女性の一生に寄り添う、一番身近な“かかりつけ医”を目指して・神谷町WGレディースクリニック尾西芳子院長インタビュー
2026.05.15
「感染防御は口腔から」二子玉川OM歯科クリニック・岡村泰斗院長が語る、人生をともに歩む歯科医療の真髄
二子玉川OM歯科クリニック
院長 岡村 泰斗
世田谷区玉川に位置し、地域の方々から「お口のパートナー」として親しまれている「二子玉川OM歯科クリニック」。今回はクリニックの院長を務める岡村泰斗先生にインタビューしました。宇宙医学への興味から歯科医師の道へ進み、口腔内科や口腔外科の専門性を磨いてこられた岡村先生。波乱万丈な開業までのストーリーから独自の経営哲学、そして患者様への深い想いなどお話を伺いました。
—さっそくですが、岡村先生が医師を志したきっかけを教えてください。
もともとは小説が大好きで、高校時代までは考古学や歴史に興味を持っており、いわゆる文系でした。ところが、高校生の時に大きな転機がありました。当時、日本人女性初の宇宙飛行士である向井千秋さんが活躍されており、「宇宙医学」という分野を知ったんです。SFも好きだったこともあり、「宇宙で人間はどう生きるのか」という問いにワクワクしたのが始まりですね。
—お父様も歯科医師だったそうですが、その影響もありましたか?
そうですね。父は歯科東洋医学会の創設メンバーで、非常に研究熱心な歯科医師でした。父は常に歯科医師は、全身にもかかわる領域だと常日頃話していて、宇宙医学への興味が重なり最終的に歯科医師という道を選びました。
—大学時代には、現在も専門とされている「オーラルメディシン≠口腔内科」に興味を持たれたそうですね。
大学5年生の時の実習で運命的な出会いがありました。母校が運営している総合病院の病院歯科に所属している森本先生で、皮膚科の先生と共同して全身と口腔との関連した疾患を診ていらっしゃいました。私はそこで、免疫の研究を行い、特に金属アレルギー、内分泌かく乱物質、プロバイオティクスなどと口腔と皮膚に影響を及ぼす疾患に関連する研究を行い博士号を取得しました。「お口のトラブルは全身の状態と深く関連している」という視点は、今の私の診療の根幹になっています。
—「二子玉川OM歯科クリニック」を開業されるまでには、かなりの苦労があったと伺いました。
2019年の10月、多摩川の氾濫で父の歯科医院が水没してしまったんです。まさに「天災」でした。私は当時、副院長として手伝いつつフリーランスとして複数の医院で難症例の外科手術を担当していましたが、この出来事をきっかけに一刻も早く「自分の城を構えよう」と決意しました。
—オープンの時期がちょうど新型コロナの流行と重なったのですね。
そうなんです。2020年3月のオープン直後に緊急事態宣言ですから、本当に大変でしたね。資金繰りに走り回りながら、まさにゼロからのスタートでした。父の医院で僕が診ていた患者様にはほとんど自分が開業することを伝えていなかったのですが、その患者様たちがネットや口コミで探してきてくれて、改めて人との繋がりの大切さを痛感しました。
—厳しい時期を支えたのは、どのような想いだったのでしょうか?
「自分にできることは何か」を常に問い続けていました。訪問診療で高齢者の方々と向き合ったり対話を重ねる中で、ただ治療をするだけでなく「心の拠り所」としての歯科医院が必要だと確信したんです。この苦労があったからこそ、患者様一人ひとりとの「縁」をより大切にできるようになりました。
—先生がスタッフ教育やクリニック運営で、最も大切にしていることは何ですか?
経営理念といった難しい言葉はあまり好きではありませんが、座右の銘は「縁尋機妙 多逢聖因(えんじんきみょう たほうしょういん)」です。良い縁がさらなる良い縁を呼び、良い人に交わることで道が開けるという意味です。私はスタッフに対して、細かいスキルよりもまず「挨拶」と「返事」を徹底するように伝えています。
—クリニックの雰囲気作りにも、先生ならではのこだわりがあるそうですね。
うちはあえて「完全な自動化」はしていません。受付も私がやることがありますし、自動ドアではなく「ガラガラ」と手で開ける引き戸にこだわっています。患者様と「ただいま」「おかえり」と言い合えるような、田舎の市民会館のような温かい場所でありたいんです。
—患者様との対話において、意識されていることはありますか?
「自分が患者様だったらどうしてほしいか」を常に考える、シンプルで当たり前のことです。新患の方が月に30人ほど来てくださいますが、チェアは2台しかありません。それでも回っているのは、会話を通じて信頼関係を築き、リピートしてくださる方が多いからです。悩みを聞いて、時には一緒に笑い、お口から元気を持ち帰ってもらうことを一番に考えています。
—今後の歯科医療において、どのような役割を果たしていきたいとお考えですか?
これからの歯科医師は単に歯を治すだけでなく、全身疾患の「ゲートキーパー(門番)」としての役割が重要になります。お口の健康を守ることは、術後感染を防ぎ、全身の健康を守ることに直結します。これは外科手術を数多く経験してきたからこそ強く感じる部分です。
—最後に、開業を目指す先生へメッセージやアドバイスをお願いします。
とにかく「色々な医院を見て、多くの先生と交わること」です。スタディーグループに入るのもいいですが、それ以上に自分自身がどう生きたいか、どう患者様と向き合いたいかという軸を持つことが大切です。今はSNSなどで簡単に集客できる時代ですが、最後はやはり「人と人」です。自分自身の市場価値を磨き続け、泥臭い努力を惜しまないでほしいですね。
Profile
院長 岡村 泰斗
1997年に東京歯科大学を卒業後、2002年に同大学大学院にてオーラルメディシン学を修了。旧東京歯科大学市川総合(現:国際福祉医療大学)病院助手や母校の非常勤講師を務めながら、口腔内科や口腔外科の専門性を深める。複数の歯科医院で非常勤歯科医師として口腔外科を担当する傍ら、父の医院の副院長を歴任。2019年の台風による被災、そしてコロナ禍という逆境を乗り越え、2020年に「二子玉川OM歯科クリニック」を開業。 お口を通じた全身の健康増進に尽力している。