Interviewインタビュー

「お口の環境は全身の健康の入り口」たくみ歯科クリニック 荒木拓道院長が目指す、地域に根差した食べる喜びを支える医療と、人を大切にするこれからのクリニック経営。

たくみ歯科クリニック

院長 荒木 拓道

埼玉県上尾市須ヶ谷に位置し、地域住民の歯の健康を支え続ける「たくみ歯科クリニック」。先進的な取り組みを柔軟に取り入れながら、患者さん一人ひとりに寄り添う丁寧な治療が評判を呼んでいます。今回お話を伺ったのは、同クリニックの院長を務める荒木拓道先生です。荒木院長は、ご自身の経験から「お口の環境は全身の健康の入り口である」という強い信念を持ち、単に歯を治すだけでなく、人生100年時代を見据えた口腔ケアの大切さを発信し続けています。インタビューでは、歯科医師を目指した原点から、クリニックの今後のビジョン、外来と訪問診療のバランス、そして経営者として最も大切にしている「人」への想いまで、じっくりとお話を伺いました。

「スタッフの幸せが医院の未来を作る」たくみ歯科クリニック・荒木拓道院長が語る地域密着の歯科医療と経営の本質

歯科医師としての原点と「全身の健康」へかける想い

まずは荒木先生が歯科医師を志したきっかけについて教えていただけますでしょうか。

きっかけは身内の入院生活にあります。最初は妹が入院した時だったのですが、入院先でお口の中の環境があまり良くないことに気づいたんです。その後、私の祖父が老衰で入院して亡くなったのですが、その時もやはり口の中の環境が非常に悪く、ニオイなども含めて深刻な状態でした。人が最期まで健やかに生きるために、お口の環境を守ることがいかに重要か。それを痛感したことが、歯科医師になる大きなきっかけですね。

開業される前のキャリアでは、どのような現場にいらしたのですか。

前職では病院歯科に勤務しておりまして、そこでは摂食嚥下(食べ物を飲み込むリハビリなど)に深く関わっていました。その中で、「食べる」という行為が人間にとっていかに大切かということを身をもって学びました。

そこでの学びが、現在のクリニックの治療方針にも繋がっているのですね。

はい。食べる機能が低下してしまう最大の要因は、やはり「歯がなくなること」なんです。これを防ぐためには、ご高齢になってからではなく、働き盛りである30代、40代、50代の頃からお口の環境を整えておくことが極めて重要だと気づきました。実際に入院されている患者さんを見ても、お口の環境が良い方と悪い方とでは病気や体調の治り方に大きな違いが出ます。だからこそ、働き世代のうちからお口の環境を守り、将来の摂食嚥下に繋げていくサポートをしたいと考えました。

開業の道のりとこれからの医院ビジョン

たくみ歯科クリニックを開業されたきっかけや、立地へのこだわりはありますか。

先ほどお話しした通り、病院歯科での経験から、もっと早い段階から地域の方々のお口の環境を守る予防医療を提供したいと考えたのがきっかけです。そのため、地域に深く根ざしたサポートができる場所として、この上尾市須ヶ谷での開業を決めました。

現在、開業から1年半ほどが経過したかと思いますが、現在の診療体制はいかかですか。

現在、ユニット(診療台)を1台増やして4台で診療を行っています。ありがたいことに多くの患者さんに来ていただいており、現在の4台の体制をフルに回しながら、日々患者さんと向き合っています。

2〜3年後の直近のビジョンとして、今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか。

ここから外来用にユニットをさらに1〜2台増設するのか、それとも今始めている「訪問診療」に力を入れていくのか、まさに今悩んでいる分岐点です。ただ、地域の方々のニーズを見ていると、やはり通院が難しくなった方への「訪問歯科」にもっと軸足を置いて、外来と訪問の両輪をさらに強固にしていきたいと考えています。どちらかといえば訪問にちょっと軸足を置くのも良いのかな、と模索しているところです。

スタッフと歩む「人」を中心とした医院経営

昨今はスタッフの採用に苦労されている歯科医院が多いですが、先生のクリニックではいかがですか。

ありがたいことに、今のところ採用に関しては順調にきています。実は、私が開業するとなった時に、前職などから「先生についていきたい」と言ってくれる熱心なスタッフが事前にいたんです。そのため、開業初期においては特別な採用手法はとっていません。本当に人に恵まれたスタートでした。

スタッフの方々との距離感で意識されていることはありますか。

実は、院長という立場を経験するのは初めてなので、距離感はまさに今も手探り状態です。勤務医時代であれば、どれだけ仲良く寄り添っても問題はなかったのですが、代表者となるとしっかりと評価を下さなければならない立場でもあります。「つかず離れず」の適切な距離感を、模索しているところです。

これまで医院を経営されてきた中で、一番苦労されたエピソードは何でしょうか。

やはり、土曜日・日曜日の診療における「人材の確保」ですね。当院は土日も診療を行っているのですが、やはり土日に働けるスタッフを安定して確保し、シフトをお願いするという部分には非常に苦労しました。現在はローテーションを組みながらなんとか回していますが、もうちょっと人が集まれば、みんなの有給消化や休憩の負担もさらに減らせるなと考えています。

医療DXによる業務効率化とこれからの開業医へのメッセージ

クリニックでは、自動精算機などのデジタルシステムもいち早く導入されていますね。

はい、自動精算機の導入はスタッフの負担軽減に本当に役立っています。お金の「合う・合わない」の確認作業はスタッフにとってすごくナーバスになる部分ですが、それを機械化することでミスがなくなり、ストレスも大幅に減りました。当院では導入以来、一度もお札や小銭の計算が合わなかったことはありません。

他にもDX化やキャッシュレス化で取り組まれていることはありますか。

当院では保険診療でもクレジットカード決済を可能にしています。また、診察券も開業当初からアプリ化しているんですよ。当院の患者層は40代、50代がボリュームゾーンですが、今はおじいちゃんおばあちゃん世代でも皆さんスマホを持っていますし、普段のお買い物でもセルフレジに慣れていらっしゃいます。実際、7〜8割の患者さんが診察券アプリをスムーズに登録してくださっています。

最後に、これから開業を目指す歯科医師の先生方にメッセージをお願いします。

これからの時代、開業は本当に苦労が多いと思います。人口が減る中で、給与も上げて経営もしていかなければなりません。時には悩むこともあるかもしれませんが、自分が「こういう医院を作りたい」と思った最初の熱意を忘れないでほしいです。そして独りよがりにならず、スタッフの話をしっかり聞いてあげながら共に歩むこと。その熱い想いと傾聴の姿勢があれば、きっと良い医院が作れるはずです。

Profile

院長 荒木 拓道

2009年3月に日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、医療生協さいたまにて生協歯科臨床研修医として入職。翌年3月に研修を修了し、2015年4月からは同法人の「あさか虹の歯科」に勤務。その後、さらなる研鑽を積むため2016年4月より東京医科歯科大学歯学部付属病院の研修登録医となり、2017年3月に修了。2019年4月には埼玉西協同病院歯科にて歯科医局長に就任し、長年にわたり地域医療の現場で豊富な臨床経験と実績を積む。その後、埼玉県上尾市に「たくみ歯科クリニック」を開業。「お口の環境は全身の健康の入り口」をモットーに、患者さんの将来を見据えた丁寧な歯科医療を提供するとともに、スタッフの幸せを第一に据えた医院経営に尽力している。

会社情報

医院名

たくみ歯科クリニック

設立

2024年10月