして成り立たせなければなりません。自分が経営者となるので、理想と利益を両立させる必要があります。 ここまではデメリットを言いましたが、自分のやりたいことを追求できる場であることは間違いありません。しっかりと準備さえすれば、夢は叶えられるということもお伝えしたいです。

それでも開業という道を選んで良かったと感じる点は何でしょうか?

最大のメリットは、自分のやりたいことを追求できる場であることです。勤務医時代は必ずしも自分のやりたいことだけをできていたわけではありませんが、開業すれば、医師としての理想とする医療を追求し、実現することができます。

尾北先生の今後の夢や、クリニックとして最終的に目指す姿についてお聞かせください。

できれば、ずっと続けていけるクリニックでありたいと思っています。私がいなくなっても、誰かに引き継がれ、地域の人々に忘れられることなく、記憶に残るような存在であれば嬉しいです。自分のやりたい医療と、それを実現するための資金をしっかりと準備さえすれば、夢は叶えられます。

Profile

院長 尾北 賢治

尾北 賢治 先生は、「おきたクリニック」の院長として、地域医療に尽力されています。2004年に鳥取大学医学部医学科を卒業後、2014年までの約10年間、京都大学医学部附属病院などで呼吸器外科、心臓血管外科、移植外科として研鑽を積まれました。外科医として技術を磨く傍ら、2014年からは千里救命救急センターなどで救急医、災害医、国際救援医としても活躍の場を広げ、2017年にはタイのKhon Kaen Regional Hospitalで外傷管理を、2020年にはレバノンのPalestine Red Crescent Societyが運営する病院で外傷対応や集団災害の教育研修を行うなど、国際的な医療支援にも貢献されています。さらに、2021年からは長崎県五島列島の宇久島(人口1800人)の診療所に勤務され、地域に根差した医療の重要性を体感されました。この多岐にわたる経験と、「故郷である大阪の地域医療に貢献したい」という強い決意のもと、2025年5月に「おきたクリニック」を開院されました。日本DMATやJICA国際緊急援助隊、赤十字国際医療救援部などの所属歴もあり、その経歴はまさに異彩を放っています。

会社情報

医院名

おきたクリニック

設立

2025年