「人に感謝されることが、やりがいになる」──横浜駅西口歯科・大橋豪院長が語る、信念ある診療と組織づくり
2025.07.15
保険から美容まで、患者一人ひとりに寄り添う丁寧な診療を目指して
錦糸町皮膚科内科クリニック
院長 田尻 友恵
2022年に開院した「錦糸町皮膚科内科クリニック」は、皮膚科を中心に内科、アレルギー科、ペインクリニック、美容皮膚科まで幅広く対応する地域密着型のクリニックです。院長の田尻友恵先生は、皮膚の症状を「身体からのサイン」と捉え、皮膚だけでなく全身の状態を丁寧に診る総合的な視点を大切にしています。 インタビューでは、終始柔らかな笑顔で、患者さん一人ひとりに向き合う姿勢や医療への想いを丁寧に語ってくださいました。「相談しやすい雰囲気づくり」や「わかりやすい説明」を重視する診療スタイルからは、誰もが安心して足を運べるクリニックを目指している誠実さが伝わってきます。 今回は、田尻先生のこれまでのご経験や開業の背景、日々の診療で大切にされていること、そして今後の展望について伺いました。
—まず、田尻先生が医師を志すようになったきっかけから伺ってもよろしいですか?
祖母が入院していたとき、担当医の先生の対応が本当に温かくて。それがとても印象に残っていて、「私もこんなふうに誰かの力になれる医師になりたい」と思ったのがきっかけです。兄も2人とも医療の道に進んでいて、一人は脳外科医、もう一人は歯科医なんです。そうした環境の中で育ったことも、自然と医師という職業を意識するようになった理由の一つですね。
—開業に至った経緯についても教えてください。
もともとは都内の病院やクリニックで勤務していたのですが、大きな病院ではどうしても“枠”の中での診療になってしまって。もっと柔軟に、総合的に診られる医療がしたいと考えるようになったんです。皮膚科や内科、アレルギー科、ペインクリニック、美容皮膚科といった幅広い分野を経験してきたからこそ、患者さんをまるごと診る医療を実現したいと強く思いました。そうした自分の理想を形にするために、2022年に開業しました。
—ご専門の分野についても教えていただけますか?
私は皮膚科を専門としていますが、これまで内科やアレルギー科などさまざまな領域で研鑽を積んできました。皮膚の症状は、実は内科的な疾患が背景にあることも少なくないんです。糖尿病や膠原病、悪性腫瘍などが皮膚に現れることもありますので、当院では皮膚科と内科の両面から診断・治療を行える体制にしています。
—診療時に気をつけていることや意識していることがあれば教えてください。
患者さんの中には、ご自身の症状をうまく伝えられない方もいらっしゃるんですね。だからこそ、まずは話しやすい雰囲気づくりを意識しています。治療の説明は丁寧に、分かりやすく。処方するお薬についても、効果だけでなく副作用などもきちんとお伝えするようにしています。患部の写真を撮って記録しておき、次回比較できるようにもしています。そうすることで、患者さん自身も「頑張って治そう」という気持ちを持ちやすくなるんです。
—人材の採用については順調でしたか? 苦労されたことはありますか?
立ち上げ当初は本当に大変でしたね(笑)。スタッフの入れ替わりも激しく、安定するまでに1年近くかかりました。今はスタッフも定着してきて、働きやすい環境が整ってきたかなと感じています。
—スタッフとのコミュニケーションや教育面ではどんな工夫をされていますか?
2ヶ月に一度、スタッフミーティングを行っています。ランチミーティングのように和やかな場をつくって、その人にしか見えていない課題や改善点を拾えるように心がけています。立場が違えば見えてくるものも違うので、現場の声を聞くことを大切にしています。
—開業してからのなかで、特に苦労されたエピソードがあれば教えてください。
開業初期、ちょうどコロナ禍で発熱外来への対応をめぐり、スタッフと方針の食い違いが起きてしまったことがありました。その結果、看護師さんが退職してしまって…。最低限の人数でまわしていた時期だったので、本当に大変でした。この経験から、恩師に教わった「最低限の人数プラス1人」という採用戦略の大切さを身に染みて感じました。
—クリニックを経営していて「嬉しいな」と感じる瞬間があれば教えてください。
患者さんに「ここにクリニックがあってよかった」と言っていただけると、何よりうれしいです。治療を通じて笑顔になってくださることが、私たち医師の一番のモチベーションです。
—逆に、大変だと感じることはどんなときでしょうか?
やはり人事労務ですね。採用も教育も、正解がないぶん手探りで進めることが多くて。スタッフ一人ひとりと向き合いながら、少しずつ信頼関係を築いていくことの大切さを日々実感しています。
—あらためて、クリニックの経営理念について教えてください。
保険診療でも自由診療でも、分け隔てなく相談しやすい雰囲気をつくることを大切にしています。一人ひとりにとって“また来たい”と思ってもらえるような、あたたかいクリニックを目指しています。
—今後2~3年のビジョンがあれば教えてください。
錦糸町の皆さまに頼っていただける存在であり続けたいというのがまず一つ。 そして、2026年に王子にて開業を予定しております。 本院と分院を通じて東京都内の皆様に医療を届けていきたいと思います。
—どういった患者様層に来ていただきたいとお考えですか?
当院では保険診療も自由診療も両方対応しているので、「どちらで受診したらいいの?」と迷っている方にも安心してご相談いただけます。美容皮膚科をご希望の方はもちろん、シミやイボ、にきび跡といった保険適用外のお悩みにもアプローチできますし、治療後のアフターケアまで丁寧にサポートしています。最近は美意識の高い男性の方も増えていて、頭髪のお悩みや赤ら顔など、幅広い年代の方にご来院いただいています。
—現在の集患状況についてお聞きします。まだ患者さんを増やしていける余地はあるとお感じですか?
はい、増やせる余地はまだあると思っています。ただし、予約をパンパンに詰めるのではなく、あえて少し余裕を持たせるようにしているんです。そうすることで予約も取りやすくなりますし、待ち時間も短くできるので、患者さんにとっても通いやすいクリニックになると考えています。
—先生にとっての夢をお聞かせいただけますか?
東京都内でもっと多くの方に医療を届けたいという思いがあります。保険も自費も扱っているからこそ、敷居が高すぎず、どんな方でも気軽に来られる、あたたかいクリニックを増やしていけたらいいなと思っています。年齢も性別も関係なく、幅広い方々を診られる存在でいたいですね。
—最後に、これから開業医を目指す先生方へメッセージをお願いします。
開業準備って、大変なことも多いですが、すごく楽しい時間でもあります。私自身、不安で眠れなかった夜もありましたけど、今は「もっと早く開業していればよかった」と思っています。開業には正解がないからこそ、自分のスタイルで楽しんで進めていってほしいです。人生一度きり、やりたいことがあるなら、思い切って挑戦してほしいですね。
Profile
院長 田尻 友恵
患者さんの「困った」に真正面から向き合い、「ここに来てよかった」と思ってもらえることが何よりの喜びだと語ってくださった田尻先生。温かな語り口と丁寧な説明の中に、開業医としての覚悟と誠実さがにじんでいました。 皮膚を通じて体の中まで診ていく総合的な視点、そして一人ひとりに寄り添う柔らかな医療のかたち。田尻先生が目指すのは、保険診療と自由診療の垣根を越えた「相談しやすい」クリニックです。予約の取りやすさや待ち時間の配慮といった小さな工夫の積み重ねもまた、患者さんへの思いやりに満ちていました。 今後は分院展開も視野に入れ、さらに多くの方に医療を届けていきたいと語る田尻先生。その穏やかな笑顔の奥には、地域医療への熱意と真摯な信念がしっかりと息づいていました。