Interviewインタビュー

地域医療への貢献と再生医療への挑戦

医療法人幸永会 RPT大阪クリニック

院長 西原 弘道

大阪府心斎橋に位置する医療法人幸永会 RPT大阪クリニックは、長年の臨床経験と確かな技術、そして何よりも患者様とそのご家族への深い思いを胸に、地域医療の最前線で貢献を続けています。特に近年、西原院長は再生医療分野にも力を入れ、医療の新たな可能性を追求されています。 今回は、西原 弘道 院長に、医師を志したきっかけから、クリニック開業に至るまでの道のり、そして未来の医療に対する熱い思いを伺いました。その経験の裏側にある、医療への真摯な姿勢と、医師としての揺るぎない信念に迫ります。

患者様への深い思いと未来へのビジョン–医療法人幸永会 RPT大阪クリニック 西原 弘道 院長インタビュー

医師としての原点と決意

まずは、西原先生が医師を志すことになった、そのきっかけから教えていただけますでしょうか?

もともと医師になるのは、小さい頃からの夢だったんですよ。弟が小さい頃からよく骨折を繰り返していたのですが、その度に病院に行って治療してもらうと、家族みんなが喜ぶ、母親や父親が喜ぶ、そういう顔を見ていたんですね。その頃から私も「絶対にこういう人を助けるような仕事に就きたいな」と強く思い、医師を目指しました。

その後、消化器外科を専門とされ、勤務医という道もあった中で、開業することになったきっかけや経緯について教えていただけますでしょうか?

私の専門は消化器外科です。そして、もともと開業するのが夢だったんですよ。自分の思った医療をしたいと。大学卒業後はずっと外科にいたのですが、当時の大きな病院は、フットワークが重く、物事が簡単に決まりません。自分のやりたいことをやるには、やはり自分で城を持たないとだめだろうと。そう思い、20数年前に、救急のクリニックを開設しました。

日々の診療で、特に意識している点、注意している点があれば教えてください。

これはね、若い時からずっとそうだったのですが、自分のクリニックで「できることと、できないこと」をしっかり見極めるということです。そして、診療していく上で患者さんに不利益を絶対に与えない。自分のところでできないものをいつまでも持っていたら、それは患者さんの不利益に直結します。できるものは「できる」、できないものは「できない」と、はっきりとお伝えし、患者さん本位の診療を心がけています。

医療現場の苦悩と医師としての喜び

開業されてから現在までで、最も「苦労した」エピソードについて、トータル的な視点からお聞かせいただけますか。

やはり、他の病院に患者様を紹介しても受け入れてもらえないことですね。緊急で手術をしないといけないのに受け入れてくれるところがなく、苦労した経験はたくさんあります。また、病院をたらい回しされてします、といった経験もたくさんあります。

「たらい回し」には様々な要因があるかと思いますが、その原因は何だとお考えでしょうか?

これはたくさんあると思いますが、一番は、あまりにも訴訟をビクビクしながら、我々医療提供側がやっているということです。何かあると訴えられては困るから、「できないものは最初からやらない」。その結果、大きな病院も、当直の先生の専門分野以外の疾患は診られない、といったことにつながっている。とにかく、訴訟が関係していることで、積極的に患者を受け入れないというのが、最も大きな問題ではないかと思いますね。これは国民が自分たちで自分の首を絞めているようなものだと考えています。

反対に、現在までで嬉しかったこと、幸せに感じる瞬間があれば教えてください。

私が一番嬉しいのは、やはり患者さんの「ありがとう」という言葉です。当院では入院のベッドを持っていますので、最後を看取ってあげることが可能なんです。一番嬉しいのは、最後の最後に患者さんが「先生、ありがとう」と言って亡くなっていく。そして、その患者さんのご家族が「先生、本当にありがとうございました」と言って帰っていかれる。そういう姿を見た時は、本当に「医師になって良かったな」と思う瞬間ですね。

経営哲学と未来の医療への提言

貴院の経営理念と、2〜3年後、どのようなクリニックになっていたいか、具体的なビジョンがあれば教えてください。

経営理念は、当院に関わる全ての人々が幸せになることです。目指す姿は、みんなから信頼されるクリニック。「あそこに行けば何とかなる」と。そこで直してくれなくても、今日本にいる一番良い先生の情報を教えてくれるだろうと。とにかく「困ったらあそこへ行け」と言われるようなクリニックになりたいです。

今後の日本の医療がどのように変わるか、という点についても見通しをお聞かせいただけますか?

今のままでは、国民皆保険は立ち行かなくなります。医療業界がどう変わるかを読んで開業しないと、苦労すると思いますね。例えば、大きな病院が外来をやってしまうと、町のクリニックが困ってしまいます。大きな病院は外来をしないというルールを作り、町の病院が全て診る。そして、町のクリニックが簡単に大きな病院に患者さんをコンサルテーション(紹介)できるシステムを作らなければ、皆が生き残れないと思います。

先生にとっての「現在の夢」や、これから注力していく分野があればお聞かせください。

最近、再生医療、幹細胞を用いた再生医療をやり始めていますが、これがもう少し世間に広まって、みんながもっと簡単に再生医療の恩恵を受けられるようになればいいなと思っています。ですから、私はこれから先、そちらの方向を主軸に進めていこうと考えています。

開業医としての覚悟と後進へのメッセージ

開業医として成功するためには、何が必要だとお考えですか?

成功するための秘訣は、まずは信頼できるコンサルティング会社などのパートナーを見つけて、その助言を得てやることです。そして、今後の医療業界がどう変わるかという「未来」を読んで開業しないと、苦労すると思います。昔のように、開業すればみんなが成功する時代はもう終わったと感じています。

これから開業を目指す先生方へ、医師のキャリアについてのメッセージをお願いいたします。

医師の人生を「すごろく」に例えると、上がりは一つではないんですよ。上がりは二つあります。一つは大学の教授。もう一つは一国一城の主である開業医です。教授になれるのはごくわずか。せっかく身につけた技術と知識は、死ぬまで使えるものなのです。

その中で、若手医師に伝えたい「覚悟」とは何でしょうか?

この技術と知識を死ぬまで使ってこそ、医療資源として後世に残るものなのです。そのためには、一国一城の主である開業医という道がある。大きくするも小さくするも、それは身の丈でやればいい。勇気を持って踏み出すことです。それが、国が税金をかけて医師にしてくれた私たちにとっての本筋ではないかと考えています。

Profile

院長 西原 弘道

1992年に兵庫医科大学医学部を卒業後、医師としての道を歩み始めました。経歴としては、1992年〜94年に兵庫医科大学病院、1994年〜97年には川西協立病院、1997年〜98年に再び兵庫医科大学病院にて研鑽を積まれました。その後、1998年〜2004年まで医療法人朗源会 大隈病院に勤務。そして2004年に西原クリニック、2006年に第二西原クリニックを開設。長きにわたり消化器外科医として、地域医療に貢献されてきた経験をお持ちです。その確かな技術と、患者様の「ありがとう」という言葉を何よりも大切にする姿勢は、多くの人々に信頼されています。現在は、医療法人幸永会 RPT大阪クリニックにて、従来の医療に加え、幹細胞を用いた再生医療にも情熱を注いでいらっしゃいます。

会社情報

医院名

医療法人幸永会 RPT大阪クリニック

設立

2024年