医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
患者さんの心に寄り添い、地域に愛される耳鼻咽喉科へ。「かながわ耳鼻咽喉科」院長、金川英寿先生が描く医療の未来
かながわ耳鼻咽喉科
院長 金川 英寿
福岡県北九州市門司区に、2025年9月開院した「かながわ耳鼻咽喉科」。院長の金川英寿(かながわ・えいじゅ)先生は、山口県・福岡県の病院で長年、耳鼻咽喉科医として研鑽を積み、特に手術や特殊な専門分野で高い技術と経験を培ってきました。そんな金川先生が、慣れ親しんだ地域での開業を決意された背景には、人とのつながりや「誰かの役に立ちたい」という強い想いがありました。開業から間もないにも関わらず、地域からの信頼を集めているクリニックの診療方針や、医師を志したきっかけ、そして開業に至るまでの道のりについて、じっくりとお話を伺いました。地域医療の未来を熱く語る金川先生の、親しみやすいお人柄とプロフェッショナルな姿勢に迫ります。
—医師を志すことになった、心境の変化やきっかけについてお聞かせください。
実は、中学3年生の頃まではプロのピアニストになりたいという夢がありましたが、その夢に挫折したのが大きな転機でした。挫折を経験した後、「自分は誰の役にも立たない人間なんだ」と落ち込んでしまい、そこから一転して「人の役に立ちたい」という気持ちが強く芽生えてきたのです。
—その後、医師という道を選ばれた決め手は何だったのでしょうか?
受験勉強が得意だったことに加え、ちょうどその時期に可愛がってくれた曽祖母が肺炎で亡くなったことが重なりました。医師は誰が見ても人を助ける、社会に役立つ仕事です。曽祖母の死と、人の役に立ちたいという気持ちが結びつき、自然と医師の道を志すようになりました。
—先生の専門領域や、得意とする分野についてお聞かせください。
一般の耳鼻咽喉科の診療全般はもちろんですが、中でも手術が得意で、局所麻酔を使った簡単な外来手術を行っています。また、耳鼻咽喉科の特殊なサブ資格を多く持っており、めまい(めまい相談医)、嚥下飲み込み(嚥下相談医、嚥下リハビリテーション認定士)、補聴器(補聴器相談医、補聴器適合判定医)といった分野は、特に力を入れているところです。
—長い病院勤務を経て、開業を決意されたきっかけや場所を選ばれた理由を教えてください。
40歳を機に、一度は経営者という立場も経験したいという気持ちがありました。その時期に、以前住んでいた下関の隣町である現在の門司区で、音楽仲間や知人から「友人の耳鼻咽喉科が近くにいてくれたら助かる」という声を多く聞いたのです。地域との人とのつながりが、開業を決意する大きなきっかけとなりました。
—開業から間もないですが、経営において特に大切にしている理念は何でしょうか。
「人として信頼されること」を一番大切にしています。患者さんやスタッフから「信用」され、自分の家族に紹介できるような、信頼できる医療機関であることが重要だと考えています。
—開業から現在に至るまで、患者さんの集患状況はいかがでしょうか?
予想していたよりも多くの方に来ていただいています。そのため、機材トラブルや準備が不十分な開業1ヶ月目の超初期の頃にこられた患者さんに迷惑をかけてしまったことが今でも心苦しく思っています。先輩方からは「一生懸命やってる初期にその状態なら、それはありがたい悩みだ」と笑われました。
—診療時に、患者さんへの説明やコミュニケーションで意識されていることはありますか?
医師は専門用語に流れがちですが、患者さんには理解してもらえないと意味がありません。そのため、専門用語を極力使わず、わかりやすい説明を心がけています。写真や画像なども活用し、視覚的にも理解してもらえるよう工夫しています。
—診療の質を保つために、スタッフとの連携で心がけていることはありますか?
最終的な決定権は院長である私にありますが、結局は人同士のつながりです。スタッフに対する最低限の気遣いは常に持つようにしています。スタッフとは常にお互いに協力し合うことができる関係でいたいと心がけています。
—経営を続ける中で、特に大変だと感じている課題やお困りごとはありますか?
書類(カルテ)業務の量が非常に多いことです。初めの1~2ヶ月はみんなそうだと先輩には言われますが、とにかく書類をこなすのに追われ、夜もなかなか帰れません。また、忙しいと説明不足になり、患者さんとトラブルになることも考えられるので気をつけています。
—これから開業を目指す医師へ、特に「やるべきこと」についてアドバイスをお願いします。
「開業地の選定」は、「ここに一軒あったら嬉しい」と地域に必要とされる場所を探すことが大切です。時間をかけてでも、自分が納得できる場所を見つけるべきだと思います。
—逆に、「やらない方がいいこと」や注意点があれば教えてください。
人としての対応で手を抜かないことです。忙しいからと患者さんにぞんざいな診療をしたり、スタッフに対する最低限の気遣いが抜けないようにと心がけています。私がまだそういう部分が未熟なため自分へのメッセージでもありますが、常に誠実な姿勢で物事に接していれば、良い結果が生まれるものと信じています。
—先生にとっての、今後の夢やビジョンをお聞かせください。
まずは仕事が順調で、家族が円満な、普通に幸せな家庭像を望んでいます。そして、「あの先生がいて良かったな」と周囲の人に思ってもらえるような存在でありたいです。人とのつながりを大切にし、こちら側も誠心誠意対応し続けることが、自分自身の理想とする人生に繋がると信じています。
Profile
院長 金川 英寿
かながわ耳鼻咽喉科 院長。2005年3月に山口大学医学部医学科を卒業し、2012年3月には山口大学大学院医学部耳鼻咽喉科を卒業されました。2005年4月より山口県県立総合医療センターにて臨床研修医としてキャリアをスタート。山口大学医学部附属病院や済生会山口総合病院、下関医療センター、済生会下関総合病院など、地域の中核病院で耳鼻咽喉科医師、医長、そして部長を歴任し、豊富な臨床経験を積まれました。特に手術を得意とし、めまいや嚥下(飲み込み)、補聴器などの専門資格も多数取得されています。その後、福岡市のクリニックで院長経験を積んだのち、2025年9月にご自身の理想とする医療を提供すべく、福岡県北九州市門司区にて「かながわ耳鼻咽喉科」を開院されました。患者さん一人ひとりに寄り添う丁寧な診療を心がけています。