医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
「治療から予防へ」時代に合わせた進化を続ける歯科医療のプロフェッショナル
めぐりデンタルクリニック
院長 武田 洋一
今回お話を伺ったのは、新潟県新潟市中央区に新しく開業された「めぐりデンタルクリニック」の武田 洋一 院長先生です。長年の歯科医師としてのキャリアと、ホワイトエッセンスへの加盟を経て、予防歯科、特に審美・予防を軸とした新しいクリニックを開設されました。武田院長は、歯科医療が「病気になってから治す」だけでなく、「病気になる前に防ぐ」ことの重要性を強く訴えられています。また、30年にわたりスタッフの離職がほとんどないという、類まれなる経営手腕もお持ちです。これまでのご経験と、新しい時代における歯科医院経営、そして患者様との理想的な関係性について、「めぐりデンタルクリニック」の武田 洋一 院長に深く迫ります。
—さっそくですが、歯科医師を目指されたきっかけを教えていただけますでしょうか?
実は、父が医師をしており、その影響で自然と医療の道を志しました。 最初は医学部を目指していましたが、ご縁があって歯学の世界へ進むことになりました。 もともと自分の手で何かを形にすることが好きだったので、「自分の力で医院を築き上げたい」という気持ちが強く、歯科医師という道に大きな魅力を感じました。
—開業されてから今日まで、30年以上のキャリアを積まれてこられました。特に現在、「めぐりデンタルクリニック」で専門とされている領域、強みとしている点は何でしょうか?
やはり、予防歯科、特に審美予防ですね。ホワイトニングや、見た目の美しさと予防を両立させることに力を入れています。
—患者様を診察される上で、特に意識されていることはありますか?
歯科の病気は全て『生活習慣病』なんです。ですから、防ごうと思えば全て防げるんですよ。そこで重要になってくるのが、病気になってから治す『治療』ではなく、病気になる前の『未病』の状態をずっと保つための『予防』です。患者様には、そういった未病の状態で来ていただき、健康な状態を維持できるようサポートしていく関わり方をしたいと強く思っています。
—スタッフの育成や採用に苦労されている歯科医院は多いと聞きます。武田院長は、長年経営を続けてこられた中で、人材面での苦労はありましたか?
実は、採用や離職で苦労したことはないんです。なぜなら、当院には明確なビジョンがあり、それを絶えずスタッフに伝えているからです。『患者様の健康を維持するためにどうすべきか』という方向性がビシッと固まると、スタッフもそのビジョンに向かって一緒に歩もうとしてくれます。
—離職がないというのは素晴らしいですね。
その結果、武田歯科医院時代からオープニングスタッフがそのまま残ってくれています。離職はほとんどないんですよ。私がいなかった期間の方が売上が多かったくらいで、院長依存から完全に脱却した組織ができたことが、最大の強みですね。採用でも困ったことは一度もありません。
—院長依存を脱却した組織づくりの秘訣はなんでしょうか?
スタッフ育成は課題ですが、ドクターだけでなく、歯科衛生士がお客様である患者様の生活に寄り添い、コミットできるような人材を育てること。これが最も難しい課題だと感じています。
—若い先生方が開業するにあたって、「これだけはやるべき」というアドバイスはありますか?
まず言いたいのは、新しい設備や技術の習得に飛びつくのではなく、『経営』を学ばなければならない、ということです。臨床は一生続けていくものなので、焦る必要はありません。今の時代、経営の知識がなく開業すると必ず失敗します。経営の知識がないと、導入した高額な機材の減価償却を何年で回収できるかなども分からないでしょう。
—経営の知識はなぜそこまで重要なのでしょうか?
経営とは『時流の目』を見ることです。世の中の動き、時代の変革を理解しないと生き残れません。今は物価や人件費が高騰しているのに、保険点数はほとんど上がらないという厳しい社会情勢です。昔の感覚でただ開業して保険診療中心でやろうとすると、銀行に借金を返すためだけに働くことになってしまう。これまでの『治療中心』から『予防と自費』へとやり方を180度変えないと、生き残れません。
—具体的に、武田院長は経営をどのように学ばれたのでしょうか?
私自身は昔から『日本経済新聞』を読み、多くの経営者の話に耳を傾けてきました。そして、最も大きかったのはホワイトエッセンスに加盟したことです。そこで、経営の理念や方法論を一から徹底的に叩き込まれ、それまで学んできたことが全て体系化されました。
—開業直後の集客について、最も注力すべきポイントを教えていただけますか?
今の時代、集客で効果があるのは、WebとSNSですね。特にInstagramと口コミに力を入れています。広告はあまり効果がありません。今は皆さんがSNSで情報を得て、それを信用する時代になっています。そのため、地道に手間をかけてSNS運用をする必要があります。
—「めぐりデンタルクリニック」の今後のビジョンについて教えてください。
今後、3年後にはもう1店舗という形で、新たな拠点を増やしていきたいと考えています。これは経営計画書にも書かれていて、皆が目標を持って働く場所を増やすためでもあります。
—武田院長が目指す最終的なゴール、ビジョンについてお聞かせください。
目指すのは最初から最後まで一貫して変わっていません。それは、『健康な人が、楽しんで予防のために来てくれる医療機関』を作ることです。そして、患者様は虫歯や歯周病にならず、さらに審美予防によって美しく、笑顔でいられる。また、スタッフも目標を持ち、イキイキと働ける環境であること。患者様もスタッフも、そして私も、みんなが幸せになれる、そんな歯科医院を作り続けていきたいと思っています。
Profile
院長 武田 洋一
めぐりデンタルクリニックの院長、武田 洋一 先生は、長年にわたり地域医療に貢献されてきた歯科医師です。1990年に鎌田歯科室に勤務されたのを皮切りに、複数の歯科医院での勤務を経て、1996年には山形県鶴岡市で武田歯科医院を開設されました。転機となったのは2017年のホワイトエッセンス加盟。ここで経営や理念の大切さを学び、現在の予防歯科を主軸とした診療スタイルを確立されました。そして2025年、新潟市女池に「めぐりデンタルクリニック」を開設。特に審美・予防に強みを持ち、患者様の「生涯にわたるお口の健康」をサポートすることを最終的な目標とされています。その医療と経営の両輪を高いレベルで回す手腕は、多くの歯科医師にとっての理想像と言えるでしょう。