Interviewインタビュー

地域医療への熱き情熱と、理想を追求する経営哲学

ないとう整形外科クリニック

院長 内藤 健一

静岡県富士宮市に位置する【ないとう整形外科クリニック】は、「来てよかったと思えるクリニック」を目指し、地域に根差した診療を提供されています。一般整形外科診療はもちろん、スポーツ整形や近年注目を集めている再生医療の一つ、PRP(多血小板血漿)療法など、先進的な治療も積極的に取り入れ、患者さん一人ひとりに向き合っています。本日は、その中心である**内藤健一(ないとう けんいち)**院長に、医師を志したきっかけから、クリニック経営の理念、そして今後のビジョンに至るまで、熱い思いを伺いました。内藤院長が築き上げてきたクリニックの強さの秘訣、そして地域に求められ続ける理由を探ります。

地域医療への熱い思いと飽くなき探求心に迫る【ないとう整形外科クリニック】内藤 健一 院長インタビュー

医師を志した原点と、地域医療のトップを目指した開業

まずは、内藤先生が医師を目指されたきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか?

高校時代、私はバドミントン部に所属していました。その時のチームメイトのご家族、つまり彼の父親が医師をされていて、よく遊びに行くうちに先生と話す機会が多くあったんです。また、私自身が怪我をした時に、その先生に直していただいたりする中で、「すごい、かっこいい仕事だな」と強く憧れるようになりました。 当時、医師になれるほどの学力があるか正直自信はなかったのですが、高校時代を過ごす中で、もしかしたら手が届くかもしれないという思いが芽生え、そこから本格的に医師の道を志しました。

勤務医から、開業という道を選ばれたのはなぜでしょうか?

医師は通常、大学の医局に所属し、大きな病院や小さな病院を転々とすることが一般的です。私もその道を歩み、30代半ばから40歳頃になると、病院内で部長や科長といった役職に就き始めます。その後、大学に戻るか、そのまま勤務医を続けるか、あるいは医局を離れて自分の道を探すかという選択肢が生まれます。 その中で、私は「自分でトップに立って、経営から医療まで全てをやってみたい」という気持ちがだんだんと強くなっていきました。勤務医時代にはできない、自分の理想とする医療を追求したいという思いから、30代後半頃から本格的に開業を意識し始めました。手元に資金はありませんでしたが、「借金をしてでもやりたい」という強い意志で決断しました。

患者満足度とスタッフを重視するクリニック経営

診療にあたる上で、患者さんとのコミュニケーションや治療方針において、最も大切にされている点、意識されている点はありますか?

患者さんと医師は、お互いに人間ですから、合う合わないはもちろんあると思います。しかし、せっかく当クリニックに来てくださった方には、「ここに来て良かったな」と心から思って帰っていただきたいという思いが一番にあります。 治せる範囲には限りがありますが、治療の方針が定まった、あるいは自分の病状や重症度が分かったなど、何かしらプラスになって帰ってもらいたいと常に心がけています。そのために、「患者さんが何を求めているのか」を診察を通してしっかり観察しながら、お話を聞くようにしています。

どのような時に「やっていて良かった」と幸せを感じますか?

やはり、「この病院にかかって良かった」「病気が治った」、あるいは「良い病院を紹介してもらって手術して良くなった」といった患者さんの声を聞く時です。「自分のやってきたことは間違いではなかった」と感じ、本当に心から嬉しく思います。これこそが、医師としての冥利に尽きる瞬間ですね。

クリニックの経営理念として、スタッフを大切にされているとのことですが、どのような点を重視されていますか?

経営者としては、スタッフに対する還元も非常に大切に考えています。当院は、スタッフがついてきてくれないと成り立ちませんから、身内であるスタッフやその家族を大切にしたいという思いがあります。スタッフが「ここに勤めて良かった」と思えるような環境づくりを重視しています。そうすることで、患者さんへの対応も良くなり、結果的に患者さんの満足度にも繋がると考えています。

採用後の人材教育で意識されていることはありますか?

当院では、院長である私が全てのスタッフを直接コントロールすることは難しいと考えています。そのため、各部門ごとにリーダーを配置し、私の考えや方針をそのリーダーを通じて下のスタッフに伝えるという形をとっています。そして、各部門で作成したマニュアルを新人スタッフは見て、書き込みながら業務を覚えていくシステムを取り入れています。これにより、教育体制は比較的うまくいっていると感じています。

集患・集客について、特にうまくいったと感じる工夫はありますか?

当院は整形外科ですが、近年、再生医療の分野を積極的に取り入れています。具体的には、PRP(多血小板血漿)療法という、整形外科領域ではまだ新しい治療法を地域のクリニックの中では早めに導入しました。 これにより、広域から患者さんが来てくださるようになりました。「インターネットで見た」「人づてに聞いて」という方も増え、集客にもプラスに働いています。また、インターネット上での情報発信にも力を入れ、事前に治療内容を理解して来院される患者さんが増えたことで、診察時の説明の手間も省けています。

開業されてから現在までで、最もご苦労されたエピソードがあればお聞かせください。

スタッフの入れ替わりと、特に院内の人間関係です。初めは良くても、時間が経つにつれて特定のグループができたり、経営に対して協力的な姿勢が見られないスタッフが出てきたりすることもあります。そういった人間関係の問題をどう解決していくかという点には、非常に心を砕きました。

地域に根差し、進化し続けるクリニックの未来

今後2〜3年後、クリニックをどのような場所にしていきたいか、ビジョンをお聞かせください。

患者さんの来院数や収益は、現状をキープできれば一番良いと考えています。その上で、立ち止まることなく、常に新しい治療方針や技術を取り入れていきたいです。昔ながらのやり方だけを続けていては、クリニックは必ず衰退してしまうと思っています。 当院では、新しい技術や情報を常に外部に求め、取り入れることで、クリニックとしてのレベルを維持し、さらにステップアップしていきたいと考えています。

それでは、内藤先生の地域医療における「夢」についてお聞かせください。

私の夢は、この富士宮市という地域に根差して、「あそこのクリニックに行けばなんとかなるよ」と、誰もが信頼して言えるような、地域にとって欠かせない病院を作ることです。 オンラインの口コミも大切ですが、実際に患者さんが体験した「あそこに行って良かった」「治った」というリアルな口コミの方が、はるかに強い力を持つと思っています。その信頼を積み重ねて、地域になくてはならない存在になりたいです。

これから開業を目指す先生方や、同じ境遇にある先生方へメッセージをお願いします。

医師として医療の知識は深く学んでいると思いますが、開業すると「経営」という全く別の分野の勉強が始まります。労務、税金、そして経営者として対処すべき課題が山積します。 しかし、これは人間として成長するための良い機会だと捉えることができます。「医師は医療だけやっていれば良い」とは私は思っていません。社会の構造や、さまざまな人との繋がりにも目を向けていくことが重要です。 開業は、医師人生をかけて挑戦する価値のある、非常に魅力的な選択肢だと思います。特に地方では医師が不足している状況にあります。ぜひ、人生をかけて挑戦し、私たちと共に地域医療を支えていきましょう。そして、自分の一番身近にいる家族やスタッフを大切にすることが、成功への道に繋がると私は信じています。

Profile

院長 内藤 健一

【ないとう整形外科クリニック】院長の内藤 健一先生は、長年の臨床経験と飽くなき探求心を持つ医師です。浜松医科大学を卒業後、同大学の整形外科に入局し、磐田市立病院や藤枝市立総合病院、富士宮市立病院など、地域の主要な病院で経験を積まれました。特に、藤枝市立総合病院整形外科医長や富士宮市立病院整形外科長を歴任するなど、地域医療の中核を担う存在として活躍。その知識と技術は、スポーツドクターとしても発揮され、2004年〜2006年清水エスパルスチームDr、2014年〜沼津東高校サッカー部チームDrを務めるなど、地域のアスリートを支えてこられました。そして、これまでの経験を地域に還元すべく【ないとう整形外科クリニック】を開院。患者さんだけでなく、スタッフの満足度も重視する経営姿勢で、地域医療の質向上に貢献し続けています。

会社情報

医院名

ないとう整形外科クリニック

設立

2008年