女性の一生に寄り添う、一番身近な“かかりつけ医”を目指して・神谷町WGレディースクリニック尾西芳子院長インタビュー
2026.05.15
「通いやすく、相談しやすい」理想の医療
ハレノテラスすこやか内科クリニック
院長 渡邉 健
さいたま市見沼区のショッピングセンター内に構える「ハレノテラスすこやか内科クリニック」。院長の渡邉健先生は、東京医科歯科大学血液内科での助教や病棟医長としてのキャリアを経て2019年に開業しました。血液疾患という高度な専門性が求められる分野において、大病院と地域の架け橋となるべく日々尽力されています。「患者様のためにならないことはしない」という誠実な診療姿勢と、スタッフの働きやすさを両立させる独自の組織づくりは、多くの患者様や関係者から厚い信頼を寄せられています。今回は、渡邉先生が歩んできた道のりと医療に対する揺るぎない信念などお話を伺いました。
—さっそくですが、渡邉先生が医師を志したきっかけについて教えてください。
もともとは国連職員になりたいという夢があり、世界中の人の役に立つ仕事がしたいという思いが根底にありました。そして高校生の頃、その道を進むには何か専門的な資格が必要だと考え、直接的に人を助けられる「医師」という職業を選びました。
—なぜ大学病院を離れ、この場所で開業を決意されたのでしょうか?
大学病院の外来では月に250人ほどの患者様を診察していましたが、3時間待ちが当たり前という状況でした。血液疾患は治療の進歩により長く付き合う病気になっていますが、薬をもらうためだけに貴重な時間を費やす「病気中心の生活」を送る患者様を間近に見てきました。もっと身近なクリニックで専門医が診ることができれば患者様の負担を減らせるのではないかと考え、その受け皿になろうと決めたのです。
—開業地としてこのエリアを選んだ理由は何ですか?
血液内科のクリニックは非常に少なく、大病院からの逆紹介先がほとんどないのが実情でした。この地域で専門的な血液診療を提供することで、患者様が大きな病院まで行かなくても安心して通える環境を作りたいと考えました。
—医師として大切にしていることや、信念について教えてください。
「患者様のためにならないことはしない」ということに尽きます。経営面での利益を優先するのではなく、あくまで患者様のメリットになる選択を一貫して行うことを診療の軸に据えています。
—日々の診療において、特に意識していることは何ですか?
偏見を持たずに話を聞くことです。「いつもの症状だろう」という思い込みが失敗の始まりだと思っています。常に真っさらな気持ちで患者様に向き合い、大事な兆候を見落とさないように客観的な視点を保つことを意識しています。
—スタッフの方々の定着率が良いと伺いましたが、その秘訣は何でしょうか?
スタッフも家庭に戻ればお母さんであり、一人の人間です。無理な残業をさせず、余裕を持って帰宅できるような体制を整えています。また、スタッフを支えるご家族にも感謝の気持ちを込め、お中元やお歳暮を贈るようにしています。
—クリニック内の雰囲気づくりで心がけていることはありますか?
スタッフが「患者様のために働いている」という実感を持てるようにすることです。私の顔色を伺うのではなく、患者様にとって何がベストかを考えて行動できる環境が結果として良いチームワークを生んでいるのだと思います。
—開業当初に直面した一番の苦労は何でしたか?
最初の半年間、患者様がほとんど来なかったことですね。どれほど良い診療を掲げていても、認知されなければ力になれません。SEO対策や看板なども試しましたが、医療においてはやはり「生の口コミ」の力が一番強いということを学びました。
—そこからどのようにして患者様が増えていったのでしょうか?
愚直に良い診療を続けていく中で、ご家族やご友人を連れてきてくださる方が増えました。また、地域の先生方が当院の専門性を信頼して紹介してくださるようになったことも大きな転換点でした。
—これまでに最もやりがいを感じたエピソードを教えてください。
他院で診断がつかず困っていた患者様に対して、当院で原因を特定し、適切な治療に繋げられた時です。その後、体調が良くなったというお手紙をいただいた時は、専門医として開業した意味があったと強く感じました。
—患者様との関わりの中で、大切にしている瞬間はありますか?
亡くなられた患者様のご家族が、わざわざご挨拶に来てくださることがあります。治療の終わりがどのような形であっても、私たちの診療がご家族の心にも残っていたと感じる瞬間は非常に重みがあります。
—今後、クリニックとして注力していきたいことは何ですか?
病院とクリニックがより密に連携する「病診連携」の強化です。病院で診るべき疾患と、クリニックで支えるべき状態を明確に分け、患者様がより合理的に、高い質の医療を受けられる仕組みをもっと広めていきたいです。
—専門医のネットワークについても構想があるそうですね。
「オンライン・コンサルテーション」のシステムを確立したいと考えています。地方や医師不足の地域でも、血液検査の異常データが出た際に、オンラインで専門医に相談できる仕組みがあれば救われる患者様がもっと増えるはずです。
—最後に、これから開業を目指す先生方へ、アドバイスやメッセージをお願いします。
今の時代、単に「儲けたい」という気持ちだけでの開業は難しいと思います。地域の人々に30年、40年と貢献し続けるという強い覚悟が必要です。一方で、医師免許があれば自分の理想の医療を求めて方向転換できる自由もあります。ぜひ理想を追求してほしいです。
Profile
院長 渡邉 健
1997年静岡県立清水東高等学校、2003年鹿児島大学医学部を卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院の内科研修医を経て、横浜市立みなと赤十字病院、横須賀共済病院などで血液内科医としての研鑽を積む。2013年には東京医科歯科大学医学部附属病院特任助教、2015年には同助教に就任し、最前線の医療と研究に従事。2019年、より患者様に近い距離で専門医療を提供するため「ハレノテラスすこやか内科クリニック」を開業。日本血液学会認定の血液専門医として、地域医療の質を底上げすることを使命としている。