Interviewインタビュー

最新の知見を地域医療の現場へ--「さいしょ糖尿病クリニック」院長が目指す、患者と共に歩む治療

さいしょ糖尿病クリニック

院長 税所 芳史

東京都中野区、中野駅北口からほど近い場所に位置する「さいしょ糖尿病クリニック」。2022年の開院以来、多くの糖尿病患者さんに親しまれている同院の院長を務めるのが、税所芳史(さいしょ・よしふみ)先生です。 慶應義塾大学病院や米国UCLAでの研究を経て、長年糖尿病診療の最前線に立ってきた税所院長。専門医としての高度な知見を持ちながらも、診察室では白衣を脱ぎ、患者さんと同じ目線で対話を重ねるその姿からは、既存の医療の枠にとらわれない柔軟な姿勢が伺えます。「糖尿病管理は人生を整えること」と語る税所院長に、医師を志したきっかけから、中野の地での開院、そして患者さんと共に歩むこれからのビジョンについて詳しくお話を伺いました。

「人生を豊かにする糖尿病診療」–さいしょ糖尿病クリニック・税所芳史院長が語る、一人ひとりに寄り添うチーム医療

医師としての原点と糖尿病へのこだわり

まずは、税所先生が医師を志したきっかけを教えてください。

やはり私の祖父と父が医師だったことが大きいですね。祖父は自宅で開業、父は大学勤務でした。祖父や父が患者さんと接する様子を見たり、身近に医療の現場を感じながら育つ中で、自然と「自分も将来は医者になりたいな」と思うようになりました。

糖尿病を専門分野に選ばれたのはなぜですか?

父や兄は消化器内科を専門としていましたが、私はあえて違う道を選びました。糖尿病は食事や運動といった日々の生活習慣と密接に関わる疾患です。単に薬を出すだけでなく、患者さんの人生そのものに長く寄り添い、サポートしていくという側面に大きな魅力を感じたんです。

専門医として大切にされている「視点」はありますか?

糖尿病の診療は、薬による治療以上に「食事と運動」という基本が重要です。専門医としての強みは、ここをいかに細かくサポートできるかだと思っています。患者さん一人ひとりの生活全体を見渡し、どうすれば無理なく良い方向へ持っていけるかを常に考えています。

中野での開院と理想のクリニック作り

中野で開院された理由を教えてください。

私は西新宿生まれで、中野は子供の頃から馴染みのある場所でした。大学病院での外来患者さんたちが、開院後も継続して通いやすい場所であることも重視しました。中野は人情味があり、交通の便も非常に良いため、専門クリニックを構えるには理想的な立地だと感じました。

開院当初、特に苦労されたことは何でしょうか?

立ち上げの1年目は、経営者としての判断も求められ試行錯誤の連続でした。特にコロナ禍の真っ只中での開院だったため、感染対策には非常に神経を使いましたね。スタッフの採用やチーム作りもゼロからのスタートでしたが、徐々に当院の診療方針を理解してくれる仲間が集まってくれました。

クリニックの雰囲気作りでこだわっている点はありますか?

診察室ではあえて白衣を着ず、普段着に近いスタイルで診療しています。白衣はどうしても患者さんに威圧感を与えてしまうからです。床の色を暖色系にするなど、病院特有の緊張感を取り除き、「コンサルタントに相談しに来た」ような対等な関係を築ける空間を目指しています。

チームで支える最新の糖尿病医療

チーム医療」の重要性について、先生のお考えをお聞かせください。

糖尿病診療は、医師一人では完結しません。当院では看護師や管理栄養士と密に連携しています。診察室の隣で栄養指導を行っているので、スタッフ同士の声も聞こえる距離感です。多職種が情報を共有し、一貫した方針で患者さんを支える体制を整えています。

最新のITツールやアプリの活用についても積極的だそうですね。

はい、クラウド型の電子カルテを導入し、インターネットを活用した診療を行っています。患者さんがアプリで記録した食事や歩数、血糖値を診察室ですぐに共有できる仕組みです。これによって、より具体的でリアルタイムな生活指導が可能になり、効率も飛躍的に向上しました。

患者さんの待ち時間や診療時間のバランスはどう工夫されていますか?

一人ひとりに十分な時間をかけたい一方で、お待たせしすぎないことも大切です。特に問題がない方はスムーズに、悩みがある方には時間をかけてじっくりとお話を伺う。この「緩急」をスタッフ全員が理解し、阿吽の呼吸で診療を回しています。患者さんもそのリズムを汲み取って協力してくださるので、非常に助かっています。

これからのビジョンと社会への貢献

開院から数年が経ち、患者さんの傾向に変化はありますか?

大学病院時代に比べて、患者さんの平均年齢がぐっと若返りました。大学病院では70代が中心でしたが、現在は50代の方も多いです。これは、より早い段階から介入して「合併症の予防」に取り組めている証拠でもあり、非常にやりがいを感じています。

今後の展望や、これから挑戦したいことは何でしょうか?

2026年2月には、糖尿病についての書籍を出版する予定です(「ゼロからわかる糖尿病」講談社)。これまでの診療経験や考えをまとめることで、より多くの方に糖尿病との向き合い方を知っていただきたいと考えています。また、自分自身の体を大切にすることが、巡り巡って社会や平和を考える第一歩になると信じ、その啓発も続けていきたいですね。

最後に、開業を迷っている後輩医師や患者さんへメッセージをお願いします。

開業は覚悟が必要ですが、患者さんの人生に深く関われる喜びは代えがたいものです。糖尿病に悩む方には、ぜひ「自分の人生を整える」という気持ちで相談に来ていただきたい。私たちはそのための良きパートナーでありたいと思っています。

Profile

院長 税所 芳史

税所院長は、1998年に慶應義塾大学医学部を卒業後、慶應義塾大学病院や平塚市民病院などで内科全般の研鑽を積まれました。2002年からは糖尿病専門医としてのキャリアを本格的にスタート。2006年からは米国UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)へ留学し、糖尿病の鍵となる「膵β細胞」の研究に従事された、糖尿病治療のスペシャリストです。 帰国後は慶應義塾大学医学部の専任講師として、長年にわたり診療・教育・研究の現場を主宰。2022年、その豊富な経験と高度な専門知見を地域医療に還元すべく、中野区に「さいしょ糖尿病クリニック」を開業されました。 現在は慶應義塾大学医学部の非常勤講師も兼任されています。専門医としての深い知見を持ちながらも、診察室では白衣を脱いで患者さんと同じ目線で語りかけるなど、「一人ひとりの人生に寄り添う親しみやすさ」を大切にされています。中野の地で、患者さんが自分らしく健やかな日々を過ごせるよう、日々尽力されている先生です。

会社情報

医院名

さいしょ糖尿病クリニック

設立

2022年