地域に根差した「医療完結型」クリニックへの挑戦–田中整形外科まりこ眼科 田中 稔一郎インタビュー
2026.03.04
「地域に根ざして20年」白根 和明 理事長が見据える次世代の医療
医療法人社団白根会 白根歯科クリニック
理事長 白根 和明
石川県金沢市に位置する「白根歯科クリニック」は、2026年に開院20周年という大きな節目を迎えます。白根和明理事長は、単に歯を治療するだけでなく、患者様が一生涯を元気に過ごすための「パートナー」でありたいと考えています。総合病院での歯科口腔外科医長としての経験を活かし、お口のトラブルと全身疾患の関わりを重視した「医科歯科連携」にいち早く着手してきました。今回は白根理事長に、その原点から未来のビジョンまでを詳しく伺いました。
—さっそくですが、白根先生が歯科医師を志したきっかけについて教えてください。
私が幼い頃、近所に当時としては非常に珍しい「予防歯科」に力を入れている歯医者がありました。そこでは定期的に通うのが当たり前で、先生やスタッフさんも非常に優しく、「歯医者は怖い」というイメージが全くなかったことがきっかけの一つです。ちなみに、小学校の卒業アルバムには「将来の夢は歯医者になること」と書いていました。
—金沢の地で開院された経緯は何だったのでしょうか?
生まれは新潟市なのですが、勤務先を探していた際に、たまたまご縁があったのが金沢市の病院でした。全く知らない土地でしたがそこから独立して、2006年に現在のクリニックを開院しました。2026年の4月でちょうど20周年を迎えることになります。
—診療にあたって、先生が特に大切にされていることは何ですか?
患者様のお話をしっかりと聴くことです。お困りごとを深く伺い、そこから最善の提案ができるよう意識しています。また、スタッフ教育にも力を入れており、リッツ・カールトンの取り組みを参考にした「アワクレード(理念カード)」を導入し毎朝の朝礼で理念を共有しています。
—20周年を迎え、新しく取り組まれていることはありますか?
今、特に力を入れているのが「医科歯科連携」です。歯科でのパノラマレントゲン写真から骨粗鬆症のリスクを判定できるシステムを導入しました。実際にリスクが見つかった患者様を整形外科へ紹介したところ、重度の骨粗鬆症であることが判明し、大変喜んでいただけた事例もあります。
—糖尿病についても連携されていると伺いました。
はい。歯周病と糖尿病は密接に関係しているため、内科の先生とも連携しています。歯科としては珍しくヘモグロビンA1cの検査機器も備えており、糖尿病療養指導士の資格を持つスタッフも4名在籍しています。お口の治療だけでなく、全身の健康管理をお手伝いできる体制を整えています。
—「口臭外来」についても、かなり前から取り組まれていますね。
口臭はなかなか人には相談しにくく広まりにくい分野ですが、多くの方が悩まれています。私がこの道を選んだのも、未知の分野で困っている患者様を助けたいという思いがあったからです。現在では、遠方からも多くの方にご相談いただけるようになりました。
—どのような患者様層が多いのでしょうか?
20年続けていますので、開院当初から通ってくださり高齢になられた方もいれば、矯正目的で来院される若い方も増えています。石川県内だけでなく福井や富山など北陸三県からお越しいただくこともあり、非常にありがたいですね。
—スタッフの方々の定着率が良いのも特徴的ですね。
おかげさまで現在は求人を出さずともスタッフが充足しており、非常に助かっています。私の考えを深く汲み取ってくれる主任歯科衛生士や、信頼できるスタッフたちが「右腕」として、後輩の教育や日々の業務に精一杯取り組んでくれています。また、歯科医院は女性が多い職場です。 そのため結婚や出産といったライフステージの変化に寄り添い、誰もが安心して長く働き続けられる環境づくりを大切にしています。
—患者様が笑顔で帰られる瞬間が、やはり一番の喜びですか?
もちろんそうです。治療が終わって患者様が笑顔で「ありがとう」と言ってくださるのが、何よりのやりがいです。中には、甘いものを差し入れしてくださる方もいて(笑)、「これを食べるから虫歯になるんだよ」なんて冗談を言い合えるような温かい関係性を築けていることが幸せですね。
—3年後、5年後のビジョンをどのようにお考えですか?
今年から「新しいフェーズ」に入りたいと考えています。具体的には、現在進めている医科歯科連携をさらに強固にし、地域に根付かせていくことです。今はその種を蒔いている段階ですが、数年後にはそれがしっかりとした形になっていることを目指しています。
—ご家族も医療の道に進まれているそうですね。
はい。長女は歯学部に、長男は医学部に在籍しています。彼らが将来戻ってきたときには、歯科だけでなく内科や整形外科など健康の悩みをトータルで相談できる「メディカルセンター」のような存在になりたいというのが私の大きな夢です。
—最後に、これから開業を目指す先生方へメッセージをお願いします。
目標があるなら、ぜひ開業に挑戦してほしいです。ただし、最初からインプラントや矯正などの自費診療ばかりを追うのではなく、まずは歯科医師としての基礎技術をしっかり磨き、患者様との接し方を学ぶことが大切です。その上で自分の得意分野や特徴を尖らせていけば、道は拓けるはずです。
Profile
理事長 白根 和明
医療法人社団白根会 白根歯科クリニック 理事長。岩手医科大学歯学部を卒業後、新潟大学大学院医歯学総合研究科にて博士号を取得。その後、やわたメディカルセンター歯科口腔外科医長を経て、石川県金沢市に「白根歯科クリニック」を開院。2026年4月で開院20周年を迎える。患者様との対話を重視し、口臭外来や骨粗鬆症・糖尿病との医科歯科連携など、全身の健康を視野に入れた先進的な歯科医療を推進している。