Interviewインタビュー

患者様の足と心を救い、沖縄の医療に貢献する。貴クリニック 院長・東盛貴光の情熱と未来への挑戦

貴クリニック

院長 東盛 貴光

沖縄県西原町にある「貴クリニック」の院長・東盛貴光先生は、形成外科・創傷ケア・美容医療のスペシャリストとして、地域密着型の診療を行っています。大学病院や総合病院での豊富な臨床経験を経て開院された貴クリニックでは、一人ひとりの患者様に最適な医療を提供するだけでなく、スタッフが働きやすい職場環境づくりにも情熱を注いでいます。本インタビューでは、東盛院長が医師を志したきっかけから、形成外科への想い、独自の経営理念、そして未来へのビジョンについて詳しくお話を伺いました。

「学び続け、技術を磨き続ける」貴クリニック 院長・東盛貴光先生が目指す、患者様とスタッフに寄り添う医療のカタチ

医師としての原点と形成外科との出会い

—まずは、東盛先生が医師を志したきっかけについて教えてください。

実は最初から「絶対医者になりたい」という強い動機があったわけではないんです。高校時代は数学が好きで、数学者を目指していました。ただ、進学した沖縄尚学高校のクラスのレベルが高く、周りに医学部を目指す仲間が多かったんですね。その環境に大きな影響を受けて「自分も医学部を目指してみよう」と決意しました。一学年上の先輩や同級生にもドクターが多く、環境の恩恵は大きかったと感じています。

—そこから形成外科の道へ進まれた背景には、どんな出来事があったのでしょうか?

琉球大学医学部の4年生の時、耳鼻咽喉科の講義の中で形成外科の先生が年に1〜2回講義をされていたんです。その講義で紹介された「ティッシュ・エクスパンダー(組織拡張器)」を用いた手術に大きな衝撃を受けました。火傷で頭皮の一部を失ったお子さんに対し、髪のある部分の皮膚の下に風船を入れて水で膨らませ、伸びた皮膚で傷跡を覆うという治療でした。「こんな手術ができるのか!」と感動し、形成外科医を目指すことを決めました。

—当時、沖縄で形成外科を学ぶ環境はいかがでしたか?

当時、沖縄には形成外科の専門医を育てる施設がまだなかったんです。そのため「これは一度沖縄を出るしかない」と腹をくくり、上京して東京女子医大病院の形成外科学教室に入局することにしました。

「手外科」から「足の創傷ケア」へ

—東京や沖縄で経験を重ねる中で、どのような分野を中心に治療を行ってきたのでしょうか?

東京女子医大病院では手外科や熱傷センターの責任者を務め、特に「手外科(ハンドサージェリー)」の手術を中心に研鑽を積みました。その後沖縄に戻ってきたのですが、沖縄は糖尿病の患者様が多く、その合併症で足に重い傷を抱える方が非常に多い現実に直面したんです。

—足の傷の治療は、手外科とはまた違ったアプローチが必要になるのでしょうか?

そうですね。足の傷は皮膚を縫う・移植する技術だけでなく、血糖値のコントロール、靴や装具の選定、ご家族のサポート、生活環境の改善など、総合的な「トータルケア」が必要です。医師一人では解決できないため、看護師やリハビリスタッフ、他科の医師とチームで連携する重要性を痛感しました。大分の先進施設などでノウハウを学び、2019年にハートライフ病院で「創傷ケアセンター」を開設しました。

—創傷ケアにおいて、東盛先生が特に重要だと感じているポイントは何ですか?

ただ傷を治して終わりにしないことです。糖尿病性足病変などの慢性期疾患は、再発を防ぐための「フットケア」や「靴・装具の管理」を日常的に継続することが何より大切になります。

貴クリニック開院と独自の経営スタイル

—2022年に「貴クリニック」を開院された理由について教えてください。

総合病院などの急性期病院では、状態が落ち着いた患者様を長く診続けることが難しく、地域のかかりつけ医へ引き継ぐ必要があります。しかし当時、足の慢性的な傷やフットケアを専門的に診てくれる開業医の先生が県内にはほとんどいなかったんです。「それなら自分が受け皿となるクリニックを作ろう」と考え、西原町で開院しました。

—クリニックでは保険診療だけでなく、美容分野も診療に取り入れられているのですね。

はい。当院では保険診療の形成外科・創傷ケア(フットケア)に加え、自由診療の美容皮膚科・美容外科も行っています。クリニックに二面性を持たせることで経営基盤を安定させ、手厚いケアが必要な足の慢性期患者様も安心して診続けられる体制を整えています。

—クリニックの運営やスタッフの働き方において、特に誇れるポイントは何でしょうか?

一番は「残業が実質ゼロ」であることです。当院のスタッフは家庭や子育てと両立している女性が多く、17時半には私一人しか院内に残っていないほど、全員が時間通りに退勤しています。残業がないことで生活の予定が立てやすく、業務時間中に集中して働けるため、結果として患者様への医療の質も高まると考えています。

医療理念と未来へのビジョン

—ホームページに掲げられている経営理念の中で、東盛先生が最も大切にされている言葉は何ですか?

「形成外科・美容外科のスペシャリストとして学び続け、技術を磨き続けます」という一文です。医療技術や知識は日々進歩しています。学びをやめたら医師として終わりだと思っていますので、今でも定期的に専門書を読み、技術のアップデートを怠りません。ただし、流行りの治療に安易に飛びつくのではなく、本当に効果と安全性があるかを見極める目を大切にしています。

—今後のクリニックの展望や、目指すビジョンについて教えてください。

沖縄本島北部や離島など、専門的な形成外科やフットケアを受けられる医療機関が不足している地域へ医療を届けていきたいと考えています。そのために、将来的に分院展開や地域連携を進めていきたいですね。

—最後に、これから医師を目指す方や若手医師へのメッセージをお願いします。

指導医や人間関係だけで進路を選ばないでほしいということです。人はいつか異動や退職をします。だからこそ、自分自身が本当に生涯をかけて情熱を注げる「分野」を見つけ、色々な病院を見学して視野を広げてほしいですね。自分自身が「好きだ」と思える診療科に出会えれば、ずっと学び続けることができますから。

Profile

院長 東盛 貴光

1993年沖縄尚学高校卒業、2000年琉球大学医学部卒業。同年、東京女子医大病院形成外科学教室に入局し、鹿児島市立病院や国立病院機構災害医療センターなどで研鑽を積む。東京女子医大病院形成外科助教・熱傷センター責任者や手外科診療責任者を歴任。2014年より社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院形成外科部長を務め、2019年に同院創傷ケアセンターを開設。2022年、沖縄県西原町に「貴クリニック」を開院。地域医療および創傷ケアの発展に尽力している。

会社情報

医院名

貴クリニック

設立

2022年