Interviewインタビュー

クリニックの背景に迫る。APOLLO BEAUTY CLINIC 鬼沢正道理事長が語る「私たちが患者様に選ばれる本当の理由」

APOLLO BEAUTY CLINIC

理事長 鬼沢 正道

東京・神宮前に院を構える「APOLLO BEAUTY CLINIC」。洗練されたエリアにありながら、一歩足を踏み入れると、どこか実直で落ち着いた雰囲気が漂います。今回は、同クリニックの開業医であり、医療法人社団賢叡会の理事長を務める鬼沢正道先生にお話を伺いました。「世のため人のため、といった綺麗事を言うつもりはありません」と、インタビュー冒頭から非常に人間味あふれるリアルな本音を明かしてくださった鬼沢正道先生。挫折や葛藤を乗り越え、独自の視点で日本の美容医療と向き合い続けるその熱い想いと、APOLLO BEAUTY CLINICが目指すこれからの展望について、対談形式でじっくりとお届けします。

「綺麗事は言わない」APOLLO BEAUTY CLINIC 鬼沢正道理事長が明かす、逆境から生まれた美容医療へのリアルなこだわり

医師を志した驚きの原点

まずは先生が医師を志したきっかけや、当時の出来事についてお聞かせください。

私は医者家系でもないですし、世のため人のためといった高尚な志があったわけでもないんです。地元は閉塞感のある大変な田舎で、一族で大学に行った人間すら一人もいない環境でした。だから、医者になることがどれほど大変かも全然想像がついていませんでしたね。ただ、当時の勝手なイメージとして「医者になれば、みんなからちやほやされるんじゃないか」という思いがありました。

ちやほやされたい、という動機はとても人間味があって新鮮です。なぜそう思われたのですか?

地元にいた頃の私は、周囲からも親からもお世辞にも大切にされているとは言えない、いわゆる「冴えない、目立たない存在」だったんです。そんな自分が「どうすれば誰かに認められるか、ちやほやされるか」を必死に考えていました。

その中で、なぜ数ある職業から「医師」を選ばれたのでしょうか。

自分の仕事を一言で説明できて、シンプルに分かりやすい仕事がちやほやされると思ったんです。例えば、当時からWebマーケティングと言われても世の中の何に役立っているのかパッと浮かばなかった。でも「僕は外科医です」と言えば、「手術をして命を救っているんだ」と一発で伝わりますよね。このキャッチーさが魅力的でした。

挫折と業界への違和感

2012年に日本大学医学部を卒業され、慶應義塾大学病院などで整形外科医として歩み始められますが、なぜ、その後美容外科へ転身されたのでしょうか?

師人生は決して順風満帆ではありませんでした。他大学から入った医局ではかなり厳しい扱いを受けましたし、何より学生時代の多額の奨学金や学費の返済を僕名義で抱えていて、大学を出る頃には4000万円以上の借金があったんです。毎月数十万の返済に追われる中、集団生活では頑張りよりも生まれや学歴ばかりが見られていると感じ、自分の居場所に疑問を持ちました。そのタイミングで大手美容外科からお声をかけていただいたのが転機です。

大手美容外科に入ってみて、いかがでしたか?

最初は借金返済のために1〜2年で辞めるつもりでしたが、自由診療というビジネスモデルがすごく面白いなと気づかされました。ただ、同時に業界の嫌な部分、歪んだ構造にも直面したんです。一言で言えば「詐欺」に近いような手法が横行していました。

詐欺に近い手法、とは具体的にどういうことでしょうか。

広告では「二重まぶたが2万9800円でできます」と謳って若い女の子たちを呼び寄せるのに、いざカウンセリングに来たら「あなたには70万円の施術じゃないと無理」と強引に契約を迫る。女の子たちがキャンペーンだけを望んでも、「この契約をしないと適用できない」とぼったくっていくんです。それで美容外科医たちが大金持ちになっている姿を見て、私は「これが自分のやりたい医療なのか?」と強い違和感を覚えました。

人間関係と診療の哲学

先生が患者様やスタッフと向き合う上で、最も大切にされている視点は何ですか?

これもすごくドライに聞こえるかもしれませんが、私は基本的に「人間の言うことを信用していない」という前提で生きています。これはスタッフに対しても、仲の良い友達に対しても、そして患者様に対しても同じです。

「信用しない」というのは、一見冷たくも感じられますが、その真意を教えてください。

人間って、お互いに本音じゃないところで向き合って、傷つけ合わないようにおべっかを使いながら生きているじゃないですか。誰しも絶対に後ろ暗い部分や、やましい部分を持っています。出会って10分そこらのカウンセリングで「あなたの人間性を見て信頼しました」なんて綺麗事は、私には口が裂けても言えません。

では、患者様とはどのような関係性を築かれているのでしょうか。

人間性で深く結びつくのではなく、「同じゴールを目指す関係」でありたいんです。患者様が「目を大きくしたい」「鼻を高くしたい」というニーズを持って来られ、私は技術を提供する。その代わり、アフターケアは患者様自身に頑張ってもらう。お互いの役割と目標を明確にし、そこに人間性を介入させないドライな関係こそが、医療として最も誠実で、確実に患者様を幸せにできる方法だと信じています。

これからのビジョン

2023年には医療法人を設立されましたが、2〜3年後のクリニックの未来をどう描いていますか?

直近の一番の課題はマンパワーの不足ですね。これから新しくスタッフを雇っていく予定ですが、大きなビジョンとしては、これまでの「僕のワンマン経営」から少しずつ手を離していきたいと考えています。最終的な判断や責任は僕が取りますが、日々の現場の裁量はもっとスタッフに委ねていきたいです。

経営のスタイルをシフトしていくのですね。集客やマーケティングの面ではいかがですか?

今の美容業界って、とにかくWeb広告をぶん回したり、SNSでバズを狙ったりして「商品を売る」ようなマーケティングが主流ですよね。でも、そうやって派手にやっているクリニックの人たちが、僕にはあまり幸せそうに見えないんです。だから、僕は他院と張り合うことも、誰かを羨ましいと思うことも辞めました。当院は、本当にありがたいことに「口コミ」だけで多くの患者様にリピートしていただいています。

最後に、これから開業を目指す医師や、同じような境遇にいる先生方へアドバイスをお願いします。

「お金を儲けたい」だけで美容医療の開業をするなら、本来自図がやりたくないような浅ましいことも積極的にやっていかないと、今の時代は食べていけなくなります。また、保険診療だけでなく自由診療も絡めていかないと、これからの日本の医療を生き抜くのは難しい。何より、バズっている表面的な華やかさに惑わされず、自分自身の確かな実業と実力を磨き続けることが大切だと思います。

Profile

理事長 鬼沢 正道

1987年生まれ。2012年に日本大学医学部を卒業後、慶應義塾大学病院にて初期臨床研修を修了。2014年より慶應義塾大学整形外科学教室に入職し臨床経験を積む。2016年、大手美容外科クリニック(品川美容外科等)へ勤務し、自由診療および美容医療のノウハウを習得。2020年、自身の理想とする誠実な美容医療を提供するため、東京都渋谷区神宮前に「APOLLO BEAUTY CLINIC」を開業。2023年には「医療法人社団賢叡会」を設立し、同法人の理事長に就任。これまでの画一的な美容医療のあり方に疑問を投げかけ、患者様のニーズに寄り添った確かな技術と実直なカウンセリングで、多くのリピーターから厚い信頼を寄せられている。

会社情報

医院名

APOLLO BEAUTY CLINIC

設立

2020年