「人に感謝されることが、やりがいになる」──横浜駅西口歯科・大橋豪院長が語る、信念ある診療と組織づくり
2025.07.15
地域医療の未来を担う継承と挑戦
川脇クリニック
院長 川脇 伸彦
名古屋市千種区に位置する「川脇クリニック」は、地域に根差した医療を提供されています。今回、私たちは院長の川脇伸彦先生にお話を伺いました。先生は、代々続く医院を継承された医師でありながら、激動の医療業界を生き抜く経営者としての側面もお持ちです。 特に、新型コロナウイルスのパンデミックという未曾有の事態の中で、医院の経営と患者様への責任という二つの重責に向き合い続けてきました。医師としての原点から、医院を継承された際の苦労、そしてコロナ禍での経験、さらには今後の展望や医療への熱い思いまで、川脇先生の率直な言葉を通じて、川脇クリニックが大切にする医療の本質に迫ります。
—先生が医師を志されたきっかけと、日々の診療で大切にされていることは何でしょうか?
父の姿を見てですね。父も医師として診療にあたっていましたので、子どもの頃からその背中を見て育ちました。自分が病気になったり、困ったりした時に助けてもらった経験から、医師という仕事に魅力を感じるようになったのだと思います。
—診療において、患者様との関係性で特に意識されていることは何でしょうか?
一番大切にしているのは、やはり患者様のお話をよく聞くことです。問診を非常に重視しています。正確な診断を行うためにも、患者様がどういった状態なのか、どのような気持ちでいるのかを知る。そのためには、しっかりと耳を傾けるという姿勢が欠かせません。
—患者様のお話を伺う中で、特に苦労されるのはどのような点ですか?
患者様はご自身の症状や状況を一生懸命話してくださるのですが、質問に対してストレートに答えてくださらないことも少なくありません。聞けば聞くほど、医師側への不満やイライラが募っているように感じられることもあるため、対話を通じて本質的な情報を引き出し、正確な診断につなげることが重要だと考えています。
—お父様から医院を継承された経緯について教えていただけますか?
父が脳梗塞で倒れてしまい、急遽、私が医院を継ぐことになりました。それまでは市民病院や大学病院で勤務していましたが、父の病気を機に並行して川脇クリニックの診療に携わるようになり、父が引退した後に本格的に院長として継承しました。
—急な継承後、最もご苦労されたのはどのようなことでしょうか?
一番は、旧来のやり方を変えていくことでした。父の時代は、どこか大らかというか、大雑把な部分がありましたが、現代の医療では通用しません。医療の質を向上させるために、これまでの慣習ややり方をやめて、より丁寧で適切な医療サービスを目指す必要がありました。
—経営者として、新型コロナウイルスのパンデミックはどのような影響がありましたか?
当院はビル内にありますので、コロナの感染症対策として患者様の動線を完全に分離し、感染症の患者様をシャットアウトしなければならない状況になりました。その結果、経営が大きく傾いてしまったことは、経営者として非常につらい経験でした。あの時は、「いっそ勤務医に戻ろうか」と考えるほどでしたね。
—経営における人材(スタッフ)の採用や教育について、何かお悩みはありますか?
やはり「人」にまつわる問題はいつの時代も難しいです。強く指導するのが難しい時代ですが、本当に真面目にやっている人ほど、口コミなどで変な風に書かれてしまうこともあります。人手不足の状況下で、次に良い人が来てくれるかどうかもわからないため、常に頭を悩ませています。
—医師としての診療とクリニックの経営の両立において、どのようにバランスを取られていますか?
正直に申し上げると、両立は非常に難しいです。医療を続けていくためには、当然ながらクリニックを経営していかなければなりません。患者様第一であることは揺るがないですが、「患者様のために」だけでは、経営は成り立たないという現実があります。
—経営を安定させるために、どのような工夫をされていますか?
患者様に対して、今の状況や、なぜこのような治療が必要なのかを「伝える」ということを意識しています。すべてにおいて患者様のご要望に応える「良いよ良いよ」というやり方ではなく、医師として、そして経営者として、きちんとした治療を提供し、その対価をいただくという姿勢を明確にしています。
—クリニックに導入して良かったと感じるシステムやサービスはありますか?
電子カルテで、手書きで記入できる機能があるのは便利だと感じています。キーボード入力ではミスが起こりやすいため、対面で話しながら手書きで記載していけるのは非常に助かります。また、共同購入システムを利用することで、仕入れ価格を大幅に下げることができたのも良かった点です。
—先生が日々の診療の中で、喜びを感じる瞬間についてお聞かせください。
患者様と話し合い、治療に取り組んだ結果、患者様が「よくなったよ」と笑顔で話してくれる時が、医師として最も喜びを感じる瞬間です。患者様一人ひとりの生活習慣や病気の状況を深く理解した上で、治療計画を立て、それが良い結果につながった時にやりがいを感じます。
—川脇クリニックとして、今後どのような医療を提供していきたいとお考えですか?
患者様がご自身の病気を正しく理解し、我々が提供する診療と治療に真摯に取り組んでいただくためのサポートをより一層充実させていきたいと考えています。私たちは、単に病気を治すだけでなく、「医療のサポート役」として患者様に寄り添い、共に健康を目指すパートナーでありたいのです。
—今後の医療業界全体への願いや、先生の夢について教えてください。
私の個人的な夢は、医療の診療報酬が正当に評価され、安定することです。診療報酬が下がるということは、医療の質が犠牲になることを意味します。医療機関が安定的に運営できることが、より質の高い医療を地域に提供し続けるための基盤となります。真面目にやっていれば、正当に評価される世の中になるのが私の願いであり、夢です。
Profile
院長 川脇 伸彦
川脇伸彦先生は、愛知医科大学を卒業後、医師としてのキャリアをスタートされました。平成6年に愛知医科大学病院での研修を経て、稲沢市民病院外科、愛知医科大学病院第二外科(血管外科)、尾洲病院などで研鑽を積まれました。 その後、平成14年から川脇クリニックでの診療に携わり、地域医療の中心的な役割を担ってこられました。代々続く医院を継承し、内科・外科両面の豊富な経験を活かした幅広い診療を提供されています。特に、患者様一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、病気だけでなく生活背景も含めた全人的な治療を心がけています。 激変する医療環境の中で、医師として、そして医院の経営者として、患者様からの信頼を何よりも大切にしながら、より質の高い医療の提供を目指し、日々尽力されています。