医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
脳の不安も日常の不調も、まるごと支える
おくだ脳神経外科クリニック
院長 奥田 智裕
福岡県糟屋郡篠栗町に、新たな地域の保健室とも言えるクリニックが誕生しました。2026年2月9日に開院した『おくだ脳神経外科クリニック』です。 院長を務めるのは、これまで九州大学病院や神戸市立医療センター中央市民病院などで、脳神経外科の最前線に立ってきた奥田智裕先生。 「脳外科」と聞くと、少し敷居が高いイメージを持つ方も多いかもしれませんが、奥田院長が目指すのは、頭痛やめまい、物忘れといった日常の不安から、高血圧などの生活習慣病まで幅広く相談できる、地域に根ざした「親しみやすさ」です。 今回は、奥田先生が医師を志した原点から、篠栗の地で実現したい理想の医療についてお伺いしました。
—さっそくですが、先生が医師を志したきっかけを教えてください。
外科医として開業していた祖父の存在が大きいです。 子供の頃、お昼休みにも手術をこなす祖父の姿を見て「かっこいいな」と憧れたのが原点ですね。 父も内科医でしたので、自然と医師の道を志すようになりました。
—なぜ数ある診療科の中から「脳神経外科」を選ばれたのでしょうか?
脳神経外科は、診断から手術、カテーテル治療、そして術後のICU管理まで一貫して自科で完結できる点に魅力を感じました。 領域が広く、自分のスキル次第で患者さんを全人的に診られることが、自分自身の性に合っていると感じたからです。
—これまで救急現場など非常にハードな経験も積まれたとのことですが、こちらはいかがでしたか?
九州大学病院や救急センターでは、一刻を争う重症患者さんと向き合う日々でした。 厳しい現実に直面することもありましたが、そこで培った判断力や、ご家族の不安に寄り添う姿勢は、現在の私の礎になっています。
—今回、篠栗町での開業を決めた理由を教えてください。
この地域にはMRI検査や脳外科の専門診療が受けられる施設が少なく、住民の方が遠くまで通院している現状を知ったからです。 地域の皆さんが、身近な場所で質の高い専門医療を受けられる環境を作りたいと考えました。
—開業にあたって、ご家族の後押しもあったそうですね。
妻の言葉が大きなきっかけでした。 大学院時代、私が研究の傍ら救急当直に明け暮れる姿を見て、「それだけ情熱があるなら、自分の城を持って地域のために力を尽くすべきだ」と背中を押してくれたんです。
—奥様も医療従事者とお伺いしました。
はい、看護師として共に救急現場にいた時期もありました。 現在は事務長としてクリニックを支えてくれており、業者さんとの交渉なども含め、二人三脚で準備を進めてきました。
—診療において、先生が最も大切にしていることは何ですか?
「正直であること」です。 自分がどこまで対応できるのか、他の専門医に相談すべき点はどこか。 良いこともそうでないことも包み隠さずお話しし、患者さんやご家族と真摯に向き合うことを信条としています。
—脳外科以外の悩みについても相談に乗っていただけるのでしょうか?
もちろんです。 救急当直で培った経験を活かし、風邪や腹痛、ちょっとした体調不良など、どこの科に行けばいいか分からない悩みも幅広く受け入れています。
—専門医として、どのような症状を診ていただけますか?
頭痛、めまい、物忘れ(認知症)などは私の専門領域です。 特に頭痛や高血圧などの生活習慣病は、大きな病気の予防にも繋がります。 最新のMRI検査を用いて、迅速かつ正確な診断を行うよう努めています。
—最後に、これから開業を目指す先生方へのアドバイスをお願いします。
勤務医には、目の前の症例や手術に集中し、全力で「来た球を打ち続ける」という職人的な楽しさが間違いなくあります。ですが開業医は、自分で計画を立て、数年先の未来を見据えて戦略を練っていくという、また別の面白さがあると感じています。
—責任の重さについても、勤務医時代とは異なりますか?
そうですね。失敗も成功もすべて自分自身の責任になります。ですが、その責任の重さこそが、大きなやりがいにも繋がっています。
—これから挑戦しようとしている先生方へ、メッセージをお願いします。
勤務医としての楽しさは、その時しか味わえない絶対的なものです。ですから、まずは勤務医としての現場を十分に楽しみ、経験を尽くしてから開業という道を選んでも遅くはないと思います。私自身もようやくスタートラインに立ったばかりですが、この決断にワクワクしています。
Profile
院長 奥田 智裕
2012年に九州大学医学部を卒業。その後、神戸市立医療センター中央市民病院にて研鑽を積み、九州大学病院や浜の町病院、九州医療センターといった脳神経外科の最前線で、高度な手術や救急医療に深く従事してまいりました。2023年には九州大学大学院にて博士号を取得。 そして2026年2月、自身の理想とする医療を形にすべく、福岡県糟屋郡篠栗町に『おくだ脳神経外科クリニック』を開院いたしました。脳神経外科専門医としての高い専門性を活かし、頭痛や生活習慣病の管理はもちろん、地域の皆様が何でも話せる「総合的な相談役」として、幅広く貢献することを目指しています。