Interviewインタビュー

「安心できるお産を、いつまでもこの場所で。」地域に寄り添い続ける産婦人科医のまなざし

藤東クリニック

院長 藤東 淳也

広島県安芸郡府中町にある「藤東クリニック」で診療を行う藤東淳也理事長は、幼少期から医師として働く父や祖父の姿を見て育ち、自然と産婦人科医の道を歩み始めました。現在は、府中町茂陰一丁目の地で地域に根ざした医療を担い、産婦人科専門医として、女性の一生に寄り添う診療を続けています。インタビューでは、「冷静さ」を大切にしながら、患者さんやスタッフ、関係者すべての満足を追求する姿勢、そして医療経営において「正義・友愛・奉仕」を信念に据える力強い言葉が印象的でした。その語り口は穏やかであたたかく、地域とともに未来の産婦人科医療を育んでいきたいという想いがひしひしと伝わってきます。この記事では、藤東院長の原点から診療に込める想い、地域医療への姿勢、そして「お産の文化」を未来につなげたいという願いまでを丁寧に紐解いていきます。

安心できるお産の場を、地域に——変わらない信頼を守り続ける産婦人科医

医師の背中を見て育った日々。自然と導かれた産婦人科の道

まずは、医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

父と祖父が医師で、物心ついた頃からずっと医師という存在が日常にありました。そして、父がとてもやりがいを感じながら働いている姿を見て育ったことが、医師を志したきっかけです。

このクリニックを開業された経緯はどういうものだったのでしょう?

開業は継承という形です。代々続く場所を引き継がせていただきました。

先生のご専門について教えてください。

私は産科・婦人科を専門としています。

ご専門は産科・婦人科とのことですが、日々の診療で気をつけていることがあれば教えてください。

何よりも「冷静でいること」を大切にしています。私が不安になると、患者さんにもその不安が伝わってしまいます。出産や診察では、緊張や不安を感じている方も多いので、私は深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから向き合うようにしています。

異国での衝突も学びに変えて。信頼を築くことの大切さ

これまでの中で、特に大変だった経験ってありますか?

留学中に、現地の上司と意見がぶつかったことです(笑)日本だと「喧嘩した」と言われるかもしれませんが、あちらでは普通に意見を出し合うことが当たり前なんです。自分の考えを伝える大切さと、文化の違いを実感した経験でした。

逆に、クリニックをやっていて「嬉しいな」と感じるのはどんな時ですか?

やはり患者さんが「ありがとう」「来てよかった」と言ってくださる時は、本当に嬉しいですね。でもそれだけでなく、スタッフや業者さんなど、支えてくださるすべての人が満足してくれていると感じる瞬間に、深い喜びを感じます。

誠実に、変わらず、心を満たす医療を

改めて、先生の中で大切にされている経営理念はありますか?

「正義・友愛・奉仕」です。まっすぐで誠実な医療を提供することが、患者さんに安心していただける道だと信じています。

2〜3年後、クリニックをどんな場所にしていきたいと考えていらっしゃいますか?

2年後も3年後も、変わらず「ここは安心できる場所だね」と言っていただけるクリニックでありたいと思っています。時代が変わっても、人の安心感や信頼は変わらないので、そこを守り続けていきたいです。

経営者として、普段から大切にしていることはありますか?

私は女性を対象とする診療を行っているので、関わるすべての人が豊かになれることを大切にしています。「ここに来てよかった」と思っていただけることが何よりです。必要なときにまた来ていただけるような関係性を築くことが目標です。

病院の中にも、ほっとする楽しみを

導入した取り組みで、「これは良かったな」と感じたものがあれば教えてください。

院内にレストランを作ったことですね。入院されている患者さんに、食事の時間を楽しみにしてもらいたくて、本格的なシェフが調理しています。病院の中でも、少しでも楽しい時間を過ごしてもらえたら嬉しいです。

クリニックでのお産が、これからも続く未来を願って

先生にとっての「夢」を教えてください。

今、日本では出産の約6割が病院などの大きな施設で行われていますが、私は「クリニックで出産する」という文化をこれからも日本の中に残していきたいと考えています。地域のクリニックでも、安心してお産ができる時代であり続けてほしいです。

“自由を楽しむ”姿勢で、自分らしい医療を

最後に、これから開業を考えている先生に何かアドバイスをいただけますか?

開業医は、大きな病院に比べると選択肢も自由度も高いと思います。だからこそ、その自由を存分に楽しんでほしいと思います。型にはまらず、自分らしく、地域に合った医療を展開していくことが、何より大切だと思います。

Profile

院長 藤東 淳也

産科・婦人科 藤東クリニックの理事長・院長を務める藤東淳也先生は、東京医科大学医学部を卒業後、米国留学や大学病院での勤務を経て、2010年に祖父の代から続くクリニックを継承。「一人ひとりを大切にする医療」を信条に、丁寧な対話と確かな技術で、地域の女性医療を支え続けています。

会社情報

医院名

藤東クリニック

設立

藤東医院:1928年/藤東産婦人科医院:1975年9月/産科・婦人科 藤東クリニック:2010年6月

従業員数

72名