こころに寄り添い続ける医療を–こころサポートクリニック 平山 貴敏 院長インタビュー
2025.10.29
幼少期の経験が医師への道に--おやなぎアレルギークリニック院長の軌跡
おやなぎアレルギークリニック
院長 小柳 貴人
新潟県長岡市に位置するおやなぎアレルギークリニックは、小児科とアレルギー科を標榜し、地域のアレルギー診療において重要な役割を担っています。院長の小柳貴人先生は、ご自身の幼少期の経験から医師を志し、小児科医として研鑽を積んだ後、特にアレルギー分野のスペシャリストとして独立されました。勤務医時代には、その専門性の高さから患者さんが急増し、「やりたい診療に全力を注ぎたい」という強い思いから開業を決断された経緯を持ちます。 本記事では、小柳先生が抱くアレルギー治療への情熱、開業に至るまでの道のり、そして「アレルギー科クリニック」という新しい医療の形を確立しようとする未来のビジョンについて、詳しくお話を伺いました。先生の患者さんを第一に考える姿勢と、医療経営への洞察は、医療関係者にとっても、またアレルギーに悩む多くの人々にとっても、大変示唆に富む内容です。
—小柳先生が医師を目指されたきっかけをお聞かせください。
私が医師になりたいと思ったのは、幼い頃の経験が大きく影響しています。私は子どもの頃に小児喘息という喘息体質があり、近所の小児科によくかかっていたんです。その時に、「お医者さんってすごいな、自分も将来、誰かを助けることができる人になりたいな」という思いを抱きました。
—小児科、そしてアレルギー科を専門とされた理由は何でしょうか?
元々、小児喘息の経験があり、子どもも好きだったので、小児科を選びました。小児科医として働く中で、自分の興味がアレルギーの分野に非常に強いことに気づきまして。「アレルギーの専門医になろう」と思い、群馬大学でアレルギーの勉強をさせていただき、専門医を取得しました。
—先生の経歴を拝見すると、幼い頃から既に明確な目標を持たれていたのですね。
そうですね。小学校高学年くらいの頃には、すでに「将来は医師になりたい」という気持ちが明確にありました。中学校になる頃には、医師になるために医学部に行くんだなとか、色々と調べたりしていました。
—長岡市でおやなぎアレルギークリニックを開院された経緯についてお聞かせください。
勤務医時代、アレルギー専門外来を立ち上げ、数年続けていました。しかし、患者さんの数が小児科の一部門としてのアレルギー外来では診きれないレベルまで増えてしまったんです。小児科の枠を超えてアレルギー患者さんを診ていくのは難しいと感じ、「開業するか、どこかの病院でアレルギー科として独立するか」の二択に直面しました。
—開業地を長岡市にされたのは、患者さんへの思いがあったからでしょうか?
最終的には「開業しよう」と決断しました。それまでに診ていた数百人もの患者さんをそのまま引き継げるように、慣れ親しんだ長岡市で開業することにしました。開業初日から予約枠いっぱいの患者さんが来てくださり、開業以来、毎日予約枠がフルに埋まっている状況です。
—開業されてから、特に工夫された点やこだわった点があれば教えてください。
当院は小児科とアレルギー科を掲げていますが、特に力を入れているのはアレルギー科で、大人も含めたアレルギー患者さんをたくさん診たいという思いがありました。そのため、クリニックの内装は、小児科によくある飾り付けは一切せず、大人の方もリラックスできるよう、カフェ風のおしゃれな内装にしています。
—クリニック経営において、特に苦労されたエピソードがあれば教えてください。
開業当初の1年間は、本当に大変でしたね。スタッフも私も、「何をどうすればいいのか」がわからない大混乱状態で、とても苦労しました。クリニック経営は、医療だけでなく、経理や人事といった経営の仕事が膨大に発生します。勤務医は医療に集中できますが、開業医は皆、手探りでのスタートになります。
—人材育成やスタッフ教育で意識されていることはありますか?
最終的に、性格の合うスタッフが揃い、今は皆仲良くやってくれています。特に看護師には、アレルギー専門の知識を深めてほしくて、アレルギーの専門資格取得を促し、定期的な勉強会も開いています。スタッフがアレルギーに強い関心を持っている人ばかりなので、勉強会も盛り上がっていますよ。
—業務効率化のために導入されて良かったシステムなどはありますか?
自動精算機は入れて良かったと思います。受付スタッフが現金を扱うと、必ずと言っていいほど金額の過不足などのトラブルが起きるため、受付業務の負担も一人分減ると言っても過言ではないほど、非常に役立っています。また、小児科で間違いが起こりやすい予防接種の管理には、「U+taro」という予防接種管理システムを導入しました。
—開業されて、ご自身の診療スタイルで「これが良かった」と感じることはありますか?
私の一番の強みであるアレルギーにすべての力を注げることが良い点です。やりたい診療が毎日できるという幸せがありますね。自分の好きが仕事になり、やりたい仕事に集中ができるというのは、開業の最大のメリットではないでしょうか。
—今後、クリニックが目指すビジョンや、どういったクリニックになっていきたいかお聞かせください。
当院は今、「アレルギー科」をメインに診療していますが、アレルギーは複数の科にまたがる特殊な分野です。今後は少子化が進み、小児科単独では経営が困難な時代が必ず来ます。だからこそ、大人も含めたアレルギー診療に注力し、「アレルギー科クリニックといえばここ」と言われるようなブランドを確立したい。
—最終的に目指すクリニックの姿について教えてください。
「アレルギー科クリニック」という新しい形を確立し、広めていくことが、私の大きな目標です。アレルギー科単独のクリニックという前例が全くと言ってよいほどなかったため、何をやるべきか探りながらですが、アレルギー科専門のクリニックを確立したいという思いがあります。
Profile
院長 小柳 貴人
おやなぎアレルギークリニック 院長 小柳貴人先生は、新潟県長岡市で、小児科とアレルギー科を専門とするクリニックを開院されました。 幼少期の喘息の経験から医師を志し、帝京大学医学部をご卒業後、新潟大学医学部小児科学教室に入局されました。新潟県内の病院で勤務を重ね、2009年に日本小児科学会認定の小児科専門医を取得されます。その後、群馬大学小児科学教室でアレルギー分野の研究を行い、2013年には日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医を取得されました。2016年には新潟大学大学院で博士号(医学博士)を取得。アレルギー治療のスペシャリストとして、2022年に故郷の新潟県長岡市におやなぎアレルギークリニックを開院されました。 現在は、小児から大人まで、アレルギーでお困りの多くの患者様を診察され、「アレルギー科専門クリニック」としての地位を確立すべく、日々尽力されています。