医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
「安心できる、ほっとできる癒しの医療を笑顔で提供したい」鶴橋なんばクリニック 灘波良信院長が目指す、専門性と温もりが共存する医療のカタチ
医療法人 あさい内科 鶴橋なんばクリニック
院長 灘波 良信
大阪・鶴橋駅から徒歩1分という場所に位置する鶴橋なんばクリニック。ここで院長を務める灘波良信先生は、薬剤師としてのバックグラウンドを持ち、長年「がん治療」と「呼吸器疾患」の最前線で研鑽を積んできた異色の経歴を持つ医師です。国立がん研究センターや製薬会社での開発業務など、多角的な視点で医療を見つめてきた灘波先生が、なぜ今、地域に根差したクリニックでの診療に力を注いでいるのか。その根底にあるのは、「患者様にほっとしていただきたい」というシンプルで深い情熱でした。今回は、開業の経緯から日々の診療で大切にされている想い、そしてこれからの展望について、じっくりとお話を伺いました。
—まず、灘波先生が医師を志したきっかけを教えてください。
実は私の実家が薬局を営んでおりまして、私自身も最初は薬学部を卒業して薬剤師になりました。しかし、実際の現場を経験する中で、薬剤師と医師では患者様に対して直接「できること」の範囲に大きな違いがあることを痛感したんです。より深く治療に携わりたいという思いが、医学部へ進む原動力になりました。
—キャリアの初期に抱いた、当時の医療への違和感もあったそうですね。
はい。昔は今と違って、がんであることを本人に告知せずに治療を行うケースも少なくありませんでした。そうした時代背景の中で、患者様との情報のギャップを解消したい、「自分が医師になれば、もっと誠実で納得感のある医療を提供できるはずだ」と考えたことも大きなきっかけです。
—専門分野として「がん」や「呼吸器」を選ばれたのはなぜですか?
非常に難しい病気だからこそ、専門的な知識で力になりたいと考えました。特に肺がんは呼吸器と密接に関係します。刀根山医療センターや国立がん研究センターなどで、最前線のがん治療を学び、多くの患者様と向き合ってきました。
—キャリアの途中で、製薬会社での開発業務を経験された理由を教えてください。
免疫チェックポイント阻害剤などの革新的な新薬開発に携わる機会をいただいたからです。メディカルディレクターとして、データを通じて薬の真の価値を理解する仕事は非常に有意義でした。ただ、次第に「自分が世に出した薬を、実際に目の前の患者様に使いたい、その反応を直接見届けたい」という現場への想いが抑えられなくなったんです。
—大きな病院での勤務医ではなく、あえて地域での「開業」を選んだのはなぜでしょうか。
基幹病院では、治療のステージが変わる(在宅に移行するなど)と主治医が離れてしまうことが多々あります。私は、最後まで責任を持って患者様を診たいという気持ちが強かった。また、専門性の高い医療を、もっと身近な街のクリニックで提供したいと考えたからです。
—実際に開業されてみて、大変だと感じたことはありますか。
勤務医時代と違い、スタッフの管理や経営といった事務的な業務もすべて一人で決めていかなければならない点ですね。どうすればスタッフが仲良く働けるか、どんな検査機器を導入すべきかなど、試行錯誤の連続でしたが、非常にやりがいも感じています。
—診察の際、灘波先生が最も意識されていることは何ですか。
患者様は体の不調だけでなく、精神的な不安も抱えて来院されます。私が目指しているのは、診察を終えて帰る時に「相談して良かった」「ここに来てほっとした」と、心から安心していただける環境づくりです。
—待ち時間の短縮など、システム面でも工夫されていますね。
はい。Web予約やWeb問診を積極的に導入しています。事前に問診を済ませていただくことで、受付後の流れが非常にスムーズになります。忙しい若い世代の方々からも「待ち時間が少なくて助かる」と好評をいただいています。
—実際の診療で、どのような時に「喜び」を感じますか?
やはり、患者様から「良くなりました」という声をいただくのが一番嬉しいですね。当院は30〜50代の比較的お若い患者様も多いのですが、最近は咳や喘息の治療だけでなく、私の専門であるがんの悩みについて相談に来られる方も増えており、お役に立てている実感が活力になります。
—今後、どのようなクリニックに成長させていきたいとお考えですか。
現在はWebを見て来院される若い方が中心ですが、今後は地域にお住まいの50代以上の皆様にも、もっと認知していただきたいと思っています。この地域で「呼吸器やがんの相談なら、鶴橋なんばクリニックの灘波良信先生だ」と一番に名前が挙がる存在を目指しています。
—ホームページで情報発信にも力を入れていますよね。
医療コラムを定期的に更新しています。「カフェインは認知症に効くのか」といった、一般の方も興味を持ちやすい論文ベースの情報を分かりやすく発信することで、日々の健康管理に役立てていただければと考えています。
—最後に、これから医師を目指す方や開業を志す方へメッセージをお願いします。
これからの時代、単に「内科」を掲げるだけでなく、自分の得意分野を「尖らせる」ことが重要です。基幹病院との連携を保ちつつ、自分にしかできない専門医療で地域に貢献する。その誠実な積み重ねが、結果として患者様への「癒し」につながると信じています。
Profile
院長 灘波 良信
1988年大阪府立池田高等学校卒業後、1993年に大阪薬科大学を卒業し薬剤師免許を取得。その後、大阪医科大学へ進学し医師免許を取得。大阪大学医学部附属病院や近畿中央病院、大阪刀根山医療センターにて内科レジデントとして呼吸器腫瘍内科等の研鑽を積む。国立がん研究センター中央病院での勤務を経て、小野薬品工業にてメディカルディレクターとして新薬開発に従事。近畿中央呼吸器センター治験管理研究室長、宝塚市立病院部長を歴任。現在は鶴橋なんばクリニック院長として、薬剤師・専門医・開発者という多岐にわたる経験を活かし、質の高い「癒しの医療」を追求している。