聞こえの未来を切り拓く–オトクリニック東京 院長 小川 郁 インタビュー
2025.12.26
「きてよかった」の声を力に。専門性と誠実な対話で地域のお悩みに応える。くぼたこどもアレルギークリニック 久保田 慧院長インタビュー
くぼたこどもアレルギークリニック
院長 久保田 慧
福岡県春日市に位置する「くぼたこどもアレルギークリニック」。地域に根ざした小児科・アレルギー科として、多くのお子様とご家族の健康を支えています。今回は、同クリニックの院長を務める久保田 慧先生にお話を伺いました。大学病院やアレルギー専門医療機関での豊富な経験を活かしながら、開院・継承を経て患者さん一人ひとりに寄り添う診療にかける想いや、小児アレルギー診療にかける情熱、そしてクリニックが目指す未来の姿について語っていただきました。
—久保田先生が小児科医を目指されたきっかけをお聞かせください。
実は、最初から「絶対に小児科医になろう」と強く決めていたわけではないんです。医学部に入り様々な診療科を学ぶ中で、自分は全身を診療する「総合診療」的なアプローチが好きだなと気づきました。外科的な疾患を除く多くの病気において、子供たちの全身を診て診療を完結できる小児科こそ、自分にとって最もやりがいを感じられる「総合診療」の場だと捉えたのが小児科を選んだきっかけです。
—その中でも、特にアレルギー分野を専門に深められた理由は何でしょうか。
小児科で研鑽を積む中で、特に食物アレルギーをはじめとするアレルギー疾患に強い興味を持つようになりました。アレルギーは日常的によくあるお悩みでありながら、専門的な知識と丁寧な経過観察が不可欠な領域です。患者さんや保護者の方の生活の質に直結する分野だからこそ、自分の専門として深く追求したいと考えました。
—国立病院機構相模原病院でのアレルギー専修医時代のご経験について教えてください。
相模原病院は、日本でもトップクラスの症例数と知見を誇るアレルギー専門医療機関です。そこでアレルギー専修医として高度な診療や最先端の研究に従事し、学会発表や論文執筆にも取り組みました。日本有数の専門環境で多くの複雑な症例に向き合った2年間は、現在の私のアレルギー診療における確かな技術と知見の大きな土台となっています。
—2025年に「くぼたこどもアレルギークリニック」を継承・開業された経緯をお聞かせください。
アレルギー診療は大学病院などの大病院でも行えますが、患者さんにとって最も必要なのは「いつでも気軽に相談でき、こまめに経過を診てもらえる存在」です。大病院だと次の予約が数ヶ月後になることも多く、身近なサポートが難しい場合があります。父親が開業医として地域医療に貢献する姿を見て育ったこともあり、患者さんとの距離が近いクリニックの立場でアレルギー診療を行うことが自分にとっての理想だと考え、継承を決意しました。
—勤務医から院長・経営者になられて、診療への意識にどのような変化がありましたか?
大きな変化がありました。大学病院時代は「医学的に正しい正論」を伝えることが中心になりがちでしたが、クリニックでは「患者さんやご家族が何に困り、何を求めているのか」を細やかに聞き出し、お気持ちに寄り添うことが何より大切だと実感しています。正論を押し付けるのではなく、ご家庭の事情に合わせた現実的な治療法を一緒に考える姿勢を強く意識するようになりました。
—クリニックのスタッフ育成や組織づくりで心がけていることはありますか?
看護師をはじめとするスタッフへの指導は、基本的にスタッフ同士の自主性や信頼関係を尊重するようにしています。私自身が細かく口を出しすぎるのではなく、スタッフが伸び伸びと働ける環境を整えることを意識しています。患者さんを温かく迎え入れられるチームを作るためにも、良好な連携とスタッフへの配慮を欠かさないようにしています。
—日々の診療の中で、特にやりがいや嬉しさを感じるのはどのような瞬間ですか?
アレルギー症状、特にアトピー性皮膚炎などは、適切なスキンケアや治療を行うことで劇的に改善することが多いんです。これまで痒みで夜も十分に眠れず苦しんでいたお子さんが、1〜2週間で肌が整いすっきり眠れるようになる。そうした変化を目の当たりにし、保護者の方から「今日来て本当によかったです!」と笑顔で言っていただける瞬間は、小児科医として本当に報われる思いがします。
—車で1時間以上かかるような遠方から通われる患者さんもいらっしゃると伺いました。
ええ、医療圏を越えて遠方から足を運んでくださる患者さんもいらっしゃいます。周辺にアレルギー専門の小児科が少なかったり、他院での治療でなかなか改善せず悩まれていた方が訪ねてくださることがあります。遠くから時間をかけて来てくださった分、治療でしっかり成果を出して安心していただけると、「丁寧なアレルギー診療を続けてきてよかった」と心から手応えを感じます。
—2階にある皮膚科・形成外科クリニックとの連携についてもお聞かせください。
当クリニックが入るビルの2階には、あざの治療やレーザー治療などで有名なクリニックが入っています。そちらを受診された際に「まず肌の状態を整えてから治療に入りましょう」となり、当院に相談に来られる患者さんもいらっしゃいます。お互いの専門性を活かしながら、患者さんの肌トラブルを総合的にケアできる良い環境が整っていると感じています。
—診療にあたって久保田先生が大切にされている「医療理念」について教えてください。
一番の理念は、「患者さんやご家族の訴えをしっかりと聴き、一つひとつの疑問や不安に正直かつ丁寧に対応すること」です。効率や診察の回転率だけを追い求めるのではなく、時間をかけて患者さんと誠実に向き合う診療を貫くことを何よりも大切にしています。
—今後の「くぼたこどもアレルギークリニック」の展望や目指す姿をお聞かせください。
過度に事業を拡大したり、背伸びをしたりするつもりはありません。患者さんが増えすぎて一人ひとりにかける診察時間が短くなってしまっては本末転倒だからです。今ある「一人ひとりの患者さんに丁寧に向き合う」というスタンスを崩さず、地域のお子さんとご家族に寄り添う診療をコツコツと続けていくことこそが、私たちの目指す未来です。
—最後に、これから開業医を目指す先生方へメッセージをお願いします。
勤務医時代とは異なり、開業すると医療技術だけでなく、患者さんのニードやスタッフとの関係構築など、考えるべき幅が大きく広がります。ですが、それ以上に「自分を頼ってきてくださる患者さん」と直接向き合い、その変化や喜びを間近で実感できるのは開業医ならではの素晴らしい魅力です。 大学病院などで培った医学的なバックグラウンドを強みにしつつも、患者さんのリアルな声や気持ちにどこまで寄り添えるかが大切になります。これから開業を目指される先生方も、ぜひご自身の専門性を活かしながら、患者さん一人ひとりと誠心誠意向き合う医療を目指して頑張ってください。
Profile
院長 久保田 慧
2012年福岡大学医学部卒業。2014年福岡大学小児科入局後、福岡大学病院や関連病院で研鑽を積む。2020年より国立病院機構相模原病院小児科にてアレルギー専修医として診療・研究に従事し、学会発表や論文執筆を多数行う。2022年福岡大学病院小児科(病棟指導医・病棟医長)、2024年福岡大学筑紫病院小児科(医局長)を経て、2025年に「くぼたこどもアレルギークリニック」を継承し院長に就任。豊富な専門知識と丁寧な対話を重視したアレルギー診療を行っている。