—先生が医師を目指されたきっかけ、まずはそこからお聞きしてもいいですか？

小さい頃から祖父が医師として働く姿を見ていて、その背中にずっと憧れていました。それに医療系のドラマも好きで、『自分もこんなふうになりたいな』と思ったのが原点ですね。

—最初から美容医療を志していたわけではないんですね。

そうなんです。最初は内科医として、不調をゼロに戻す治療をしていました。でも次第に、ゼロからプラスを作る美容医療の魅力に惹かれて、美容の世界に飛び込みました。

—そこから開業を決めたのはどうしてですか？

大手美容クリニックで働く中で、業界の課題に気づくことがありました。本当に価値のある施術を届けられる場所を作りたいと思ったんです。

—ご専門はどの分野ですか。

美容外科と美容皮膚科です。

—中山先生が診療で大切にしていることは何でしょうか。

患者様それぞれが抱えるお悩みや理想は違います。同じ二重整形でも、ご希望のデザインや背景は全く異なりますから、その気持ちをしっかり汲み取ってオーダーメイドで施術しています。うちにはカウンセラーがいませんので、医師が初診から診断、施術まで一貫して担当します。美容医療は必然性が低いからこそ、不信感を持たれないように誠実であることを意識しています。完全予約制にして待ち時間をなくし、患者様同士が顔を合わせないようにするなど、居心地の良さにも気を配っています。

—スタッフの採用状況はいかがですか。

ありがたいことに順調です。退職者もおらず、優秀なスタッフに恵まれているので採用で困ったことはありません。

—なるほど。ちなみに、スタッフの人材教育ではどんな点を意識されていますか。

自分が満たされていないと人を満たすことはできないので、スタッフの満足度が高くないと患者様の満足度も上がらないと考えています。そのため、働く人の気持ちを大切にして、福利厚生や日頃のコミュニケーションを重視しています。相手の話をしっかり聞く姿勢を私が持つことで、スタッフも患者様の話にしっかり耳を傾けてくれます。

—開業後に苦労されたことはありますか。

開業前は美容外科の技術や知識を磨くことに集中していましたが、経営となるとそれだけでは足りません。経営の知識やマネジメントスキルが必要になり、医学部では学ばなかった分野なので最初は大変でした。でも、医療以外のことを学べる機会を得られたのは幸せなことだと思っています。

—経営をしていて嬉しい瞬間はどんな時ですか。

「施術を受けた患者様が『嬉しい』『前向きになれた』『周りに褒められた』と笑顔で話してくれる時ですね。スタッフが楽しそうに働いている姿を見る瞬間も、とても嬉しいです。

—それでは、中山先生の経営理念を教えてください。

『常に感謝』と『常に笑顔』です。スタッフや患者様への感謝を忘れず、施術を任せてもらえることに真摯に応える。そして笑顔のある空間をつくること。笑顔のない暗いクリニックには誰も行きたくないですからね。

—今後2〜3年のビジョンはありますか。

今通ってくださっている患者様が、これからもずっと通いたいと思ってくれるクリニックでありたいです。そして、より多くの患者様に信頼され続ける存在でありたいですね。

—中山先生が思う、来てほしい患者様の層や特徴を教えてください。

美容外科に興味はあるけれど不安を感じている方や初めての方、そして他院で嫌な経験をされた方に来ていただきたいです。

—ちなみに、集患の状況はいかがでしょうか。

ありがたいことに現状、多くのご予約をいただいています。この状況を維持していきたいですね。

—導入して良かったサービスや制度はありますか。

スタッフへの昼食提供です。健康や栄養面を考慮した食事を用意しています。以前、スタッフがカップラーメンで済ませている姿を見て心配になりましたし、ご家族にも申し訳ないと思ったんです。一人暮らしだと栄養バランスが偏りがちですから、せめて勤務中のお昼だけでも健康的なものを食べてほしいと思いました。

—2~3年ではなく、長期的に見た中山先生の夢をお聞かせください。

美容外科の業界で誠実な施術を積み重ねれば、その価値は広がっていくと思います。患者様が安心して通える時代をつくるため、自分のクリニックでは誠実さを貫きたい。そして悲しい思いをする患者様が一人でも減ることを願っています。

—最後に、開業を目指す医師へのメッセージをお願いします。

多くの方は経営の知識がない状態で開業に臨むと思います。まずはその事実を自覚して、経営やマネジメントを学び、わからないことは素直に聞くこと。投げ出さずに自分の頭で考えて行動することが何より大切です。