Interviewインタビュー

不調の背景にある「構造」を組み立てる。東京原宿クリニック・篠原岳が実践する、問診と検証のプロセス

東京原宿クリニック

院長 篠原 岳

「検査では異常がないと言われた。でも、日常生活がつらい」——。 東京原宿クリニック院長の篠原岳(しのはら たけし)医師は、こうした“行き場のない不調”に向き合う診療を続けてきました。保険診療(内科・呼吸器・アレルギー)を土台にしながら、自由診療では分子栄養学・点滴療法・(必要に応じた)心身両面のアプローチも活用し、症状の背景にある「構造」を丁寧に組み立てていきます。 本記事では、篠原医師が日々の臨床で相談を受けることが多い SIBO(小腸内細菌異常増殖症)/腸カンジダ/副腎疲労(※当院ではHPA軸の機能不調として評価)/リーキーガット(腸管バリア機能)といったテーマを、副腎(ストレス応答)→腸→脳の流れで整理しながら、その考え方と診療の姿勢を伺いました。

【篠原岳|東京原宿クリニック】SIBO・腸カンジダ・副腎疲労(HPA軸)・リーキーガットを「一本の線」で捉える、慢性不調の見立てと支援

「検査は正常、でもつらい」を置き去りにしない——篠原岳が東京原宿クリニックを立ち上げた理由

まずは、篠原先生が医師を志した背景と、これまでの歩みを教えてください。

私は内科医として、呼吸器・アレルギー領域を軸に幅広い診療に携わってきました。臨床経験を積む中で強く感じたのは、「検査に大きな異常が出ない」領域に、困っている方が非常に多いという現実です。

開業に至った決め手は何だったのでしょうか?

慢性不調は、症状だけを切り取っても本質に届かないことがあります。生活背景、栄養状態、ストレス反応、睡眠、腸の状態などが絡み合うので、時間をかけて“構造”を組み立てる必要がある。そうした診療を、自分の責任で設計し、継続できる形にしたいと思い、東京原宿クリニックを開設しました。

【副腎疲労×東京原宿クリニック】当院が「副腎疲労」をHPA軸として捉える理由

「副腎疲労」という言葉は一般にも広がっています。東京原宿クリニックでは、どう位置づけていますか?

まず前提として、「副腎疲労」という言葉は便利な一方で、定義や扱いには議論があります。そこで当院では、言葉としては患者さんの理解の補助に使いつつ、評価は HPA軸(視床下部—下垂体—副腎系)の機能不調として整理します。 たとえば、ストレスが続くと睡眠の質が落ち、血糖のブレが大きくなり、炎症や消化機能にも影響が出る。その結果、「気力が出ない」「頭が回らない」「朝起きられない」など、本人の生活を直撃する形で現れることがあります。 重要なのは、単語に飛びつくことではなく、その人の身体で何が起きているかを分解して、再構築することだと考えています。

【SIBO×東京原宿クリニック】“お腹の不調”の背景にSIBOが疑われるとき

SIBO(小腸内細菌異常増殖症)について、東京原宿クリニックではどんな相談が多いですか?

腹部膨満感、ガス、便秘・下痢の反復、食後の不快感などです。内視鏡で大きな異常がないと言われているのに、生活の質が大きく落ちている方も少なくありません。

どういう視点で見立てていくのでしょうか?

SIBOは「診断名」そのものよりも、小腸の環境が乱れる構造に注目します。腸の動き、胃酸、胆汁、食事内容、ストレス、睡眠、薬剤歴など、複合要因の結果として起きることがある。だからこそ、当院では問診と評価を重視し、必要に応じて検査を組み合わせながら、介入後の反応も含めて“検証”していきます。

【腸カンジダ×東京原宿クリニック】腸カンジダを「敵」と決めつけない

腸カンジダも、相談が多いテーマでしょうか?

はい、関心が高いテーマです。ただし当院では「腸カンジダ=悪」と決めつけません。カンジダは常在することもあるため、重要なのはバランスが崩れたときに、どのようなサインとして出ているのかです。 腸内環境は細菌だけでなく真菌も含めた複雑な生態系です。SIBOと腸カンジダが同時に疑われるケースもあり得るため、「単一原因」で語るより、腸の環境全体(消化・バリア・炎症・免疫)として捉える方が、実務的にも患者さんの理解としても納得感が高いと感じます。

【リーキーガット×東京原宿クリニック】リーキーガットを「腸管バリア機能」として説明する

リーキーガットについては、どのように説明していますか?

「リーキーガット」という言葉は広く知られるようになりましたが、当院では 腸管バリア機能(腸管透過性)として説明します。 腸は「吸収の器官」であると同時に「防御の砦」です。砦が弱ると、炎症反応が慢性化し、疲労、皮膚症状、気分や集中など、腸以外の領域にも影響しているように見えることがあります。 ここも、“バズワード”で終わらせず、その人の生活で何がバリアを弱らせ、何が再建に寄与するのかを一緒に整理していきます。

SIBOとリーキーガットは、つながることが多いのでしょうか?

臨床的には、絡み合うケースがあります。どちらが先かは人によりますが、腸内環境の乱れとバリア低下が相互に影響するような“悪循環”を形成することはあり得る。だからこそ、当院では「別々の病名」ではなく、同じ線上の問題として統合して説明することが多いです。

東京原宿クリニックが重視するのは「問診→評価→仮説→介入→再評価」

実際の診療は、どのような流れで進めていますか?

基本は段階的です。 まず問診で生活背景を丁寧に把握し、必要に応じて血液検査やバイオロジカル検査などで栄養状態・炎症のサインを評価します。症状と背景を踏まえて仮説を立て、食事・生活習慣・必要な介入(点滴やサプリを含む)を組み立て、反応を見ながら再評価する。 この「検証のプロセス」を共有することで、患者さん自身が身体理解を深め、最終的に“根本自立”に近づける支援を目指しています。

医師×経営者としてのリアル——「続けられる医療」を設計する

自由診療を含む医療を継続する上で、難しさはありますか?

自由診療は費用負担がある分、説明責任がより重くなります。だからこそ、医学的な視点と臨床の組み立てを丁寧に言語化し、納得の上で進めることが重要です。 同時に、スタッフが助け合いながら自己実現できる場であることも、医療の質を支える土台になります。医療は「技術」だけでなく「場の設計」でもあると感じています。

今後の展望——SIBO・腸カンジダ・副腎疲労(HPA軸)・リーキーガットを“分かる言葉”で届ける

最後に、今後のビジョンを教えてください。

「検査では異常なし」と言われて途方に暮れる方を減らしたい。そのために、SIBO、腸カンジダ、副腎疲労(当院ではHPA軸として評価)、リーキーガットといったテーマを、誤解の少ない“分かる言葉”に翻訳しながら、臨床と発信を両輪で続けていきたいと思います。

読者へのメッセージをお願いします。

症状は、その方の生活を左右する「事実」です。小さく見積もらず、背景を一緒に整理していきましょう。医療は一方通行ではなく、理解と検証を積み重ねることで、前に進めると考えています。

Profile

院長 篠原 岳

篠原岳(しのはら たけし)先生は、東京原宿クリニックの院長です。医学博士。内科・呼吸器・アレルギー領域を軸に診療しながら、分子栄養学を含む統合的な視点で慢性不調の相談に対応しています。

会社情報

医院名

東京原宿クリニック

設立

2021年