患者様の声に耳を傾ける医療を――銀座泰明クリニック院長・茅野分先生インタビュー
2025.11.11
地域に根差し、患者様の笑顔を創る眼科医療へ
なかつぼ眼科
院長 中坪 弥生
大阪府高槻市、長年親しまれてきた土地に2024年4月、「なかつぼ眼科」が開院しました。耳鼻科医の父から受け継いだ場所で、新たに地域医療を支えるのは、院長である中坪 弥生先生です。先生は、長年にわたり大学病院や総合病院で研鑽を積まれ、眼科部長も務められた確かな実力の持ち主です。生まれ育ったこの地に貢献したいという強い想いを胸に、日々患者様と向き合っていらっしゃいます。この記事では、中坪先生が医師を志されたきっかけや、クリニック経営の中で大切にされていること、そして今後の展望について深くお話を伺いました。なかつぼ眼科が目指す、地域に根差した温かい眼科医療の姿に迫ります。
—まずは、医師を志されたきっかけからお聞かせいただけますでしょうか?
父が耳鼻科医を開業していたため、医療が身近な環境にあったのが大きいです。また、「何か手に職をつけたい」という思いもあり、医師になろうと決めました。
—親御さんの存在と、専門性を身につけたいという思いが合わさったのですね。次に、開業された経緯についてお聞かせください。
父が元々、この地で耳鼻科を開業していました。兄も耳鼻科医をやっており、兄が事業を継承するにあたり、建物を新しく建て替えるか、改築するかという話になったんです。そのタイミングで、私も「ちょうど良い機会だ」と思い、兄と一緒にこの建物でクリニックを開業することにしました。
—開業されて約1年半(取材当時)が経ちましたが、日々の診療の中で特に意識されている点や、大切にされていることは何でしょうか?
一番意識しているのは、患者さんに分かりやすく説明するということです。そのために、なるべく専門用語を使わず、噛み砕いた表現でお伝えするように心がけています。また、診療の様子や、病状を写真や画像で共有しながら説明するようにもしています。
—確かに、写真や画像を見ながら説明を受けると、患者側としても理解が深まりますね。一方で、分かりやすく伝えることに難しさを感じる場面もあるかと思いますが、いかがでしょうか?
そうですね、どう伝えたら患者さんに分かりやすく伝わるかというのは、本当に日々試行錯誤しています。患者さんが説明を聞いて「はい、はい」と返事をしてくださっていても、実際は分かっていなかったということも結構あるので、その難しさは常に感じています。
—経営者としては、自由診療の推進も求められることがあると思いますが、その辺りの考え方はいかがでしょうか?
もちろん、自由診療が増えることは経営としては良いことかもしれません。ただ、自由診療ばかりに頼るのではなく、保険診療の質もきちんと維持していく必要があると考えています。自由診療で来られた患者さんにも「保険診療もここで受けたい」と思ってもらえるように、そして保険診療で来られた方が「この内容なら自由診療も試してみたい」と思ってもらえるように、どちらの面でも満足度の高い医療を提供することが大切です。最終的には、「なかつぼ眼科なら長く通いたい」「リピートしたい」と思っていただけるのが一番ですね。
— 診療を通じて、嬉しさや幸せを感じる瞬間はどのような時でしょうか?
やはり、患者さんから「良くなったよ」「ありがとう」と言葉をかけていただける時が一番嬉しいです。また、他の人から「あそこの先生から聞いて来ました」と言っていただけるのも、紹介してくださった方が満足してくださった結果だと思うので、とても嬉しいですね。
—患者様の喜びの声が、日々の原動力になっているのですね。逆に、開業されてから一番苦労されていることや、現在の課題はどのような点でしょうか?
まだまだ苦戦中ですが、やはり集患は課題としてあります。開業して1年半が経ち、去年の同時期よりは上向いてはいますが、「まだまだこれから」というところです。
—集患への対策として、具体的に取り組まれていることはありますか?
今は、ウェブ広告を出したり、地域の方々を対象にした市民セミナーを開催したりといった取り組みをしています。また、ホームページやGoogleマップを見て来られる方が多いので、ウェブ対策には力を入れています。アナログな方法として、看板を出したりもしています。
—開業医にとって、人材の採用や育成も大きな課題となることが多いですが、なかつぼ眼科はいかがでしょうか?
当院では、兄の耳鼻科とは経営を完全に分けています。幸いなことに、新規採用の際、経験者と新人がバランスよく入職してくれたんです。経験者が新しいスタッフに教えるという体制が自然にできあがったので、その点では、私自身が苦労するというよりも、スタッフがしっかりしてくれているおかげだと感じています。特に受付スタッフや検査スタッフには、経験豊富なベテランがいてくれるので、その方々が中心となって研修や教育を担ってくれています。また、当院は新規開業でしたので、開業前から時間をかけて研修を行うことができたのも大きかったですね。
—なかつぼ眼科として今後どのようなクリニックを目指していきたいか、夢やビジョンをお聞かせください。
私はこの高槻の隣の茨木市で育ち、父もこの地域で長年医療に携わってきました。ですので、何よりも地域医療に貢献していきたいという思いが強いです。そして、できる限り長く、地域の方々に信頼される眼科として診療を続けていきたいですね。ゆくゆくは、地域の方々の間で「この辺りの眼科でどこが良い?」と聞かれたときに、「なかつぼ眼科が良いよ」と言ってもらえるようなクリニックになれたら嬉しいです。
—開業を志すドクターに向けて、中坪先生が「これをやっておいた方が良い」と感じたアドバイスがあれば教えてください。
私は父が耳鼻科医をしていた場所で開業しましたが、眼科医としてはこの地域で長く診療をしていませんでした。勤務医時代は、大阪の少し離れた沿線で働いていたため、言うなれば飛び込みで眼科を開業したような形になってしまいました。 この経験から言えるのは、開業前に、開業を予定している地域の病院やクリニックとの交流、つまり「つながり」を事前に持って準備をしておくと良かったな、ということです。
—地域で事前に顔の見える関係を築いておくことの重要性ですね。具体的に、どのような場面でそれが役立つと感じられましたか?
やはり、地元の病院や他のクリニックとの連携が大切になってきます。当院で全てを診られるわけではないので、他の医療機関に患者さんを紹介したり、逆に紹介してもらったりという場面は必ず出てきます。 私の場合、父がこの地で長く診療していたため、「あの先生の娘さんか」と声をかけてくださる人もいて、まだ恵まれていた方だと思います。しかし、全く知らない土地でゼロから開業するとなると、最初の患者さんの集患だけでなく、医師会や他の病院との連携をどう築くかが、とても難しい課題になります。 技術や経営の勉強ももちろん大切ですが、それとは別に、開業前に地域の先生方と「つながり」を持っておくことで、いざという時に困らず、スムーズに診療を始められると思います。特に、人付き合いが得意な先生なら問題ないかもしれませんが、そうでない場合は、開業前にぜひ地域の輪に入っておくことをお勧めします。
Profile
院長 中坪 弥生
関西医科大学(医学部)を2002年に卒業後、関西医科大学附属病院でキャリアをスタート。その後、大津赤十字病院眼科、関西医科大学附属滝井病院眼科、関西医科大学附属枚方病院眼科、済生会野江病院眼科といった各地の病院で豊富な経験を積まれました。2010年からは関西医科大学付附属滝井病院の眼科助教、2015年には松下記念病院の眼科医長に就任。さらに2018年からはJCHO星ヶ丘医療センター眼科に勤務され、2020年には眼科部長として組織を牽引されました。そして、2024年4月に「なかつぼ眼科」を開院。長きにわたる多岐にわたる経験と高い専門性を、生まれ育った高槻の地で地域医療に還元していらっしゃいます。温かい人柄と確かな技術で、患者様一人ひとりに寄り添う医療の提供を目指す、なかつぼ眼科の院長です。