—さっそくですが、高木先生が医師を志されたきっかけについてお聞かせください。

周囲に医師が多かったという環境もあり、人の役に立てる仕事として、幼い頃から自然と医師になりたいと思っていました。特にいつからという明確な時期があったわけではなく、物心がついた時にはすでにそう考えていたと思います。

—勤務医として様々な病院でご経験を積まれてきた中で、ご開業を決意されたきっかけと、その経緯についてお聞かせください。

勤務医時代、総合病院、訪問診療や人間ドックのクリニックなど様々な場所で働きました。その経験を通じて、やはり自分が力を入れてきた予防医学に直結する内視鏡が、一番社会に貢献できることだと強く思いました。開業したほうが、予防医学の啓蒙活動を含め、自身の理想の医療を提供できると思い、開業を決意致しました。

—先生が目指す、患者さんに対する一貫した医療体制とはどのようなものですか？

診断から治療、そして専門性の高い病院への紹介までを、一人の医師が責任を持って完結させたいという思いが強くありました。自分の家族が病気にかかり治療が必要となったらこの先生に治療をお願いしたい、という先の紹介先までを考えた医療を提供したい。これが開業を決意した大きな理由です。

—高木先生の考える「経営理念」について、改めてお聞かせいただけますか？

私の理念は、「予防医学を世の中に広げ、病気で苦しむ人をなくし、世の中を幸せにする」ことです。私は「病気を未然に予防すること」ことにこそ、より大きな社会貢献とやりがいを感じています。消化器内科を選んだのも、胃がんや大腸がんで苦しんでいる人がいまだに多くおり、早期発見できれば完治できる病気であり、健康寿命をのばすことに最も貢献できる分野だと考えたからです。

—診療において、特に意識されている点や大切にされていることは何でしょうか？

私が卒業した大学の建学の精神に「病気を診ずして病人を診よ」という教えがあります。 病んでいる「臓器」のみを診るのではなく、その人そのものを診ることを大切にしようという教えです。
当院では専門的で高度な医療を提供することは当然のこと、人と人との繋がりを大切にし、心の通った医療を提供することを大切にしています。

—逆に、クリニック経営をされていて「嬉しい」「幸せ」を感じる瞬間はどのような時でしょうか？

当院を受診し検査を受けて頂き、早期発見・早期治療で、発見が遅れたら健康寿命が短くなっていたであろう病気が完治に繋がったケースなどでは、予防医学の重要性を再認識し、大きな喜びを感じます。当院のスタッフが上記の出来事に仕事のやりがいを感じてくれた瞬間が幸せと感じます。

—クリニックの理念やビジョンをスタッフに浸透させることに、苦労されている点もあると伺いました。

そうですね。クリニックの理念やミッション、つまり「何のためにこの仕事をしているのか」ということを、スタッフ全員が深く理解することが非常に重要だと考えています。 一緒に働いてくれている仲間と理念やミッションが共有されないと、働く意味を見失ってしまい、離職に繋がると考えています。

—新宿という激戦区でクリニックを成功させるための戦略について、お聞かせください。

東京都心での医療は競争が非常に厳しく、患者さんに選ばれるために、必要とされていることへの高い感度を持って経営に取り組まなければなりません。当院のウェブサイトも、SEO・MEO対策はもちろん、コンテンツも緻密に作り込み、毎月更新し続けています。自ら積極的に情報を発信し、予防医学の概念を広める啓蒙活動も、日本中から注目されている都心だからこそ可能だと考えています。

—開業されてから現在までで、患者さんの増加などで最も大変だったエピソードはありますか？

開業して3か月目くらいに、新型コロナウイルスの第7波で患者さんが一気に増えた時期が最も大変でした。スタッフの人数も少なかったため、その中でたくさんの患者さんに十分なサービスや満足してもらえる医療を提供するのには非常に苦労しました。

—今後のビジョンとして、中長期的にどのようなクリニックを目指していきたいとお考えですか？

将来的には、当院の理念・ミッションに賛同してくれる仲間と共に、分院を作りたいと考えています。ただ、人ありきなので、この人となら一緒に仕事をやっていきたいと思える人にであえればという考えです。

—最終的な夢についてお聞かせください。

最終的な夢は、私が開業した地域、四谷地区から「胃がんや大腸がんをほぼゼロにする」しにそれが全国に広がっていくことです。メディアでの情報発信にも力を入れ、予防医学の概念をさらに啓蒙し、予防医療を受ける人を増やしていきたいですね。

—これから開業を目指す若い医師の方々へ、高木先生からのアドバイスをお願いします。

医療だけでなく、クリニック経営は非常に多岐にわたる大変な仕事です。そのため、開業する前に、自分が「本当に何をやりたいのか」「どのようなクリニックを作りたいのか」ということを明確にすることが最も重要です。

—具体的に、どのような行動が大切になりますか？

多くの経験を積むことで、自分に合うもの、合わないものが見極められます。もし理想とするクリニックがあれば、そこで実際に働いてみることをお勧めします。内側から見たクリニックと外側から見たクリニックは全く異なります。経験したことが、必ず開業後の事業の柱になるはずです。