Interviewインタビュー

あのクリニックを引き継いだ先に見えた、地域医療のかたち

丸山内科クリニック

院長 丸山 勝也

神戸市須磨区にある丸山内科クリニックは、地域のかかりつけ医として内科・循環器・腎透析を中心に幅広い診療を提供しています。院長の丸山勝也先生は、大学病院や市中病院での豊富な経験を重ねた後、前院長からクリニックを継承し、2020年に開業されました。長年地域に親しまれてきた信頼を受け継ぎながらも、丁寧なヒアリングと的確な検査を重視する診療スタイルで、患者一人ひとりに寄り添う医療を実践されています。継承ならではの想いや、新たな挑戦として取り組む腸内環境治療、そして地域医療へのまなざしについて、お話を伺いました。

地域の信頼を守りながら、新しい医療へ──丸山内科クリニック院長・丸山先生に聞く

医師の道を選んだ理由と開業への歩み

まずは医師を志すことになったきっかけを教えていただけますでしょうか?

よく「家族に医療関係者がいたから」とか「大切な人を助けたくて」といった理由を耳にしますが、私はそうではありません。単純に人体の仕組みに興味があって、それを深く学びたいと思ったんです。実際に人の体を見て学べる環境という点で、医学部が最適だと考え医学部に進みました。

原点は純粋な探究心だったんですね。実際に開業を決めたときは、どんな背景があったのでしょう?

以前勤務していた病院が移転することになったタイミングで、自分でもそろそろ開業を…と考え始めていたところでした。そんなとき、今のクリニックの前任の先生が継承先を探していると聞き、ご縁を感じてお話を聞いたんです。ただ、その後すぐにその先生が倒れられてしまって、当初は一時的に手伝うつもりだったのですが、復帰が難しくなったため、私が正式に引き継ぐ形で開業することになりました。

クリニックの診療科目と、丸山先生の専門についても教えていただけますか?

当院は内科と循環器内科が中心です。私は循環器を専門としていますが、腎臓疾患や糖尿病、透析にも対応しています。継承当初は糖尿病の患者さんが非常に多かったため、対応できる機器類をそろえるところから始めました。今は糖尿病と高血圧などの循環器系疾患の患者さんが、ちょうど半々くらいの割合になっています。

丸山先生が日々の診療で大切にされていることはありますか?

やはり、まずは丁寧なヒアリングですね。開業当初は初診の方ばかりでしたので、一人ひとりとしっかり向き合う必要がありました。そのうえで必要な検査を的確に行い、情報を集めたうえで診断と治療方針を立てるようにしています。データに基づいた診療を心がけることで、患者さんにも納得いただけるよう意識しています。

継承開業で直面した壁と喜び

スタッフの採用についてですが、順調に進んでいますか?

はい、おかげさまで今はとても順調です。前から働いてくださっている方もいれば、新しく加わったスタッフもいますが、ありがたいことに募集をかけると比較的スムーズに応募が来ます。この1年ほどで定着も進み、組織としての安定感が出てきたと感じています。

スタッフの採用にはどのような方法を活用されていますか?

インディードやタウンページを活用しています。オンラインの求人媒体はやはり便利ですね。

開業から現在までを振り返って、特に大変だったことは何ですか?

スタッフとの関係性ですね。勤務医の頃と院長としての立場では、スタッフとの距離感や接し方がまったく違います。院長としての自分に慣れてもらうこと、また私自身もその立場に慣れるまでに時間がかかりました。

逆に、やっていてよかったと思う瞬間や幸せを感じる瞬間はどんな時ですか?

治療方針がうまくいって、患者さんの体調が良くなったときですね。そして「ありがとう」「良くなりました」といった言葉をいただける瞬間が、何よりも嬉しいです。それが一番のやりがいですね。

地域に根差しながら、新しい医療へ

改めて、クリニックとしての経営理念を教えてください。

この場所は前任の先生から引き継いだクリニックなので、地域の方にとっては昔から馴染みのある場所です。ですから、これまでの医療方針や雰囲気を大切にしながら、そこに私なりの新しい知見や医療技術も取り入れていくというのが基本方針です。前のやり方を尊重しつつ、今の時代に合った医療を提供する。それが私の考える継承の形です。

今後2〜3年の展望についてお聞かせください。

保険診療の範囲では、これまで通り患者さんに信頼されるクリニックであり続けたいと思っています。ただ、経営の安定化を考えるうえで、自由診療のような保険外の取り組みにもチャレンジしていきたいですね。現在は腸内環境治療を一つの柱として取り組んでいます。

専門的な取り組みと患者数の現状

現在の患者数についてはいかがでしょうか?

保険診療に関しては、ほぼ上限に達している印象です。今のクリニックの規模では、1日100名程度が理想的なラインだと思っています。

最近取り入れてよかったと感じる取り組みはありますか?

腸内環境に関する取り組みですね。内科の疾患は腸との関連が深く、腸内環境を整えることで体調全体が良くなる方も少なくありません。個人的に、この分野はもっと注目されるべきですし、内科医の先生方にも知識として持っておいていただきたいと思っていますね。

未来に向けたビジョン開業を考える先生たちへ

先生の今後の夢についてお聞かせください。

新しい分野には積極的に投資していきたいと考えています。特に腸内環境治療には、これからも力を入れていきたいです。まだまだ発展の余地がある分野ですし、患者さんの生活改善にも直結するテーマだと実感しています。

最後に、これから開業を目指す医師の方々へアドバイスをいただけますか?

開業はゴールではなく、始まりだと思ってください。最初から大きな箱で始めるより、小さなクリニックで自由度高くスタートするのが現実的です。とくに自由診療を考えているなら、身動きの取りやすさは大切です。継承にしても新規開業にしても、「その後どうしていくか」をしっかり考えておくこと。開業したら、それがずっと続くわけではないので、リスクを想定しながら、柔軟に取り組んでいくことが大切だと思います。

Profile

院長 丸山 勝也

丸山内科クリニック院長の丸山勝也先生は、2020年、長年地域に親しまれてきた前院長の意思を継承し、神戸市須磨区にて開業いたしました。内科・循環器・腎透析を専門に、これまで大学病院や市中病院で培った経験を活かしながら、地域の皆さまに信頼される医療を目指しています。また、丁寧な問診と的確な検査を重視し、一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。前任からの流れを大切にしつつ、新たな医療技術や知見も積極的に取り入れ、変わらぬ安心と進化する医療の両立を目指しています。

会社情報

医院名

丸山内科クリニック

設立

2020年7月