Interviewインタビュー

誰もが安心して笑顔になれる医療を目指して

もものき内科クリニック

院長 太田 美和

島根県出雲市に、地域医療への熱い思いを胸に開業されたもものき内科クリニック 院長 太田 美和先生。大学病院で長年、糖尿病や甲状腺疾患など内分泌代謝内科の専門的な診療に携わってこられた経験を活かし、患者様一人ひとりに寄り添う、丁寧な医療の提供を目指していらっしゃいます。 患者様との信頼関係を大切に、病気だけでなく、その人の生活全体を診ることをモットーに掲げる太田先生。しかし、クリニックの開業は、医療行為だけでなく、経営や集患、人材採用など、多岐にわたる課題との闘いでもあったと言います。 今回は、太田先生が医師を志したきっかけから、開業に至るまでの道のり、クリニック経営における信念、そして今後の夢について、率直にお話しいただきました。医療にかける情熱と、優しくも強い想いに触れることができるインタビューです。

糖尿病・甲状腺疾患の専門医が目指す、寄り添えるクリニック 『もものき内科クリニック』太田 美和院長インタビュー

医師を志したきっかけと開業の動機

まず、太田先生が医師を志されたきっかけをお聞かせいただけますか?

小さい頃から、祖母が近所の開業医の先生に長年お世話になっていたことが、私の原点にあると思っています。祖母が糖尿病を患っていて、その先生にいつも診ていただいている姿を見て、「いいな」と感じていました。白衣を着ない、優しく寄り添ってくれる先生の存在が、医師という職業への憧れになりました。

大学病院で長年ご勤務された後、今回ご開業に至ったのはどのような経緯からでしょうか?

大学病院では、診療だけでなく研究や教育、そして事務的な業務など、様々な仕事の割合が増えていきました。私自身、目の前のことに興味を持って取り組んできましたが、キャリアを積む中で「患者さんの診療に専念したい」という気持ちが大きくなっていったんです。長年の経験を活かし、患者様ともっと深く向き合える内科クリニックを作りたいという思いから、開業を決意しました。

クリニック名の「もものき」にはどのような意味が込められているのですか?

児童文学の『モモ』という本が好きなのですが、主人公のモモの周りには、困った人たちが集まってくると、モモが何かを言うわけではなくても、皆が自分自身の答えを見つけたり、心が楽になったりするんです。もものき内科クリニックも、ただ病気を治すだけでなく、患者さんが一歩踏み出せるような、寄り添い、力を与えられる存在でありたいという願いを込めて名付けました。

開業準備と専門医療へのこだわり

開業されるまでにご苦労されたことは何でしょうか?

医療行為以外の、土地の購入や行政への申請、各種審査など、まったく経験のないことを決めて進めていくのが本当に大変でした。これまでは、自分が頑張れば何とかなることが多かったのですが、医療外のことで自分一人の力ではどうにもならないことが多く、人とのつながりや助け合いの大切さを痛感しました。

先生の専門領域である糖尿病や内分泌疾患の診療において、特にこだわられている点はありますか?

はい。糖尿病については、大学病院での経験を活かして、最新の医療機器も使い、質の高い専門的な診療をクリニックでも提供できることにこだわっています。また、内分泌疾患についても、一般の内科クリニックでは見過ごされがちな甲状腺や副腎の病気なども、専門的な視点を持って鑑別診断を上げられる体制を整えています。

クリニックの運営にあたり、導入されたシステムや機器で「これは役立つ」と感じられたものはありますか?

電子カルテと連携し、様々なデータを集約できるシステムは基盤として重要です。また、採血や検査がスムーズに行えるように、検査会社と連携したラベル印字システムや、自動精算機なども導入しました。大学病院にいた頃のシステムは規模が大きく、多機能のものでしたが、開業医として、利便性と効率性を両立できるシステムを構築することは非常に重要だと感じています。

理想のクリニック経営と組織づくり

クリニックの経営において、特に大切にされているポリシーや考え方を教えてください。

一番は、スタッフを大切にすることです。そして、患者さんの利便性や満足度を高めることであれば、固定概念に囚われずに新しいことにも挑戦していく姿勢を大事にしています。良い医療を提供するには、まず働くスタッフが気持ちよく働けることが不可欠だと考えています。

スタッフの皆さんとの関係性を築く上で、意識されていることはありますか?

スタッフが業務に邁進できるように、役割分担を明確化が大切だと思っています。当院は職種や経歴が異なるので、自然と役割分担が決まりました。また、まだ手探りではありますが、スタッフの希望や目標も異なると思うので、声を聞き仕事へのモチベーションを保てるよう配慮したいと思っています。福利厚生も意識している点の1つです。スタッフの協力なしには、理想の医療は実現できませんから。

クリニックの集患、広報活動については、どのような取り組みをされていますか?

開業当初は、手始めにInstagramやホームページといったWeb上の露出を強化しています。また、当院は内科ですが、美容医療も提供するため、特に美容医療ではモニターの方々にも協力していただき、口コミでの広がりを目指しています。内科は、すぐに患者さんが変えるものではありませんので、地道に努力し、信頼を積み重ねていくしかないと思っています。

未来へのビジョンと後輩へのメッセージ

2~3年後、もものき内科クリニックをどのような場所にしていきたいとお考えですか。

私の専門的な知識を活かして提供したい医療が、本当に患者さんのニーズとマッチしているか、これからも検証しながら、より良い方向へと修正を加えていきたいと思っています。将来的には、出雲で「もものき」といえば「桃の木」ではなく「もものき内科クリニック」が一番に思い浮かぶような、地域に根差した、寄り添えるクリニックになっていたいですね。

開業を志す先生方へ、ご自身の経験から「やっておいた方がいいこと」と「注意すべき点」についてアドバイスをお願いします。

やっておいた方がいいことは、決めるべきことは、早め早めに決めておくことです。私自身、準備期間を長く取ったつもりでしたが、医療以外の分野で想像以上に多くの時間と労力がかかりました。「思い立ったが吉日」で、やれることはどんどん進めていくべきだと思います。そして、注意すべき点は、自分一人で抱え込まず、頼れる専門家や仲間を頼ることです。何でもかんでも自分一人で完結しようとすると、時間も心も体も疲弊してしまいます。

最後に、太田先生にとっての「夢」をお聞かせください。

もものき内科クリニックが、私が思い描いた「モモ」のように、患者さんにとって寄り添える存在となることです。病気を治すだけでなく、患者さんの不安を取り除き、心身ともに健康で前向きになれる、そんな医療を提供し続けるクリニックでありたいと願っています。

Profile

院長 太田 美和

島根医科大学(現・島根大学医学部)を卒業後、県内の市中病院で内科全般を学び、その後、日本有数の糖尿病センターで専門的な研鑽を積まれました。2008年からは島根大学医学部附属病院 内分泌代謝内科に勤務し、主に糖尿病や甲状腺疾患などの内分泌疾患、高血圧や脂質異常症等の診療に尽力されてきました。長年の大学病院での経験を経て、「患者さんとより深く向き合い、質の高い内科医療を提供したい」という思いから、この度、島根県出雲市にもものき内科クリニックを開業。専門性を活かした丁寧な診療はもちろん、患者様の不安を取り除くための対話と、地域に根差した医療の提供を目指されています。クリニック名には、児童文学から着想を得た「困った人が集まると、自然と解決に向かうような存在でありたい」という願いが込められています。

会社情報

医院名

もものき内科クリニック

設立

2025年