難病と向き合い続けた小児循環器のスペシャリスト–京都駅さかぐち小児科ハートクリニック 院長 坂口 平馬インタビュー
2025.12.16
あわのこどもクリニック・面家健太郎先生が、高度な専門医療とあたたかいチーム力で岐阜の街に紡ぐ、新時代のファミリークリニック。
あわのこどもクリニック
院長 面家 健太郎
岐阜県岐阜市粟野東に位置する「あわのこどもクリニック」。2019年の開院以来、地域の子どもたちやそのご家族の健康を温かく見守り続けています。院長を務める面家 健太郎先生は、小児循環器の専門医として大病院での豊富なキャリアを持つ一方で、患者さん一人ひとりの「人生の伴走者」でありたいという強い想いからクリニックを開設されました。今回は面家院長に、医師を志したきっかけから、独自のスタッフ教育、そしてクリニックが目指すこれからの未来について、じっくりとお話を伺いました。
—面家先生が医師、そして小児科医を目指されたきっかけから教えていただけますか。
きっかけは小学生の頃にさかのぼります。当時、私がかかっていた小児科の先生が本当に素晴らしい方で、子どもながらに強い憧れを抱いたんです。「自分も将来、こんな風に子どもたちを温かく助けられる小児科医になりたい」と思ったのがすべての始まりですね。
—ここ「粟野」の地で開業されたのにも、何か深い理由があったのでしょうか。
実は、私の実家は決して裕福な家庭ではありませんでした。そのため、大学へ進学する際にも、この粟野にある伯母の家に下宿させてもらうなど、周囲のたくさんの助けを借りて医師になることができたという経緯があります。
—粟野は先生にとって思い入れの深い場所なのですね。
そうなんです。伯母の家から大学へ通った日々は、私の医師としてのまさに「スタート地点」です。だからこそ、開業を考えたときに「自分を支えてくれたこの粟野の地に医療で恩返しがしたい、ここをスタートの地にしたい」と強く思い、この場所を選びました。
—先生はこれまで、基幹病院の最前線で小児循環器や集中治療室の要職を歴任されてきました。そこから地域のクリニックを開業されたきっかけは何だったのですか。
大病院で重症の集中治療に携わる中で、「もっと早い段階で、本当にトレーニングを受けた小児科医が最初から関わることができていたら、この子はここまで悪化して大病院に来ずに済んだのではないか」と思う症例に何度も出会ったことが大きなきっかけです。
—早期に地域で適切に専門医が関わることの重要性を感じられたのですね。他にはどのような課題を感じていらっしゃいましたか。
私は「先天性心疾患」の患者さんを多く診てきましたが、この病気は大きくなってからも後遺症との戦いが続き、治療に終わりがありません。しかし大病院の外来はどうしても平日の限られた時間になり、毎回学校や仕事を休まなければならなくなります。ある親御さんから「外来にこれだけ通うと、子どもの学校の内申点がもらえなくなってしまうんです」と言われたときは、深く考えさせられました。
—医療が日常の社会生活の妨げになってしまっていた、ということでしょうか。
その通りです。社会復帰を助けているはずの医療が、学校や仕事の邪魔をしてしまっているジレンマがありました。それなら、毎日気軽に専門医に相談できる環境があれば、こうした慢性期の患者さんたちも「療養」と「学校や仕事」を無理なく両立していけるのではないか。そう考えたことが、開業への強い後押しになりました。
—医療業界全体で採用難と言われる中、先生のクリニックでは求職者をお断りするほど人が集まると伺いました。何か秘訣があるのでしょうか。
ありがたいことに、現在は多くの職種で順調に採用が進んでいます。私たちは求人票の条件を良くすること以上に、今働いているスタッフたちが笑顔で生き生きと活躍している姿を大切にしています。私自身が経営者として勉強していく中で、「選択理論心理学」をベースにしたマネジメントを取り入れたことが大きいですね。
—選択理論心理学を取り入れた教育とは、具体的にどのようなアプローチなのですか。
よく「ロバを水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」と言います。学ぶ環境(水辺)を提供することはできても、それを本人が自発的に使って成長するかどうかは本人次第です。だからこそ「教える」のではなく、スタッフ自らが「学びたい」と思える環境づくりを意識しています。
—自発性を引き出すために、具体的に行っていることはありますか。
当院では、診察を完全に止めて2日間の院内研修を行うことがあります。そこで医療事務や看護師といった職種の壁を越え、お互いが「なぜこの仕事を目指したのか」という人生の背景をじっくり聴き合うんです。背景を知ることで仲間への興味や尊敬が生まれ、「この人の志を応援したい、自分ももっと貢献したい」という自発的なモチベーションや、より良いチームワークへと繋がっていきます。
—クリニックの評価、特にGoogleの口コミ等でも非常に高いスコアと多くの声を獲得されています。この点についてはどのように捉えていますか。
私たちは、単に「スコアのために口コミを書いてください」とお願いするようなことはしていません。目指しているのは、患者さんが「思わず自発的に書きたくなるほどの感動」を提供することです。各部署でも「患者さんが感動するサービスとは何か」を自分たちで問いかけ、日々実践してくれています。
—患者さんへの「誠実な医療」がそのまま評価に繋がっているのですね。
例えばアトピーのお子さんなら、薬の正しい塗り方を丁寧に指導して、しっかり治って来院回数が減ることが一番です。経営の数字だけを追うならリピーターが減ることになりますが、私たちは目先の売上ではなく、患者さんの「未来」のために何ができるかを一番に考えています。そうした姿勢に共感し、お母さん同士の横のつながりで良い口コミが広がっていくのは本当に嬉しいことです。
—最後に、これから同じように開業医を目指す先生方へメッセージをお願いします。
正直、近年の開業環境は年々厳しくなっています。「勤務医がしんどいから」という理由だけなら、絶対にやめておいた方がいい。勤務医を続ける方がよっぽど良い環境です。 しかし、もし「自分自身が中心となって理想のチームを作り、理想の医療をカタチにしたい」という強い志があるなら、開業医はこれ以上ないほどやりがいのある仕事です。大きな病院では50〜60代にならないとできない挑戦を、40代という若さから、自分の裁量と責任で形にしていけるからです。 「この指とまれ」と叫びたくなるような理想の医療があるなら、ぜひ恐れずに挑戦してください。私は心から応援しています。
Profile
院長 面家 健太郎
医療法人 MIRAI 理事長 / あわのこどもクリニック 院長 2000年に岐阜大学医学部医学科を卒業後、同大学附属病院小児科に入局。2005年に医学博士号を取得。国立循環器病センターや岐阜県総合医療センターなどで、小児循環器科医長、成人先天性心疾患診療科医長、小児集中治療室部長心得などの要職を歴任。高度な専門医療の最前線で多くの命を救う。2019年、生まれ育った岐阜の地で「あわのこどもクリニック」を開院。2024年には「医療法人 MIRAI」の理事長に就任し、現在は小児科の枠を超え、家族みんなに寄り添う医療の実現に向けて邁進している。