経営は品質の「後方支援」ではなく、品質を成立させる条件づくりそのもの–医療法人優美弘仁堂 常務理事 松本 琢也 氏インタビュー
2026.01.14
岐阜県岐南町で地域医療の未来を創る、けやきクリニック 伊藤隼院長が語る「組織力」と「優しさ」の形
けやきクリニック
院長 伊藤 隼
岐阜県羽島郡岐南町に位置する「けやきクリニック」。清潔感あふれる院内と、最新の医療設備を整えたこの場所で、院長の伊藤隼先生は日々多くの患者さんと向き合っています。伊藤先生が掲げるのは「優しく丁寧に」というシンプルな、しかし最も大切な信念です。一人の医師の限界を超え、複数の医師による「組織力」で診療の質と持続可能性を高めるその独自のアプローチは、患者さんだけでなく医療従事者からも注目を集めています。今回のインタビューでは、プロ野球選手を目指していた意外な過去から、親友である後藤医師と共に歩む開業の道のり、そして子供たちへの想いまで、伊藤隼院長の素顔と医療への情熱を深く掘り下げました。
—先生が医師を志したきっかけや、当時のエピソードを教えてください。
正直にお話しすると、最初から「命を救いたい」という崇高な志があったわけではないんです。高校3年までは本気でプロ野球選手になろうと思って打ち込んでいました。でもドラフトにかからず、進路を考えた時に、周りの環境もあって「じゃあ僕も医者になろう」と決めたのが始まりでした。
—実際に医師になられて、どのような瞬間にやりがいを感じますか?
医師という仕事は、患者さんから直接感謝される度合いが他の職業と比べても非常に高いと感じます。「こんなに幸せに(元気に)なれた」と喜んでいただける瞬間は、やはり大きなやりがいですね。
—多くの専門医資格をお持ちですが、学び続ける原動力は何でしょうか?
自分がやりたい医療を具現化するためには、確かな知識と技術が欠かせません。患者さんに質の高い医療を提供し続けることが、プロとしての責任だと思っています。
—勤務医ではなく、あえて「開業」という道を選ばれた理由を教えてください。
誰かに指示される「やらされる仕事」ではなく、主体的に自分の理想とする医療を形にしたかったからです。開業は責任も重くヒリヒリする場面もありますが、自ら道を切り拓いていく楽しさがあります。
—後藤先生をはじめ、複数の医師による診療体制をとられているのはなぜですか?
信頼できるパートナーと組織を組むことで、一人では不可能な「診療の厚み」が生まれるからです。複数の医師がいれば苦手分野を補い合えますし、医師自身のQOL(生活の質)も守ることができます。
—医師が複数いることによる、患者さんへのメリットは何でしょうか?
待ち時間の短縮はもちろん、複数の視点で診ることで診断の精度が上がります。また、医師が心身ともに健康で余裕を持って診療にあたれることが、結果として患者さんへの優しい対応に繋がると確信しています。
—開業から今日まで、特に大変だったエピソードはありますか?
私生活での大きな変化があり、二人の子供を育てながらクリニックを運営してきた時期が一番大変でした。仕事と家庭の両立に悩みましたが、親友である後藤君の全面的なバックアップがあったからこそ、今日まで歩んでこれました。
—その経験は、現在の診療にどのように活かされていますか?
苦労を経験したことで、患者さんの生活背景や抱えている悩みに、より深く共感できるようになったと感じます。技術だけでなく、心の痛みに寄り添うことの大切さを身をもって学びました。
—クリニックの合言葉である「優しく丁寧に」にはどのような想いが込められていますか?
どんなに優れた設備があっても、根底に優しさがなければ本当の医療ではないと考えています。患者さんが安心して何でも相談できる、温かい空気感をスタッフ全員で大切にしています。
—設備面でのこだわりについても教えてください。
最新の甲状腺検査機器や内視鏡設備を積極的に導入しています。医療は日進月歩ですから、常に最新のハードウェアとソフトウェア(知識)の両面をアップデートし続けることが、信頼に繋がると考えています。
—これからの「けやきクリニック」が目指す姿とは?
医師を増やし、組織力をさらに強化することで、より多くの患者さんを救える体制を整えたいです。自分たちだけが利益を追うのではなく、地域に必要とされ、スタッフも患者さんも笑顔になれる場所であり続けたいですね。
—伊藤先生ご自身の、これからの「夢」を教えてください。
私の今の「夢」は、医師を含む全スタッフが、心から安心してしっかりと休みを取れる環境を完璧に整え、継続させていくことです。複数の医師がいるからこそお互いにカバーし合い、リフレッシュして診療に臨める体制こそが私の理想とする形です。
Profile
院長 伊藤 隼
高校時代はプロ野球選手を志し、甲子園を目指して白球を追う日々を過ごされました。その後、志を医療の道へと変え、糖尿病専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医の4つの専門資格を取得されています。現在は、日本糖尿病協会療養指導医や難病指定医としても活躍し、幅広い知識で地域医療に貢献されています。 18年来の親友である後藤医師と共に「けやきクリニック」を開業されました。現在は複数の医師を擁する体制を整え、甲状腺疾患などの専門外来や最新の内視鏡検査を提供されています。私生活では二人の子供を育てる父親としての顔も持ち、家庭と医療の両立を実践されている情熱家です。