「人に感謝されることが、やりがいになる」──横浜駅西口歯科・大橋豪院長が語る、信念ある診療と組織づくり
2025.07.15
病気と共に歩む人を支え、地域で安心を届ける――真鈴川聡院長が描く神経内科医療の未来
ますずがわ神経内科クリニック
院長 真鈴川 聡
鈴鹿市にある「ますずがわ神経内科クリニック」。院長の真鈴川聡先生は、地域で神経内科医療を担う存在として、多くの患者さんやご家族に寄り添っています。診療の場では丁寧に耳を傾け、症状の経過や細かな変化を見逃さず、必要に応じて迅速に検査を行う。そんな一つひとつの積み重ねを大切にされている先生のお姿からは、医師という枠を超え、人としてのあたたかさがにじみ出ています。 病気とともに生きることを余儀なくされる方にとって、「単に治す」こと以上に大切なのは、安心して日常を送れること。真鈴川先生は、その思いを胸に病院勤務時代から歩みを重ね、やがて「地域の中で患者さんの生活を支える医療を実践したい」との決意を固められました。開業から現在に至るまでの経験や理念、そしてこれからのビジョンについて、率直に語っていただきました。
—まずは医師を志すことになったきっかけを教えていただけますでしょうか?
父が整形外科の開業医だったこともあり、特別に「医師になろう」と強く意識したわけではなく、自然と医師の道に進みました。
—開業に至った経緯についてお聞かせいただけますか?
複数の病院で研鑽を積む中で、ある種の限界を感じるようになったことがきっかけでした。脳神経内科で担当する疾患には完治が難しいものも少なくなく、進行していく病気もあります。治療は単に「治す」ことだけが目的ではなく、病気と共に歩みながら毎日を少しでも気持ち良く過ごしていただくことも大切です。経験を重ねる中で、患者さんに寄り添い、生活を支える医療を地域で実践したいという思いが強くなり、開業を決意しました。
—先生のご専門についても教えてください。
神経内科は、頭痛・めまい・しびれ・ふるえ・動きにくさ・もの忘れなどを引き起こす脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診断・治療する分野です。代表的な疾患にはパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、認知症、てんかん、脳梗塞などがあります。診断にはMRIやSPECTといった検査を行うこともありますが、問診や身体所見だけでも多くの病気を見極めることが可能です。症状の特徴や進行具合を丁寧に捉えることで障害の部位を推測できます。必要に応じて当院ではCTをすぐに撮影できますし、高規格MRIやSPECTも連携医療機関にお願いして迅速に検査しています。看護師も経験豊富で、患者さんやご家族の相談にもすぐに応じています。困ったときに身近に相談できる場所があることは、大きな安心につながると考えています。
—クリニックの診療科目を改めて教えてください。
神経内科になります。
—診療で大切にされていることを教えていただけますか?
まずは問診を丁寧に聞き取ることです。症状の進み方から病気の種類を推測できます。脳血管障害なら発症から数分~数日、炎症性疾患は数日~数週間、変性疾患はゆっくりと進みます。症状の組み合わせや神経学的所見から障害部位を推定することができます。病気の種類と場所がわかれば、診断に近づきます。必要に応じて血液検査や画像検査を追加し、正確な診断を迅速に行っています。その結果をわかりやすく説明し、治療を行います。時には東洋医学も活用します。その上で、多職種と連携しながら、患者様が病気と共に歩む生活をサポートすることを大切にしています。
—スタッフの人材採用は順調に進んでいますか?
ありがたいことに、応募も安定してあり、苦労せずに採用できています。
—どのような方法で採用されてきたのですか?
ハローワークからの応募が中心です。人材派遣会社は利用しておらず、過去にはインディードなどの求人検索エンジンを使ったこともあります。
—人材教育について意識していることを教えてください。
神経内科は未知な部分も多いため、患者さんやご家族への説明をスタッフがしっかりできるよう教育しています。まず、患者説明用の資料を勉強してもらい、理解できないところは私が直接説明します。採用されたスタッフ全員に共通の資料を渡して学んでもらっています。
—開業後に苦労された経験はありますか?
一生懸命診療に向き合ってきましたが、クレーム対応には苦労したこともあります。理不尽に声を荒げる方や、過剰な期待と現実の差に苦しむ方もいらっしゃいます。
—逆に喜びを感じる瞬間はどんなときでしょうか?
様々な症状で苦しんだり、困っている方が、当院で良くなったと笑顔で伝えてくださるときが本当に嬉しいです。
—クリニックの経営理念を教えてください。
当院に関わるすべての方が幸せになれるようにという思いです。患者さんもご家族も、スタッフも、みんなが気持ちよく生活できることを大切にしています。そのためには地域の中で、多職種のスタッフと共に、病気と共に歩む患者様と家族の生活(生きること)を支えることが重要です。
—今後2~3年のビジョンを教えていただけますか?
医療と介護、西洋医学と東洋医学、外来と在宅を活用して、 地域の皆様の健康と福祉の向上に関わりたいと願っています。そのために地域の医療・看護・介護・行政のスタッフと共に歩み、学ぶことをより充実することです。
—どういった患者さんに来ていただきたいですか?
中高年で日常生活に不自由さを感じている方です。パーキンソン病や認知症など長期にわたり様々な不自由がある方を多職種連携のチームで支えていきたいと考えています。
—導入して良かったと感じる取り組みはありますか?
多職種対象の勉強会です。地域の多職種のスタッフの病気に対する知識を深め、患者・利用者の状態を理解し、本人と家族の立場に立った対応ができるようになります。地域全体で、気持ちよく病気と共に歩むことが普通になって欲しいと願っています。
—先生にとっての夢を教えてください。
病気があっても生き生きと生活できる地域をつくることです。ここ鈴鹿市で暮らして良かったと思っていただけるような医師でありたいと願っています。
—開業医を目指している方以外の読者へのメッセージをお願いします。
病気があっても人生の価値を高めながら歩んでいくことができます。当院の強みは、病気の進行により生活能力が低下した方へのサポートです。単に病気を診るのではなく、ご家族を含め生活を支えることが当クリニックの役割だと考えています。今後も医療や介護、福祉に関わる皆さんと力を合わせ、地域の患者さんを支えていきます。
Profile
院長 真鈴川 聡
取材を通じて強く感じたのは、真鈴川先生の「患者さんの生活に寄り添う」という揺るぎない姿勢です。診察室では症状の背景にある思いや不安に耳を傾け、一人ひとりの人生を尊重しながら最善を尽くそうとされる。そのおおらかで優しい人柄は、地域の方々から厚い信頼を集める理由そのものだと実感しました。 病気を治すことだけでなく、病気と共に歩みながら安心して暮らしていける地域をつくりたいという思いは、先生の診療の根幹にあります。その熱意は今も変わることなく、これから先も鈴鹿のまちで多くの方々の支えとなり続けることでしょう。