なぜ、訪問診療という形で地域医療に貢献するのか?仙台みやぎの訪問クリニック 院長 川村 雄剛 先生に聞く、医師としての信念と挑戦
2025.10.01
「すべては患者さんのために」圧倒的なクチコミ数が証明する、丁寧な診察とこれからのクリニック経営のあり方。
みみ・はな・のど たけどみクリニック
院長 武富 弘敬
福岡県福岡市博多区に位置する「みみ・はな・のど たけどみクリニック」。博多駅からもほど近いウィルブメディカルスクエア内にあり、地域に根ざした耳鼻咽喉科として多くの信頼を集めています。今回のインタビューでは、同クリニックの院長を務める武富弘敬先生にお話を伺いました。 武富院長は、医師として目の前の患者さんと真摯に向き合う「臨床」を重んじる一方で、開院以来、一人の「経営者」としてもクリニックを引っ張ってこられました。激動のコロナ禍を乗り越え、開院5周年を迎えた今、武富院長がどのような想いで日々の診療に臨み、そしてこれからの未来を見据えているのか、その情熱と挑戦の軌跡に迫ります。
—まず、武富先生が医師を志したきっかけからお聞かせいただけますか?
私が医師を意識し始めたのは、小学校低学年の頃でした。当時、私の祖父がよく病院に通っていたのですが、担当していた内科の先生に対して、祖父が絶大な信頼を寄せていたんです。その姿を間近で見ていて、「医者って本当にすごい職業なんだな」と漠然とした憧れを抱いたのが最初のきっかけです。
—浪人生活も経験されたとのことですが、モチベーションを維持し続けられた理由は何だったのでしょうか。
環境の力が大きかったですね。私の周りには同じように医学部を目指す熱い仲間がたくさんいました。同じ方向を向いて切磋琢磨できる友達がいたからこそ、「自分の選択は間違っていない、この目標に向かって進むんだ」と確信を持てましたし、最後までやり抜くことができたのだと思います。また、私自身が理系科目、特に生物の分野に強い興味を持っていたことも、勉強を続ける大きな原動力になりました。
—その後、多くの総合病院でご経験を積まれ、2021年5月に開院されました。勤務医から開院を決意された経緯を教えてください。
総合病院の勤務医として働いていると、組織のルールや上下関係、様々な制限によって、自分が理想とする医療を100%体現することが難しい局面に多々直面します。どこか萎縮しながら、こじんまりと勤務医を続けていくことに少し釈然としない気持ちを抱えていました。「それならば、自分がトップに立って、自分が本当に良いと思える患者さん対応や医療を提供できる場所を自分で作り上げよう」と思い、個人での開院を決意しました。
—開院された2021年は、まさにコロナ禍の真っ只中でした。当時の不安や、実際のスタートはいかがでしたか?
不安しかなかったですね。開院するということは、医師であると同時に「経営者」になるということです。当時は世間全体で「受診控え」の風潮が非常に強く、開院したところで本当に患者さんが来てくれるのか、毎日ビクビクしながら祈るような気持ちでした。今でも鮮明に覚えていますが、開院初日の来院数は15人でした。想定していたよりも大幅に少ないスタートで、かなりの衝撃を受けましたね。
—その大変な時期を、どのようにして乗り越えられたのでしょうか。
自分にできることは「目の前の患者さんに全力を尽くすこと」以外にありませんでした。患者さんが少ない分、一人ひとりに十分な時間をかけ、これ以上ないほど懇切丁寧に診察と治療を繰り返しました。また、インターネットでホームページがどうすれば検索に引っかかりやすくなるか(SEO・MEO対策)、業者さんに相談しながら試行錯誤を続けました。
—集患の大きなターニングポイントとなった出来事はありますか?
「コロナのワクチン接種」と「発熱外来」の積極的な受け入れです。当時、どこも予約がいっぱいで困っている方が多く、当院で受け入れを行ったところ、問い合わせが爆発的に増えました。それがきっかけで「ここに耳鼻咽喉科があったんだ」と認知していただけるようになり、そこから徐々に地域のクチコミが広がっていきました。
—クリニックのクチコミを拝見すると、圧倒的な件数と高評価に驚きました。何か特別な対策をされているのですか?
実は、クチコミに関しては私からもスタッフからも、患者さんに対して「書いてください」といったアプローチは一切していないんです。完全にノータッチなので、患者さんたちが自発的に書いてくださっているもので、本当にありがたい限りです。中には厳しいご意見をいただくこともありますが、それもクリニックを良くするための貴重な情報として真摯に受け止めています。
—実際に、クチコミの意見から改善された仕組みなどはありますか?
初期の頃に多かった「待ち時間が長すぎる」というお叱りの声(星1)に対して、大きな改革を行いました。知り合いの医師のツテを頼り、土曜日や平日に非常勤の先生をお呼びして「2診体制」を整えたんです。その結果、患者さんの待ち時間を大幅に短縮することができ、今では待ち時間に関するクレームはほとんどなくなりました。
—武富先生の専門領域である「鼻の治療」や「補聴器外来」における強みについても教えてください。
総合病院時代は鼻の手術を専門として数多く手がけてきました。当クリニックでは現在、手術そのものは行っていませんが、これまでの豊富な手術経験があるからこそ、「この症状は薬で治るのか、あるいは手術の適応になるのか」という判断が非常に正確にできます。院内にCT検査の設備を整えているため、精密な診断を行い、適切なタイミングで総合病院へご紹介できる強みがあります。また、当時から続けている専門的な「補聴器外来」にも力を入れています。
—クリニックの「経営理念」や、武富先生が経営者として大切にされている考え方を教えてください。
当院の第一の理念は、何をおいても「患者さんファースト」です。できる限り患者さんのご要望やニーズにお応えする医療を徹底しています。もう一つ大切にしているのは「スタッフへの還元」です。クリニックがうまく回り、多くの患者さんに来ていただけるのは、日々現場を支えてくれているスタッフのおかげです。得られた利益はしっかりと報酬や環境としてスタッフに還元する。それによって「このクリニックで長く働き続けたい」と思ってもらえるような好循環を生み出したいと考えています。
—医療機器やITシステムの導入について、これから開院される先生方へおすすめはありますか?
電子カルテや予約システムは、今の時代、開院時から絶対に導入すべき必須の仕組みだと思います。スタッフの手間を大きく減らし、自分たちも診察に集中することができます。ちなみに当院ではまだ「WEB問診」を導入していないのですが、スタッフからも「そろそろ入れてほしい」とリクエストが出ているので、現在業者さんと契約に向けて動いているところです。やはりWEB問診などもあったほうが良いシステムですね。
—最後に、これから開院を目指す医師の先生方へ、熱いメッセージをお願いします。
現在の日本の医療を取り巻く環境は、決して開院医にとって追い風ばかりではありませんが、自分が理想とする医療の夢を持って開院を目指すのであれば、ぜひ負けずに頑張っていただきたいです。開院初期の集患において、クチコミの力は想像以上に絶大です。最初は不安になるかもしれませんが、焦らずに「一人ひとりの患者さんの悩みを100%解決して帰ってもらう」という実直で丁寧な診察を徹底してみてください。その誠実さは必ず良いクチコミとして広がり、クリニックの大きな財産になります。応援しています。
Profile
院長 武富 弘敬
「みみ・はな・のど たけどみクリニック」院長。東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科にて医師としてのキャリアをスタート。その後、獨協医科大学越谷病院(現埼玉医療センター)耳鼻咽喉科、国保旭中央病院耳鼻咽喉科、国保古賀病院耳鼻咽喉科など、数々の総合病院・基幹病院にて耳鼻咽喉科の最前線に立ち、豊富な臨床経験を積む。特に鼻の手術や補聴器外来における専門性が高く、難症例の診断にも定評がある。2021年5月に「みみ・はな・のど たけどみクリニック」を開院。「患者さんファースト」を理念に掲げ、丁寧で分かりやすい診療を提供し続けている。