Interviewインタビュー

地域のインフラとして、心安らぐ「家」での療養を支え抜く。こまくさ在宅クリニック 院長・竹藤晃介の挑戦

こまくさ在宅クリニック

院長 竹藤 晃介

大阪府大東市に位置する「こまくさ在宅クリニック」は、通院が困難な患者さんのもとへ医師が直接訪問し、診療を行う在宅医療の専門クリニックです。院長の竹藤晃介先生は、大学病院での高度医療や緩和ケアの現場を経て、2024年2月に同クリニックを開院されました。 「住み慣れた家で過ごしたい」という患者さんとご家族の願いに応えるため、竹藤先生は日々、24時間体制で地域の健康を見守り続けています。穏やかな語り口の中に、医療に対する確固たる信念を秘めた竹藤先生。今回のインタビューでは、先生がなぜ在宅医療の道を歩み、どのような想いで患者さんと向き合っているのか、その核心に迫ります。

「最期まで自分らしく、穏やかに」こまくさ在宅クリニック・竹藤晃介院長が紡ぐ、地域に寄り添う在宅緩和ケアの形

医師としての原点と現場への想い

まずは、先生が医師を目指されたきっかけを教えていただけますか?

実はそれほど明確な一点があったわけではなく、漠然とした思いからでした。ただ、高校生の頃にはすでに「国境なき医師団」のような活動に興味を持っていました。困っている人のもとへ自分から出向いていく、というマインドはその頃からあったのかもしれません。

学生時代から、自ら動く「現場」への憧れがあったのですね。

そうですね。当時は学生だったので詳しいことまでは分かりませんでしたが、現場に対する強い思いはありました。結果的に今は、日本というフィールドで、地域医療や在宅医療という「インフラ」を支える立場にいます。自分の原点にある「現場が好き」という気持ちが、今の活動の原動力になっていると感じます。

数学などの勉強も苦ではなかったとお聞きしました。

勉強そのものは楽しかったですね。数学を解くような感覚で、背伸びをせずに着実に学んでいくプロセスを大切にしてきました。その積み重ねが、今の医療現場での判断力にも繋がっていると思います。

在宅医療・緩和ケアに特化した理由

大学病院などを経て、在宅医療の専門性を高めてこられた経緯を教えてください。

私は今回が2度目の開業になりますが、大きな転機となったのは大学院時代に訪問診療に同行する機会があったことです。そこで、大学病院の最先端医療とは対極にある、地域医療の重要性に大きな衝撃を受けました。

高度な医療を知っているからこそ、見えてきたものがあったのでしょうか?

そうですね。最先端の治療が受けられなくなった方、例えばがんのターミナル(終末期)の方や、緩和ケアを必要とする方が、最期までその人らしく過ごせる場所が絶対的に必要だと痛感したんです。それが在宅医療の魅力であり、私がこの道にどっぷりと浸かることになった理由です。

「こまくさ在宅クリニック」として独立された決め手は何ですか?

これから高齢化がさらに進む中で、地域に根ざした「インフラ」としての医療を自らの手で形にしたいと考えたからです。特に重症の患者さんを最期まで責任を持って診るというスタンスを貫くために、自院の開院を決意しました。

診療において大切にしているの精神

日々の診療の中で、先生が特に心がけている接し方はありますか?

一つは、患者さんとご家族が「安らぎ」を感じられるよう、患者さんを一人の人間として尊重しながら、患者さんの生活・人生に医療を編み込んでいくことを意識しています。 病院での治療を終えて自宅に戻られる際、不安を抱えている方は少なくありません。そのような状況において、訪問診療・在宅医療へいざない、時には歩む元気を呼び起こし、時には安らぎを与え、そして人生に彩りを添える、そのような小さいながらも魅力的な存在でありたいと思い、高山植物の女王である「こまくさ」の名前をクリニックにつけました。

ご家族への配慮も非常に大切にされていますよね。

はい。患者さん本人のケアはもちろんですが、それを見守るご家族もまた大きな不安の中にいます。最期を穏やかに迎え、ご家族が「悔いなく見取ることができた」と思えるようなサポートを何より大切にしています。

関係機関との連携についてはどのようにお考えですか?

病状が重くても、患者さんが希望すれば地域で自宅療養ができるシステムが回っていることだと考えています。そのために、地域の医療機関や介護事業所、行政や医師会、保健所などと連携を深め、大東市・四條畷市を中心とした在宅医療ネットワークをより強固なインフラに育て上げることが私の使命だと思っています。

地域のインフラ構築と未来への展望

先生にとって、在宅医療における「理想の形」とは何でしょうか。

私が現場にいなくても、地域医療がシステムとして完璧に回り続けている状態ですね。行政や医師会、保健所との連携を深め、大東市の在宅医療ネットワークをより強固なインフラに育て上げることが私の使命だと思っています。

後輩の医師や、開業を目指す方へのアドバイスはありますか?

医療情勢は厳しいですが、病院勤務も開業もそれぞれに楽しさがあります。私自身、どちらの良さも知った上で今の道を選びました。大切なのは、自分がどこの現場で誰を支えたいのか、よく考えることだと思います。

最後になりますが、先生ご自身の「夢」を教えてください。

地域の医療体制が整い、安心してバトンを渡せるようになったら、大好きな山登りにゆっくり行きたいですね(笑)。今はオンコールなど忙しい日々ですが、患者さんが安心して過ごせるシステムを構築することこそが、私の最大の夢です。

Profile

院長 竹藤 晃介

2012年に大阪大学医学部を卒業後、同附属病院にて初期研修を修了。2014年からは同病院の放射線治療科にて医員として勤務し、がん治療の最前線で高度な医療に触れ、研鑽を積んでこられました。 また、大阪府守口市で訪問診療の診療所の立ち上げに加わり、そこから8年間にわたり訪問診療の現場で数多くの患者さんと向き合ってきました。そして2024年2月、これまでの経験を注ぎ込む場所として、大阪府大東市に「こまくさ在宅クリニック」を開院されました。 竹藤院長が何より大切にしているのは、「患者さんとご家族に寄り添う医療」という信条です。緩和ケアや終末期医療に特化した体制を整えることで、住み慣れた家で過ごしたいという願いを支え、地域の在宅医療インフラをより確かなものにするために日々尽力されています。

会社情報

医院名

こまくさ在宅クリニック

設立

2024年