Interviewインタビュー

「治す」ことを信念に。地域に愛されるクリニックを目指す

医療法人エステル 桑園オリーブ皮膚科クリニック

院長 米田 明弘

今回お話を伺ったのは、札幌市中央区の医療法人エステル 桑園オリーブ皮膚科クリニック 院長の米田 明弘先生です。大学病院での長年のキャリアと、海外での研究経験を活かし、2014年に開院されました。その診療は、保険診療から美容まで幅広くカバーし、「患者さんのために何ができるか」を常に追求されています。 クリニックでは、単に病気を治すだけでなく、患者さんの悩みやニーズに真摯に向き合い、高い医療技術と効率的な診療を両立しています。今回は、米田先生が医師を志したきっかけから、クリニック経営に対する熱い想い、そして今後の展望について深く掘り下げていきます。先生の「患者さんを治したい」という強い信念の根底にあるものとは何でしょうか。ぜひ最後までご覧ください。

地域に根差し、高水準の医療で選ばれるクリニックへ –桑園オリーブ皮膚科クリニック 院長 米田 明弘 先生インタビュー

医師を志したきっかけと皮膚科医としての転機

まずは、米田先生が医師を志されたきっかけについてお聞かせいただけますか?

そうですね、もうずいぶん昔のことですが、私の家系には誰も医師がいませんでした。実は、私の学生時代は受験戦争が最も激しかった時代で、当時は偏差値が高いと医学部を目指す人が多かったんです。私も「医師になりたい」というよりは、高いレベルの学びの場を求めて、自然と医学部へと進みました。 ただ、入学当初は漠然とですが、心臓外科医などのダイナミックな外科手術に憧れを抱いていましたね。白衣のイメージとはかけ離れた、まるで職人のような華やかな手術に魅力を感じていたんです。

大学院で長く研究をされて、皮膚科の道に進まれたのはなぜでしょうか?

当初は皮膚科に入るつもりは全くなかったのですが、当時の皮膚科の教授に目をかけていただいたのが大きな転機でした。教授に「一緒にやろう」と誘っていただき、そのお人柄に惹かれて皮膚科に進むことを決めました。ある意味、教授に“さらわれた”ような形です(笑)。 大学病院では、当初は皮膚がんを専門に治療を行っていました。そのまま大学に残って教授を目指そうと、15年以上にわたって研究と臨床に尽力していたのですが、ある時期に目標を見失い、大学を辞めることを決断しました。開業は、「大学を辞める」という決断が先にあって、その後の選択肢として選んだ道でしたね。

開業される際、「これをやりたい」という明確な目標はまだなかったのでしょうか?

そうですね。最初から華やかなスタートというよりは、自分の性格的に「やるなら全力で取り組みたい」という思いが強かったです。どうせ挑戦するなら札幌で一番のクリニックを目指そう、と心を決めました。研究や教育の世界から一歩踏み出して、地域に根ざした新しいフィールドに挑む感覚でした。

「治す」ことを最優先に。クリニック経営における理念

開業されてから、クリニック経営で最も大切にされている理念やポリシーは何でしょうか?

当クリニックのスローガンは「地域を愛し、地域に愛されるクリニックを」です。これを実現するために、私は「患者さんのために何ができるか」を常に考えています。 結論から言うと、クリニックは「高い水準の医療技術を提供し、患者さんの病気を治す」ことが一番の目的です。例えば、ホスピタリティはもちろん大事ですが、優しくても治せない医師は、私は優しくないと思っています。本当に患者さんのことを思うなら、治すことに全力を尽くすべきです。腕は良いけど冷たい、というのも良くありませんが、まずは技術を究めることが大前提です。 ラーメン屋に例えるなら、笑顔で接客しても美味しくないラーメンは食べたくないですよね。医療もそれと同じで、「治す」という結果が伴ってこそ、患者さんの満足につながると考えています。

患者さんを「治す」ことを大前提として、その他に力を入れていることはありますか?

はい、診療においては「効率化」を徹底しています。患者さんを待たせるのはすごく嫌なので、予約システムを導入したり、会計も早期から自動精算機を導入するなど、DX化を積極的に進めてきました。 また、診療範囲についても、大学時代に専門としていた皮膚がんは、大きな病院でないと対応が難しいため、今は行っていません。その代わりに、保険診療(アトピーやニキビなど)から自費診療(美容)まで、かなり幅広く対応できることを強みとしています。ただし、当院は単なる美容クリニックではないことも重要です。保険診療で治せないお悩みや、保険の範囲外の治療を希望される方に対して、自費診療でさらにカバーするというスタンスで取り組んでいます。

開業されてから今日まで、特に苦労されたエピソードなどはありますか?

正直なところ、苦労のほとんどは「労務問題」でしたね。患者さんとのトラブルや、経営的な資金の悩みはほとんどなく、スタッフの定着や組織運営が長年の課題でした。 開業当初は私自身に余裕がなく、スタッフへの配慮が十分でなかったり、組織としての文化が確立されていなかったりと、私自身も組織も未熟だったと思います。時間をかけて、私のビジョンを共有できるスタッフが残り、組織として成熟することで、ようやく運営がスムーズになりました。 また、当院は10年以上右肩上がりで収益が伸びているため、その利益を給与や福利厚生として還元してきました。特に、現在スタッフは月に一度、クリニックの好きな美容施術を無料で受けられるという福利厚生を導入しています。給与水準も地域のクリニックの中では高めだと思います。スタッフが働きやすい環境を整備したことも、定着率向上に繋がった大きな要因だと考えています。

クリニックの将来と後進へのメッセージ

今後のクリニックの展望についてお聞かせください。

現在、当クリニックは私を含め2名の医師体制で診療を行っていますが、来年の春からはもう1名、常勤の女医が入職することが決まっています。皮膚科で常勤3名体制というのはかなり珍しいと思います。 医師が増えることで、医療技術のさらなる向上はもちろん、今まで休診していた平日の午後にも診療できるようになります。今後も、質の高い医療を効率的に、より多くの患者さんに提供できる体制を整え、地域で最も選ばれるクリニックを目指していきたいと考えています。

最後に、これから開業を目指す、あるいは皮膚科医としてのキャリアを積む若い医師の方々へメッセージをお願いします。

私自身、大学病院、海外での研究、そして開業と、様々なステージを経験させていただきました。今後は、それらの経験を活かして、次世代を担う後進の育成に力を入れていきたいと思っています。 若い医師には、「基礎」や「土台作り」を大切にしてほしいですね。今の時代は情報過多で、すぐに目移りしたり、短期間で結果が出ないと諦めてしまったりする傾向があるように感じます。しかし、すぐに結果が出ないことの中にこそ、本質があります。医療の分野では、特に10年程度は一つの場所で腰を据えて努力しないと見えてこない世界があるはずです。地道な努力を続けることで、患者さんを治すことのできる高い技術と揺るぎない自信を身につけてほしいと願っています。

Profile

院長 米田 明弘

米田 明弘 先生は、医療法人エステル 桑園オリーブ皮膚科クリニック 院長を務めていらっしゃいます。1990年に旭川東高等学校を卒業後、1997年に札幌医科大学医学部をご卒業。その後、札幌医科大学皮膚科学講座に入局され、大学病院や関連病院で皮膚科医としてのキャリアをスタートされました。2002年に札幌医科大学大学院を卒業し、医学博士の学位を取得されています。 2003年からは米国Wistar研究所での研究に従事され、その成果は権威あるNature誌に研究論文として掲載されました。帰国後は、札幌医科大学にて皮膚科教室長(2007年)、外来医長(2007年)、病棟医長(2010年)、講師(2011年)を歴任され、2011年には世界皮膚科学会スカラーシップアウォードを受賞するなど、研究と臨床の両面で実績を積まれました。そして、2014年、地域医療への貢献を目指し、桑園オリーブ皮膚科クリニックを開院されました。

会社情報

医院名

医療法人エステル 桑園オリーブ皮膚科クリニック

設立

2014年