なぜ、訪問診療という形で地域医療に貢献するのか?仙台みやぎの訪問クリニック 院長 川村 雄剛 先生に聞く、医師としての信念と挑戦
2025.10.01
医療の壁をなくし、心に木漏れ日を。桃園通り こもれびクリニック廣川佑院長が目指す、日常に寄り添う究極の「かかりつけ医」
桃園通り こもれびクリニック
院長 廣川 佑
東京都中野区、活気ある商店街の先に位置する「桃園通り こもれびクリニック」。一歩足を踏み入れると、そこには病院特有の緊張感はなく、温かい木目に包まれた穏やかな空間が広がっています。今回お話を伺ったのは、同クリニックの院長を務める廣川佑先生です。脳神経外科という緻密で高度な専門性を持ちながら、「もっと身近な存在でありたい」と語る廣川先生。なぜ、あえて地域に根ざした「クリニック」という形を選んだのか。そして、先生が掲げる「公園のような場所」というコンセプトに込められた真意とは。廣川佑院長の柔和な笑顔の裏にある、地域医療への情熱とビジョンに迫ります。
—まず、廣川先生が医師を志した最初のきっかけを教えてください。
根底にあるのは、幼い頃から持っていた「困っている人の力になりたい」という思いです。 誰かを支える仕事がしたいと考える中で、自然と医療の道を選びました。
—多くの基幹病院で脳神経外科医として活躍されてきましたが、なぜ今、中野の地で開院を決意されたのでしょうか?
勤務医として大きな病院で診療を続ける中で、医療機関に対して「重症になってから行く場所」「少し敷居が高い場所」というイメージを持たれていることを感じる場面が多くありました。 中野は、働いている方や地域にお住まいの方、若い世代からご高齢の方まで、本当にさまざまな人が行き交う街です。だからこそ、日々の生活の中で、体調のことをもっと気軽に相談できる場所が必要なのではないかと感じました。病気になってからだけではなく、少し気になる段階でも立ち寄れるような存在でありたい。そうした思いが、開院につながっています。
—クリニック名にある「こもれび」という言葉には、どのような願いが込められていますか?
「こもれび」という言葉には、公園の木の下に差し込む、やさしい光のような空間をイメージしています。 体調や不安を抱えて来院される方にとって、木漏れ日の下で少しほっとできるような、安心して立ち寄れる場所でありたいと思っています。 医療としての専門性を大切にしながらも、温かさを感じられる場所にしたい。 そんな思いから、「こもれびクリニック」という名前を付けました。
—「公園のようなクリニック」という非常にユニークなコンセプトを掲げていらっしゃいますね。
はい。公園は、小さなお子さんからご高齢の方まで、さまざまな人が自然に集まり、それぞれの過ごし方ができる場所だと思っています。 少し休みたい人もいれば、誰かと話したい人、ただ通りかかる人もいる。 そんなふうに、特別な理由がなくても立ち寄れる空間って、とても大切だと感じています。 クリニックも、「具合が悪くなってから頑張って行く場所」ではなく、日常の延長線上で気軽に相談できる存在でありたいと思っています。
—具体的には、どのような時に利用してほしいと考えていますか?
風邪や怪我などの一般的な症状はもちろんですが、「なんとなく調子が悪い」「どの診療科に行けばいいかわからない」といった段階でも、気軽に相談していただけたらと思っています。 地域の中で、「まずここで相談してみよう」と思っていただけるような存在でありたいですね。 必要に応じて専門的な医療機関とも連携しながら、その方に合った医療につなげていければと考えています。
—クリニックの雰囲気作りで、ハード面やソフト面でこだわっている点はありますか?
院内は、木のぬくもりを感じられるような内装にし、少しでもリラックスして過ごしていただける空間を意識しました。 入り口まわりには植栽を取り入れ、街の中でも少し気持ちが和らぐような雰囲気を大切にしています。 また、空間だけでなく、スタッフの雰囲気もとても大切だと考えています。 患者様が緊張せずに話せること、ちょっとしたことでも相談しやすいと感じてもらえることを、日々大事にしています。
—理想のクリニックを実現するために、スタッフの採用や教育で重視していることは何ですか?
採用の際に大切にしているのは、経験や技術だけでなく、その方のお人柄や、クリニックの考え方に共感していただけるかという点です。 医療機関は、医師一人だけで成り立つものではありません。 受付や看護師を含め、スタッフ全員の雰囲気や関わり方が、患者様の安心感につながると考えています。 だからこそ、相手の立場に立って考えられることや、自然な思いやりを持って接することを大切にしています。
—実際の現場では、どのようなチームワークを意識されていますか?
職種ごとの垣根を作りすぎないことは、日頃から大切にしています。 看護師、受付、医師と役割はそれぞれありますが、誰かが困っていれば自然に声をかけたり、支え合ったりできる関係性が理想だと思っています。 そうした雰囲気は、患者様にも自然と伝わるものだと思いますし、安心して過ごしていただける空気感にもつながっていくと感じています。
—廣川先生からスタッフの皆さんへ、常に伝えているメッセージはありますか?
「相手の立場に立って考えること」は、日頃からよく共有しています。 医療は、単に症状を診るだけではなく、不安や背景も含めて人と向き合う仕事だと思っています。 そのため、マニュアル通りに対応するだけではなく、「今、この方は何を求めているのか」を自然に考えられることを大切にしています。 患者様にとって、安心して話せる空気をつくることも、医療の一部だと考えています。
—地域交流の一環として、ハロウィンなどのイベントも開催されているそうですね。
はい。バルーンアートや、季節に合わせたちょっとしたワークショップなども行っています。 クリニックというと、どうしても「体調が悪い時に行く場所」というイメージを持たれやすいですが、もっと地域の中で自然に立ち寄れる存在でありたいと思っています。 特にお子様にとって、「病院は怖い場所」ではなく、「安心して来られる場所」と感じてもらえることは大切だと考えています。 そうした積み重ねが、困った時に早めに相談できることにもつながっていくのではないかと思っています。
—こうしたイベントには、どのような思いを込めているのでしょうか?
今はスマートフォンやSNSなど、常に多くの情報に触れ続ける時代だと思います。 便利になる一方で、地域の中で人と自然に関わったり、少し肩の力を抜いたりする時間は、以前より少なくなっているのかもしれません。 実際に手を動かして何かを作ることや、人と同じ空間で過ごすことには、デジタルとはまた違った良さがあると感じています。 だからこそ、クリニックも単に診察を受ける場所ではなく、地域の中で気軽に立ち寄れたり、人とつながれたりする場所でありたいと思っています。
—最後に、これから開業医を目指す先生方へのアドバイスやメッセージをお願いします。
私自身、今もまだ試行錯誤の連続です。 ただ、開業を通して感じるのは、「どんな場所をつくりたいのか」という思いは、とても大切だということです。 地域の中でどのような役割を担いたいのか、皆様にどんな時間を過ごしてもらいたいのか。 そうした軸があることで、少しずつクリニックの空気や方向性も形になっていくのだと思います。 また、地域医療は一つの医療機関だけで完結するものではなく、クリニック同士や病院との連携も欠かせません。 それぞれが協力し合いながら、地域全体で患者様を支えていくことが大切だと感じています。 大変なことも多いですが、自分なりの理想を形にしていく過程は、とてもやりがいのあるものだと思います。
Profile
院長 廣川 佑
廣川 佑 桃園通り こもれびクリニック 院長。 新潟大学歯学部卒業後、東海大学医学部へ進学。 練馬光が丘病院、帝京大学医学部附属病院脳神経外科、新東京病院、豊見城中央病院など、全国の基幹病院で脳神経外科医として数多くの手術や救急医療に従事。成田富里徳洲会病院、国際医療福祉大学成田病院などでも研鑽を積む。 高度急性期医療の現場に携わる中で、病気を治療するだけでなく、より日常に近い場所で人を支える医療の重要性を実感。 2025年、中野に「桃園通り こもれびクリニック」を開院。 脳神経外科の専門性を活かしながら、内科診療や軽い外傷の処置などにも対応し、世代を問わず気軽に相談できる、“公園のようなクリニック”を目指している。