地域医療への貢献を目指す–浜松歯科 中野 陽平 院長の経営と情熱
2026.02.17
「みんなで創る、地域に寄り添う眼科クリニック」ファミリィアイクリニック 院長 八次桃子先生が目指す、家族3世代で通える温かい医療のカタチ
ファミリィアイクリニック
院長 八次 桃子
佐賀県佐賀市若宮にある「ファミリィ アイ クリニック」は、地域の方々に親しまれ、家族3世代で通える温かい医療を提供している眼科クリニックです。今回、同院の院長を務める八次桃子先生にお話を伺いました。八次先生は、代々続く医師の家系に生まれ、女性医師としてのキャリアを重ねながら、前身のクリニックからの承継、数々の苦労、そして現在の場所への移転リニューアルを経験されてきました。インタビューでは、八次先生が最も大切にされている「スタッフ主導のチーム医療」や「地域との繋がり」、そして患者様一人ひとりに寄り添う丁寧な診療へのこだわりについて、温かいお人柄が伝わるエピソードとともにじっくりとお届けします。
—八次先生が医師を、そして眼科医を志したきっかけから教えてください。
実は「絶対に医学部に行きたい!」という強い個人的なこだわりがあったわけではないんです。どちらかと言えば、育った環境という要素が大きかったですね。私の家系は、母も祖父母も、親戚も含めて医師が多い環境でした。特に母や祖母が、女性でありながら当時としては当たり前のように男性社会の中で働き、地域医療を支えている姿をずっと近くで見て育ちました。私にとって「女性が医師として働き続けること」は特別なことではなく、ごく自然で当たり前の姿として刷り込まれていたのだと思います。眼科を選んだのも、大学卒業後に様々な科を検討する中で、最終的に最も自分に合っていると感じたのが眼科だったからです。
—勤務医としてキャリアを積まれた後、お母様のクリニックを引き継ぐことになった経緯はいかがでしたか?
以前は総合病院の「ひとり医長」として、外来から手術まで全てを一人でこなす非常に忙しい日々を送っていました。そんな中、第一子を出産することになり、いざ復帰を考えたときに、それまでと同じフルタイムの激務を一人で背負うのは、正直に言って時間的にも精神的にもかなり厳しいと感じたんです。ちょうどその頃、佐賀市内で開業していた母も、クリニックのマネジメントや年齢的な面から、このまま一人で続けていくべきか、引退を少し考え始めていた時期でした。そこで「私も子育て中だし、母と二人で力を合わせて一緒に診療していく形にすれば、お互いにサポートし合えるのではないか」と考え、2014年にまずは副院長として入ることにしました。その後、母が完全に引退したタイミングで院長を引き継ぎました。
—2023年には、現在の場所への移転リニューアルと同時にクリニック名も変えられましたね。
はい。前身のクリニックは38年ほど続いていた大変古い建物だったんです。そのため、大雨や台風などの災害があるたびに、かなりの損害が出てしまって……。毎回、床が水浸しになるような被害に遭いながら対応していたため、患者様に安心して通っていただくためにも、思い切って場所を移転し、名前も「ファミリィ アイ クリニック」に変えて新しくリニューアルオープンすることを決意しました。古くから40年近く通ってくださっている大切な患者様もたくさんいらっしゃいましたから、移転先を探すときは「これまでの患者様が、遠くなって不便になってしまわないように」というエリアの範囲だけは絶対に譲らずに探しましたね。
—勤務医時代からクリニックの経営者となられて、最も大きく変わった点や苦労されたことは何ですか?
勤務医時代は自分一人が頑張る『プレイヤー』としての意識がほぼ全てだったのですが、開業して経営者になってからは180度変わりました。プレイヤー、マネージャー、そして経営者という3つの役割をすべて一緒にこなさなければいけないからです。特に最初は院内のマネジメント部分にとても苦労しましたし、一番時間と労力をかけてきた部分でもあります。そして「プレイヤーの意識だけでは絶対に良いチームは作れない」「自分ひとりが引っ張るのではなく、みんなで創り上げていくことが大切なんだ」と強く実感するようになりました。
—チームづくりにおいて、具体的にどのようなお取り組みをされているのでしょうか?
当院の大きな特徴は、採用活動のほとんどを「スタッフ主導」で行っている点にあります。求人のやり取りや履歴書の確認、最初の面接、さらには簡単な筆記検査や適性テストにいたるまで、既存のスタッフみんなが主導となって手分けして進めてくれます。2次選考では実際に職場で1日体験をしてもらい、現場の空気感に合うかどうかもスタッフたちが見極めます。私は、その全てのプロセスをクリアした方と、最後に20〜30分ほどお話しして最終確認をするだけなんです。
—採用をスタッフに任せることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?
「自分たちが一緒に働きたい仲間を、自分たちの意思で選んだ」という強い責任感と当事者意識がスタッフに生まれることです。これが教育にも直結していて、スタッフ主導で入ってきた新人さんですから、先輩たちも本当に一生懸命、愛情を持って育ててくれます。入ってきた方も「この職場で1日でも早く役に立ちたい!」と思ってくれる。この高いモチベーションがマッチングすることで、教育の成果が目に見えて上がりますし、お互いにとって大きなやりがいに繋がっています。スタッフから「ここで働けて幸せです」と言ってもらえたり、みんながイキイキと働く姿を見たりするときが、経営者として一番嬉しい瞬間ですね。
—クリニックの集患については、どのようなお考えをお持ちですか?
特定の「この専門分野だけをアピールする」ということはあえてしていません。どんな目の悩みを持った方が来られても、トータルで親身に対応できる眼科でありたいと思っています。当院は私が子育て中ということもあり、お子様が受診しやすい院内設計(広めのキッズルームなど)にこだわりました。その結果、まずは口コミでお子様の受診が増え、そこから「今度はお父さん、お母さんも診てもらおう」「それならおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に」と、1回の来院で家族4人揃って受診されるようなケースもよくあります。都会と違って、地方は実家が近くにあるご家庭が多いですから、この「3世代のファミリー層をしっかりと巻き込んでいく」という繋がりこそが、自然なご紹介や口コミを生み、当院の大きな強みになっています。
—最近、特に増えていると感じる患者様や疾患の傾向はありますか?
やっぱり、子どもの近視はすごく増えていると感じますね。スマートフォンやタブレットの普及といった環境的な要因がかなり大きいと思います。これは日本だけでなく世界的な傾向でもあります。昔であれば「近視になったらメガネをかけましょう」という選択肢だけでしたが、今はなるべく進行を進ませないための予防や、抑制するための新しい治療の選択肢が色々と出てきています。当院でも佐賀の中ではかなり早い段階からこうした治療に積極的に取り組んできたので、ご紹介で来てくださる患者様もたくさんいらっしゃいます。
—患者様とのコミュニケーションで、特に意識されていることは何ですか?
絶対に「流れ作業の診療」にならないようにすることです。たとえ同じ病名であったとしても、その方のライフスタイルや性格、お仕事の内容によって、ベストな治療の選択肢は全く変わってきます。だからこそ、その患者様が「一番求めているゴールはどこなのか」をしっかり引き出すことが大切です。これは私一人だけが頑張るのではなく、受付から検査、看護師にいたるまで、スタッフ全員が患者様との会話の中でヒントを拾い上げ、院内で共有し合う「チーム医療」を徹底しています。
—2〜3年後の未来に向けて、今後はどのようなクリニックを目指していきたいですか?
医療の質を高めていくことはもちろんですが、今後はさらにクリニックの枠を超えて、地域の方々の心身の健康やコミュニティを支える場所にしていきたいです。実は今、スタッフたちが主導して、院内の広いキッズルームを活用した「子ども食堂」のような、地域の子どもたちの居場所づくりを計画しています。私から指示したわけではなく、スタッフ自ら他の施設へ見学に行ったりして、本当に積極的に動いてくれているんですよ。みんなで地域のために頑張ってくれる姿には本当に感謝しかありません。
—これまでにも地域に向けたイベントなどは行ってきたのでしょうか?
はい、色々とやってきました!院内で音楽コンサートを開いたり、ハロウィンやクリスマス、七夕などの季節行事をみんなで楽しんだり。あとは、子どもたちが白衣を着て眼科の仕事を体験する「職業体験イベント」も毎年開催していて、今まさに今年もみんなで準備を進めているところです。さらに、佐賀の一大イベントであるバルーンフェスタのボランティアゴミ拾いにみんなで参加したり、地域のお祭りの盆踊りに企業枠としてみんなで練習して出場したりもしました。こうした地域との温かい連携を、これからもどんどん増やしていきたいですね。
—最後に、先生と同じようにこれから開業や承継を目指す先生方へ、温かいメッセージやアドバイスをお願いします。
開業や承継というと、資金のことはもちろん、「人の問題」や日々のマネジメントなど、大変なことばかりが目について不安になるかもしれません。実際、自分自身が経営者の立場になってみて、苦労することや悩むこともたくさんあります。 でも、勤務医時代とは全く違う次元で、「自分たちの手で理想のクリニックを創り上げていく喜び」や、自分の掲げた旗に共感してくれたスタッフたちと「やりがいを分かち合える瞬間」が、そこには待っています。みんなで力を合わせてクリニックを良くし、それが患者様の喜びへと循環していく体験は、経営者だからこそ得られる特権です。 特に女性医師の先生方にとっては、仕事と家庭の両立で立ち止まることもあるかもしれませんが、開業という選択によって自分らしい働き方をコントロールできる側面もあります。大変なことは多いですが、それ以上に得られる「やりがい」や「面白さ」は本当に大きいです。ぜひ恐れずに、楽しむ気持ちを持って理想の医療への一歩を踏み出していただきたいですね。
Profile
院長 八次 桃子
ファミリィ アイ クリニック 院長。1977年佐賀市生まれ。佐賀県立佐賀西高校を卒業後、川崎医科大学医学部へ進学。2002年に卒業後、福岡大学病院眼科を皮切りに、村上華林堂病院や済生会八幡総合病院など、福岡・佐賀の基幹病院で眼科医としての豊富な臨床経験を積む。2010年には佐賀中部病院(旧佐賀社会保険病院)の眼科医長に就任。その後、2014年4月に医療法人加藤眼科医院の副院長となり、2019年4月に同院長を引き継ぐ。2023年9月、クリニック名を「ファミリィ アイ クリニック」として現在の佐賀市若宮へ移転リニューアルオープン。子育て中の母親としての視点も活かし、丁寧で親身な診療と、スタッフ一丸となったチーム医療で地域社会に貢献している。