Interviewインタビュー

地域に根差す瓦谷クリニック三代目院長の挑戦

瓦谷クリニック

院長 瓦谷 英人

大阪府堺市北区にある「瓦谷クリニック」は、祖父、父、そして現院長である瓦谷 英人先生へと、三代にわたって地域医療を支えてきたクリニックです。特に消化器内科に精通した瓦谷院長は、長年にわたる大学病院での経験と高度な専門知識を地域医療に還元し、病気の早期発見と患者さんとの信頼関係構築を大切にしています。最新の医療情報と患者さんへの優しい配慮を欠かさない瓦谷クリニックが、地域の方々の健康をどのように守り続けているのか。院長である瓦谷英人先生の経歴、クリニックの現状、そして未来へのビジョンについて、詳しくお話を伺いました。

「瓦谷クリニック」 院長 瓦谷 英人 先生が目指す、地域に根差した医療と病気の早期発見

地域医療を支える三代目の医師として

まずは、瓦谷先生が医師を志されたきっかけからお聞かせいただけますか?

私の祖父と父が共に医師をしておりましたので、幼い頃から医師という職業が身近にありました。それを見ていて、『忙しそうだけど、人の役に立つ良い仕事だな』と感じ、自然と私も後を継いで医師になろうと決意しました。

お父様も医師でいらっしゃったのですね。専門科目は同じ内科でいらっしゃいますか?

はい、大きな括りでは内科で一緒なのですが、細かく見ると少し違います。父は心臓などの循環器を専門としており、私はお腹を中心とした消化器を専門としています。特に胃カメラや大腸カメラを得意としています。診療の範囲としては異なりますが、同じ内科として地域医療に貢献したいという思いは共通しています。

瓦谷クリニックを継承されたのはいつ頃でしょうか?

2024年の4月からです。長年にわたる大学病院での勤務を経て、クリニックの院長に就任いたしました。

継承を決意された理由についてお聞かせください。

私自身、大学病院で長年勤務し、十分な経験を積むことができました。しかし、病気の早期発見は大学病院ではなかなかできない為、クリニックでの診療が大事であると思っていました。そこで父のクリニックを継承して、次のステップに進むのが最善だと判断しました。

瓦谷クリニックは、お祖父様の代から数えると非常に長い歴史をお持ちだと伺っております。

はい、祖父が1949年(昭和24年)に当地(大阪府堺市北区南花田町)で開業し、地域に根差した医療を長年提供してまいりました。父が継承してからも診療を続け、途中で今の場所に移転しましたが、この地域で70年以上にわたり診療を続けています。

患者さんとの対話を重視した診療と快適な診療環境

先生の専門は消化器内科ですが、日々の診療において特に意識されていることや、患者さんに対して気を付けている点はございますか?

最も大切にしているのは、病気を的確に診断し、患者さんに分かりやすく病状を説明することです。そして、患者さんが気軽に話せる環境を作ることですね。患者さんの中には、『こんなことを言っていいのかな』と遠慮してしまったり、『先生が忙しそうだから言うのはやめておこう』と考えてしまったりする方もいらっしゃいます。些細な症状や気になることでも、それらが病気の診断において重要な情報となることが少なくありません。ですから、患者さんがどんなことでも話していただけるよう、話しやすい雰囲気作りを心がけています。

些細な情報でも見逃さない姿勢が大切なのですね。現在、クリニックには先生とお父様を含めて何名くらいのスタッフの方がいらっしゃいますか?

はい、10名ほどのスタッフがいます。受付が4名、看護師が3名、薬剤師が1名、検査技師が1名、その他に清掃などを担当してくれるスタッフがおり、みんなで楽しく仕事をしてくれています。

クリニックを継承されてから、最も苦労されたのはどのような点でしょうか。

電子カルテのシステムを使いやすいように作り直したことです。以前は、毎回手作業で入力していたり、同じ処方を繰り返したりする手間があったため、スタッフ皆が効率的に診療できるように、院内の処方薬や検査項目をすべて整理し、カスタムしました。大学病院での業務とは異なり、クリニックでは診療報酬や保険診療の細かいルールも理解しておく必要があり、その知識を習得することにも苦労しました。時間短縮のためにも、今も日々、保険や薬の改正に合わせて修正を続けています。また、患者さんの診療の利便性を考え、WEBでの診療受付や胃カメラ、大腸カメラのWEB予約のシステムの構築なども行いましたので、みなさんで是非利用していただきたいです。

細かいシステム構築を先生ご自身で手作業でされたのですね。診療以外の経営的な部分で苦労されたのは、保険診療の知識だったのですね。

そうですね。大学病院では専門的な治療や検査が中心で、保険適用外の検査を診断のために行うこともありましたが、クリニックの保険診療では、認められる検査や処方に細かい規定があります。そのため、『大学病院では当然のように行なっていた検査が、実は保険適外だったのか』と驚くこともありました。経営者として、保険診療の仕組みをゼロから学び直す必要がありました。

地域のかかりつけ医として目指す医療

瓦谷クリニックの経営理念や、大切にされていることは何でしょうか?

『体の不調があれば、まず瓦谷クリニックで診てもらおう』と思っていただけるようなクリニックを目指しています。当クリニックがあるこの地域は、周辺に皮膚科や眼科などの専門科が少ないため、一般的な疾患であればクリニックで薬を処方したり、治療を行ったりしています。もちろん、専門的な治療が必要な場合は適切な医療機関に紹介しますが、まずは地域の方々の身近な健康の窓口でありたいと思っています。

特に力を入れていきたい診療分野はございますか?

私は消化器専門医として、胃カメラや大腸カメラの検査を積極的に行っていきたいと考えています。大学病院時代に進行がんで発見が遅れてしまった患者さんを多く見てきた経験から、『もっと早期に発見することはできなかったのか』という疑問を常に持っていました。胃がんや大腸がんは、早期に発見できれば治る病気です。そのため、検診や早期診断に力を入れ、進行してから発見されるケースを減らすことに貢献したいと考えています。胃カメラや大腸カメラ検査ができることは当クリニックの大きな強みだと感じています。

早期発見のための検診にも力を入れていらっしゃるのですね。どのような患者さんに来ていただきたいですか?

胃の調子が悪い、便通に異常があるなど、消化器症状に悩まれている方は、ぜひ来ていただきたいです。他院で診てもらっても症状が改善しないという方でも、様々な知識と経験を持っていますので、お力になれると考えています。また、胃カメラや大腸カメラ検査を希望される方も歓迎しています。

先生ご自身がクリニックを継承されてから、嬉しかったり、幸せを感じたりする瞬間はどのような時ですか?

以前から当クリニックに通ってくださっている患者さんから、『今までもずっとここで診てもらっていたから、これからも何かあったらずっと来るのでよろしくね』と言っていただけた時ですね。私個人というよりも、クリニック全体が地域の方々に信頼されていることを実感し、非常に嬉しく思いました。『よその病院には行きたくない。ずっとここで診てもらいたい。』と言ってくださる患者さんがいることは、大きな喜びです。

最後に、今後の目標やクリニックのビジョンについてお聞かせください。

2〜3年後には、この堺市内全域で『消化器のことなら瓦谷クリニックに行けば間違いない』と言っていただけるような、知名度と信頼性を獲得したいと考えています。そして、私自身の最終的な目標としては、『がんによって命を落とす方を限りなくゼロにしたい』という強い思いがあります。がんの中には、検診を受けることで早期に発見し、治癒できるものが多くあります。また、生活習慣病に起因する脳梗塞や心臓病なども含め、コントロールを徹底することで発症を少なくすることが可能です。日々の研鑽を怠らず、地域の方々の健康寿命を延ばすことに貢献し続けたいと思っています。

Profile

院長 瓦谷 英人

瓦谷クリニックの院長、瓦谷 英人(かわらたに ひでと)先生は、2001年に奈良医大を卒業後、奈良医大附属病院で臨床研修医として経験を積み、松本快生会西奈良中央病院内科を経て、奈良医大大学院医学博士課程を修了されました。その後、新金岡豊川総合病院(現堺若葉会病院)内科、再び奈良医大附属病院消で勤務。奈良医大附属病院では、中央内視鏡・超音波部 診療助教、消化器内分泌代謝内科 助教、そして講師や医局長など、要職を歴任されました。特に消化器内視鏡分野において、高度な診療と研究に長年従事されました。2024年4月からは、長きにわたり地域医療を支えてきた瓦谷クリニックの院長に就任され、大学病院時代に培った専門知識と技術を活かし、地域に根差した質の高い医療を提供されています。

会社情報

医院名

瓦谷クリニック

設立

1949年(開業)・2024年(継承)