「人に感謝されることが、やりがいになる」──横浜駅西口歯科・大橋豪院長が語る、信念ある診療と組織づくり
2025.07.15
手術からリハビリまで一貫対応、羽賀先生が描く地域医療の未来
医療法人KSOC 四日市膝肩スポーツの整形外科クリニック
院長 羽賀 貴博
三重県四日市市にある「四日市膝肩スポーツの整形外科クリニック」は、膝や肩を専門に、スポーツ障害にも対応する整形外科クリニックです。2024年に山本整形外科を継承し、地域の患者さんに寄り添った診療を続けています。診断から手術、術後のリハビリまで一貫して行える体制を整え、これまで改善が難しかった症状にも専門性の高い治療を提供しています。今回のインタビューでは、静かで穏やかな雰囲気の中にも熱意を秘める羽賀先生に、開業の経緯や診療のこだわり、地域医療への想いをじっくり伺いました。
—医師を目指されたきっかけはどんなものだったのでしょうか?
もともと両親が医師で、小さい頃からその背中を見ていたのは確かに影響していますね。 ただ、幼い頃から医師になりたいと思っていたわけではありません。高校3年生のとき、急に“やっぱり医学部を受けてみようかな”と考え始めて(笑)。 そのときはもう受験に間に合わなくて、浪人を経験しましたが、振り返ればその決断が今につながっています。
—地元でクリニックを継承されるまでの経緯を教えていただけますか?
四日市市は私が生まれ育った場所であり、医師としてのスタートも切った場所です。初期研修は市立四日市病院で行いました。 この北勢地区には、膝や肩を専門にしたクリニックはほとんどなくて、勤務医として患者さんを診ながら“この地域に専門施設があればもっと貢献できるのに”と感じていました。 最初は市外で開業を進めていたのですが、一度交渉が頓挫してしまい…。その後、薬局の方から山本整形外科を紹介していただき、継承という形で開院することができました。振り返ると、本当にご縁に恵まれたと思います。
—開院準備はスムーズに進みましたか?
お話をいただいたのが昨年の2月で、仮契約までに半年くらいかかりました。夏に仮契約を終えて、年末に本契約です。継承だからこそゼロからの開業よりはスムーズでしたね。 開業費用はゼロで、いわゆる“のれん代”という形でした。その代わり、賃貸契約の条件は通常より少し高めです。借入も必要なく、勤務医時代から大きなリスクなくスタートできたのは、継承の大きなメリットでした。
—先生のご専門と、クリニックの特徴を教えてください。
膝と肩が専門で、特にスポーツ整形外科を得意としています。 当院の最大の特徴は、クリニックとしては珍しく手術治療まで一貫して提供できることです。提携病院で私が手術を行い、術前・術後のリハビリは当院で対応します。 勤務医時代は、手術する医師とリハビリを診る医師が別々で、患者さんは行き来が大変でした。自分が診断して手術し、その後のリハビリまで関われる今のスタイルは、患者さんにとっても、私にとっても理想的です。
—日々の診療で大切にしていることは何でしょうか?
エビデンスに基づいた治療を行うことです。 患者さんには『治ったら来なくていいですよ』とよくお伝えします(笑)。 患者さんの希望に合わせて根拠の薄い治療をすることも、医療現場では時々ありますが、当院では基本的に行いません。 しっかり治して“卒業”していただくことが、一番の地域貢献だと思っています。
—どんな患者さんが多く来院されていますか?
膝や肩のスポーツ障害で困っている方が中心です。 ただ、整形外科なので首や腰の痛みなどの一般的な症状にも対応しています。専門クリニックだからといって、そうした患者さんをお断りすることはありません。 特に、他院に通っても改善しなかった方には、専門的な治療でお力になれることが多いです。
—スポーツ選手の診療で意識していることはありますか?
私自身、下手の横好きですがサッカーをずっとしてきました(笑)。 スポーツをする側の気持ちが分かるので、例えば前十字靭帯損傷で手術が必要な方でも、大事な大会や昇格試合がある場合は、できるだけスケジュールに配慮します。 単に治すだけでなく、その方の競技人生も考えた診療を心がけています。
—集患はどのように取り組んでいますか?
もともと山本整形外科に通っていた方が半分ほどですね。 エビデンスに沿った治療方針に変えたことで、以前の治療を希望されていた方は来られなくなったケースもあります。 ただ、“ここに行けば治る”という口コミが少しずつ広がり、新しい患者さんも来てくださっています。 派手な宣伝より、確実に治すことで自然に広がるのが理想ですね。
—最近導入して良かったシステムやサービスはありますか?
予約システムですね。 以前はリハビリ患者さんが予約なしで来られることもあり、待合室が混雑していました。 今は予約制でスムーズにご案内できるので、患者さんの待ち時間も減り、スタッフの負担も軽くなりました。医療DXは小さなクリニックこそ恩恵が大きいと感じます。
—スタッフ採用は順調でしょうか?
現状の患者数に対しては十分ですね。 ホームページやSNSで募集すると応募もありますし、新卒の学生さんから『見学に行ってもいいですか?』と問い合わせが来ることもあります。
—人材教育ではどんな工夫をされていますか?
誰が抜けても業務が滞らないように、マニュアルを徹底しています。 最初は口頭だけで伝えていましたが、どうしても差が出るので文章化しました。 今は各部署にコアスタッフがいて、意見を聞きながらマニュアルを随時更新しています。 学会への参加は基本的に全額補助し、学びたい人には積極的にチャンスを作るようにしています。
—経営者として心がけていることはありますか?
スタッフが働きやすい環境を作ることです。 人の入れ替わりは、労力的にも金銭的にも大きなコストですから。 福利厚生や学びのサポートは、結果的にクリニック全体の力になると思っています。 学会参加費用は基本的に全額補助しています。
—開業して大変だと感じたことは何でしょうか?
勤務医の頃より実働時間は確実に増えましたね。 午前の診療が終わったら急いで昼食を取り、提携病院で手術。その後、夕方の外来にギリギリ間に合う…そんな日もあります。 自分一人では調整しきれない部分もあり、今はそこが大変だと感じます。
—嬉しさややりがいを感じるのはどんなときですか?
『専門の先生に診てもらいたい』と言っていただけると本当に嬉しいですね。 継承前から顔を出していた頃に比べると、中高生のスポーツ障害の患者さんが増えたこともやりがいです。 勤務医時代には味わえなかった、“自分の専門を求めて来てくれる”喜びがあります。
—改めて、御院の経営理念を教えていただけますか?
クリニックを継承したときに、スタッフに3つの理念を伝えました。 1つ目は『膝と肩の領域で、この地域で一番信頼されるクリニックにする』こと。 2つ目は『アスリートファーストでスポーツ障害を治していく』こと。 3つ目は『手術も含めた特別な医療を提供できるクリニックにする』ことです。 スタッフ全員がこの方向を意識しながら動いてくれています。
—今後のクリニックの目標を教えてください。
2~3年後には、院内で入院や手術まで一貫して行える膝・肩の専門施設にしたいですね。 診断から手術、リハビリまで一つの流れで対応できれば、患者さんの負担は大きく減ります。
—開業を考えている先生に向けたアドバイスはありますか?
何か一つ“これ”という強みを持つことです。私にとっては膝と肩でした。 開業前にバイトでもいいのでクリニックに入り、院長の話をたくさん聞くといいと思います。 やってみないと分からないことは多いですが、準備をしておくと安心です。
Profile
院長 羽賀 貴博
羽賀先生は、勤務医時代に感じていた患者さんの不便さを解消するため、診断から手術、リハビリまでを一貫して担うクリニックを目指しています。スポーツを頑張る学生から一般の方まで、「ここに来れば治る」と思ってもらえる存在でありたいという想いが、静かな語り口の中にもはっきりと伝わってきました。四日市で膝や肩の痛み、スポーツ障害にお悩みの方にとって、このクリニックは安心して頼れる心強い味方となるはずです。