Interviewインタビュー

若いうちに困難な道を選び、挑戦し続ける医師の原点とは?

千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック

院長 辺土名 盛之

2023年、千葉県千葉市稲毛区に開院した千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックは、内科・在宅医療と美容皮膚科という、一見すると異色の組み合わせで地域医療に貢献されています。院長の辺土名 盛之先生は、形成外科医を目指したという原点から、なぜ在宅医療と美容医療という新たな道を志したのでしょうか。開業から丸2年を迎え、多忙な日々を送りながらも「患者さんの背景まで思いやる」という熱い理念を持ち、次なる目標を見据える辺土名院長に、これまでの道のり、経営への考え、そして未来へのビジョンを伺いました。若手ながら自身の理想を追い求め、チャレンジを続ける辺土名院長の言葉には、これから開業を目指す医師や、医療業界に携わる全ての方へのヒントが詰まっています。

地域医療と美容医療の二刀流で未来を切り拓く! 千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック 辺土名 盛之 院長に聞く、開業の理由と情熱

形成外科医の夢から転身! 開業に至るまでの道のり

さっそくですが、医師を志すことになったきっかけを教えていただけますでしょうか?

私自身、母子家庭で育ち、幼い頃は祖父母にたくさん助けてもらいながら過ごしてきました。特に小学校の高学年の頃、祖父が肺がんを患った経験は、今振り返っても大きな転機だったと感じています。その時に担当してくださった女医の先生との出会いが、いまの自分をつくったと言っても過言ではありません。 当時の私は、医者はどこかプライドが高くて近寄りがたい存在という印象を持っていました。けれど、その先生はまったく違いました。祖母の身体だけでなく、私や家族の気持ちにまで目を向けてくださり、少しでも安心できるように寄り添い続けてくれた姿が強く心に残っています。 祖母に向き合うその姿勢を間近で見て、こんなふうに患者さんと家族の支えになれる医師になりたいと強く思うようになりました。この経験が、私が医師を志すきっかけになりました。

もともと形成外科医を目指されていたそうですが、在宅医療への転身を決めたきっかけは何だったのでしょうか?

もともと形成外科医を目指しており、後期研修先も殆ど決まりかけていたのですが、実際に外科系のオペに携わる中で、長時間の厳しい手術を今後何十年も続けられるのかという自信がなくなってしまいました。ただ、医療の道自体を諦めたわけではありませんでした。

訪問診療の世界に興味を持たれたのはどのような経緯からですか?

進路に迷いが生じていた時期に、訪問診療をしている先輩から声をかけてもらったことがきっかけです。最初は「外科医とは縁遠い」と思っていましたが、見学に行きました。そこで、末期がんの方などに対し、多くの職種が連携して寄り添う医療をされているのを見て、「これは良いな」と感じ、訪問診療の道に進むことを決めました。

訪問診療の世界で、早期に開業を決断された理由は何でしょうか?

訪問診療は24時間365日対応が求められる非常にタフな分野です。体力勝負なので、年齢を重ねてからでは難しくなるかもしれません。それなら、「若いうちに体力があるうちに、やりたかったことにチャレンジしたい」という思いから、早期の開業に踏み切りました。

現在、内科・在宅診療と美容皮膚科という二つの分野をされているのはなぜですか?

内科・在宅診療は、患者さんの人生の最終段階まで関われるやりがいを感じ、続けたいと思ったからです。美容皮膚科は、元々目指していた形成外科での経験が活かせる分野です。メスを使わない非侵襲的な施術で、患者さんを笑顔にできるというコンセプトで取り入れています。

経営者として大切にする理念と集患の苦労

辺土名先生が、クリニックの経営者として最も大切にされている理念は何でしょうか?

「患者さんをおもんぱかる」という理念を大切にしています。患者さんの背景まで思いを馳せ、なぜその方がそのような態度や発言をするのかを深く考えることです。その上で、「患者さんファースト」を貫き、目の前の患者さんに対して最善を尽くすことを重視しています。

開業されてから、特に苦労されたエピソードがあれば教えてください。

やはり開業当初の患者さんの集患です。私は三重県出身で、これまでの医師としての経験は東海圏がメインでした。この千葉の地は縁もゆかりもない場所だったので、医師の知り合いからの紹介やコネクションが全くない、ゼロからのスタートでした。

ゼロからの集患は大変だったと思います。具体的にはどのように患者さんを増やしていかれたのでしょうか?

地域の病院、ケアマネジャーさんの事務所、訪問看護ステーションさんなどに、自ら名刺とパンフレットを持って、一つひとつ挨拶に回るという地道な活動を続けました。最初の半年間は、本当に苦しかったですが、今では多方面からのご紹介をいただけるようになり、安定してきています。

スタッフの方々との連携や人材育成で、日頃から意識されていることはありますか?

スタッフの方々との「距離感」を大切にしています。近すぎず、遠すぎず、適切な距離を保ちながら、私がフランクに話せる人柄を活かして、働きやすい雰囲気づくりを心がけています。わからないことや判断に迷うことがあれば、院長にも気軽に相談できる体制を整えています。

開業医だからこそ感じる喜びと未来へのビジョン

開業医として、特にやりがいや喜びを感じる瞬間はどんな時でしょうか?

一番の喜びは、訪問診療において、終末期を迎えた患者さんのご家族から「先生のクリニックで良かった」「先生で良かった」という感謝の言葉をいただけた時です。また、ゼロからスタートしたクリニックで、掲げた営業利益や売上の目標を達成できた時も、開業医ならではの大きな喜びを感じます。

今後2〜3年で、クリニックをどのように発展させていきたいというビジョンをお持ちですか?

現在、常勤医は私一人なので、常勤の医師を増やしていきたいと考えています。常勤医が増えることで、在宅診療や外来診療、美容皮膚科の診療時間を増やし、「このクリニックは必ず空いている」という形で、地域の皆様に貢献できるクリニックにしたいと考えています。

美容皮膚科の分野での展望はありますか?

はい、美容皮膚科については、現在、施術できるベッド数が限られているため、規模を拡大していきたいです。より多くの患者さんに利用していただけるようなクリニックを目指しています。

在宅医療や内科診療の対象となる患者さんの層については、どのように考えていますか?

内科や在宅医療に関しては、当院で診られない特別なご病気でない限りは、基本的に断りたくないと思っています。当院を必要としてくださる方には、年齢やご病気の種類に関わらず、私たちに貢献できることがあれば対応したいという考えです。

開業を目指す医師へ贈るメッセージ

これから開業を目指す、特に若い医師の先生方へ、先生からメッセージをお願いします。

「楽な道と楽じゃない道があったら、楽じゃない道を選んだ方が良い」と強く伝えたいです。楽な道はコンフォートゾーン(居心地の良い場所)に留まることになり、成長につながりません。少し大変そうだと感じた道でも、挑戦した方が後々「あの時、決断して良かった」と思えることが増えます。

先生もご自身の経験から、そのようにお考えなのですね。

はい。私自身、何度も人生の岐路でそうした選択をしてきました。もちろん、過労死の問題などもありますが、若いうちは必死で働いた方が、体力がある時期を活かせると思います。

医師としてのキャリアアップを目指す上でも、開業は有効な手段となりますか?

もちろんです。例えば、年収や生活レベルといった「上」のレベルを目指すのであれば、勤務医では絶対に無理です。アルバイトを掛け持ちしても限界があります。保険診療の範囲内で、今の自分よりもっと上を目指したいというのであれば、開業一択しかないと私は思います。

開業に踏み切るタイミングについて、何かアドバイスはありますか?

開業は、「早いことに越したことはない」と思います。医師は年収もある程度担保されており、守られている職業なので、冒険する必要はありませんが、開業したいという思いがあるのなら、できるうちに踏み切ることをお勧めします。勤務医とは全く違う景色が見えてくるはずです。

Profile

院長 辺土名 盛之

2021年3月に三重大学医学部医学科をご卒業後、2021年4月から四日市羽津医療センターでご研鑽を積まれました。大学病院では形成外科医を目指していましたが、研修医時代に抱いた迷いから在宅医療の世界へ進みます。2023年4月に西春内科・在宅クリニックの副院長を経て、千葉県に千葉内科在宅・美容皮膚科クリニックを開院されました。多忙を極める在宅医療の現場に身を置きつつも、若いうちに挑戦したいという思いから早期開業を決断。患者様を第一に考えた内科・在宅診療と、前身の形成外科の経験が生きる美容皮膚科の「二刀流」で、地域の皆様の健康と美をサポートされています。

会社情報

医院名

千葉内科在宅・美容皮膚科クリニック

設立

2023年