Interviewインタビュー

諦めていた痛みに光を当てる!福岡ペインケアクリニック院長の挑戦

福岡ペインケアクリニック

院長 坂井 伸彰

長引く痛みや原因不明の痛みに苦しみ、「もう治らないかもしれない」と諦めかけている方は少なくありません。しかし、その痛みに新たな治療法で立ち向かい、多くの患者様のQOL(生活の質)向上に貢献されている医師がいます。それが、福岡市博多区に拠点を構える福岡ペインケアクリニックの坂井 伸彰 院長です。坂井院長が専門とするのは、血管の中から炎症の原因となる血管を減らすことで痛みを緩和する「痛みの血管内治療」という自費診療。この革新的な治療法を九州に広めるべく、循環器内科医としてのキャリアを経て開業された坂井院長に、医師を志したきっかけから、治療にかける想い、そして今後の展望について深くお話を伺いました。

循環器内科医の経験を活かし、痛みに悩む患者様と真摯に向き合う– 福岡ペインケアクリニック 坂井 伸彰 院長インタビュー

医師を目指した原点とカテーテル治療の専門性

坂井院長が医師を志された、原点となるきっかけについてお聞かせください。

父が循環器内科の医師をしていました。幼い頃から、父が救急の患者様を助けるために病院に呼び出されて向かう姿を見て育ち、「すごい仕事なんだな」と漠然と思っていました。小学校の頃に、母親から今の良い生活は父が医師だからと諭されたこともあり、自然な流れで医師の道に進みました。一番は父の背中を追って医師になったという形です。

循環器内科医としてのキャリアの中で、特にどのような治療に注力されていましたか?

主に心臓血管カテーテル治療に従事してきました。ながさきハートクリニック、京都大学病院、小倉記念病院で経験を積み、カテーテルを用いた高度な技術を培いました。

その後、痛みの血管内治療を専門とし、開業を決意されたのはなぜでしょうか?

父のクリニックでカテーテル室の空き枠を有効活用する方法を探している中で、「痛みを減らすカテーテル治療がある」ということを知り、「お前、ちょっと勉強してこい」と言われたのがきっかけです。この治療を九州に広めたいという想いと、治療の習得、そしてこの治療が広まるタイミングが重なり、地元九州での普及を目指して福岡での開業を決意しました。

革新的な治療法と患者様への真摯な向き合い

坂井院長が専門とされる「痛みの血管内治療」とは、具体的にどのような治療なのでしょうか?

血管の中から炎症を起こしている細い血管をターゲットに、カテーテルを用いてアプローチし、その血管を減らすことで痛みを解消する治療です。この治療は10年ほど前に日本人の奥野先生が開発したもので、長引く痛みに非常に効果が高いことが分かっています。

その効果について、患者様の反応はいかがでしょうか?

治療の効果は高く、平均して2~3回の通院で痛みが半分以下になる方がほとんどです。長期間痛みで苦しみ、「治らない」と諦めかけていた方が、治療によって痛みが良くなり、生活の質が向上したと喜んでくださる時が、この治療をやっていて良かったと感じる瞬間です。

痛みに苦しむ患者様と接する上で、診療で特に意識されていることはありますか?

患者様に寄り添うことを最も大切にしています。痛みが治らずに気持ちが落ち込んでいる方が多いので、まずは共感を示しながら話を聞きます。そして、この治療で痛みが治る可能性があることを丁寧に説明し、誠実に接するように心がけています。

診療の質を高めるために導入されている工夫はありますか?

初診の患者様に対しては、1人あたり30分程度の時間をかけて、じっくりとお話を伺っています。また、AIを活用した音声入力システムと要約ソフトを導入しているため、カルテ入力に時間を取られず、患者様と向き合って診療を進めることができています。

開業後の課題と乗り越えるための戦略

開業されてから、特に集患の面で苦労されているとのことですが、どのような点が課題でしょうか?

この痛みの治療は、「痛い時にしか来ない」上に、治療の効果が高いために「すぐにリピートしない」という特徴があります。そのため、既存の患者様が少ない分、広告などを活用して新しい患者様に継続的に当院の存在を知っていただく必要があります。

集患の課題を乗り越えるために、どのような戦略で臨んでいますか?

広告担当者と密に連携を取りながら、費用対効果を見極めて集患施策を試行錯誤しています。また、従来の保険診療のみのやり方では限界があるため、「この疾患ならうちに来た方が良い」というような明確な特徴や差別化を打ち出すことが不可欠だと考えています。

開業医を目指す医師の方々へ、何かメッセージはありますか?

保険診療のみで、従来のやり方で勝負するのは難しい時代になっていると思います。美容や自費診療の分野に挑戦することは、以前は「邪道」と見なされることもありましたが、今後はそうも言っていられないでしょう。患者様の意識も変わりつつあるので、何か一つでも突出した技術や特徴、差別化できる強みを持って開業に臨むべきだと思います。

九州からアジアへ、未来に向けた挑戦

今後のクリニックのビジョンについてお聞かせください。

保険診療が適用になる前の3~4年後くらいまでに、福岡で福岡ペインケアクリニックの名前を広めていきたいです。そして、私一人ではなく、この痛みの血管内治療を九州全域で受けられる体制を広げていきたいです。仲間を増やしたり、協力体制を築いたりして、例えば「鹿児島でこの治療を受けたい」という方がいれば、受けられるようにすることが目標です。

九州を越えて、坂井院長ご自身の夢はありますか?

この革新的な治療を、さらに海外、特に中国本土へ広めていきたいという夢があります。中国は痛みに悩む方も多く、まだ東洋医学だけでは対応できていない現状があるため、大きな可能性があります。

中国本土への普及はどのように進める予定でしょうか?

現在、中国の医療特区である海南島で医療ライセンスを申請中です。この地で治療を始め、実績を積み重ねて前例を作れば、中国本土へもこの治療を広めることができるようになります。世界に先駆けてこの治療を普及させていきたいですね。

Profile

院長 坂井 伸彰

福岡ペインケアクリニック 院長。2017年に鹿児島大学医学部を卒業後、長崎大学、長崎みなとメディカルセンターで初期研修を修了。その後、循環器内科医としてながさきハートクリニック、京都大学病院、小倉記念病院で心臓血管カテーテル治療の経験を積みます。2023年からは、痛みの血管内治療のパイオニアである奥野先生のもと、オクノクリニック(表参道院・銀座院・博多駅前院)に勤務し、この治療法の習得に専念。そして、2024年にながさきハートクリニックで痛みの血管内治療外来を立ち上げ、2025年に地元九州での普及を目指し、福岡ペインケアクリニックを開院されました。循環器内科医として培ったカテーテル技術と、痛みの血管内治療の専門知識を融合させ、患者様一人ひとりに合わせた丁寧な診療を提供されています。

会社情報

医院名

福岡ペインケアクリニック

設立

2025年