Interviewインタビュー

患者様第一主義を貫く「代々木駅前脳神経内科・内科クリニック」院長の信念

代々木駅前脳神経内科・内科クリニック

院長 松村 美由起

東京の代々木駅前に位置する「代々木駅前脳神経内科・内科クリニック」は、脳神経内科と内科を専門とし、特に認知症疾患医療センターの経験を持つ院長、松村美由起先生を中心に、地域医療に貢献されています。長年にわたり大学病院で培われた豊富な経験と、患者様一人ひとりに寄り添う丁寧な診療スタイルが評判を呼び、地域住民にとって心強い存在となっています。先生のキャリアの始まりから、患者様との感動的なエピソード、そしてクリニックの運営における哲学まで、松村先生の医療に対する熱い思いと、理想とする医療のあり方について詳しくお話を伺いました。

患者様と二人三脚で挑む認知症治療の最前線–「代々木駅前脳神経内科・内科クリニック」松村 美由起 院長インタビュー

医師を志した原点と揺るがないキャリアの軸

まずは、松村先生が医師を志されたきっかけや、ターニングポイントとなったエピソードがあれば教えていただけますか?

私の実家は医療系とは無縁で、身内に医者はいませんでした。小学校5、6年生の頃、当時お世話になった家庭科の先生がご病気が多く、母と一緒に通院や入院の付き添いをしたことが何度かありました。その中で、主治医と患者様との間に築かれる深い信頼関係を間近で見て、「これは本当に良い仕事だな」と思うようになったのが原点です。

大学病院での長年のご勤務から、クリニック開院という決断に至った理由は何でしょうか?

以前の職場が閉鎖となり、患者様を引き継ぐ必要が生じました。私の専門は認知症であり、都から指定された認知症疾患医療センターとしての業務が重要だったため、渋谷エリアを離れるわけにはいきませんでした。しかし、理想とする医療を提供できる場所が他に見つからなかったのです。

開院の最終的な決め手は何だったのでしょうか?

患者様から「開院しないの?」「いつ開院するの?」という熱いお声をたくさんいただいたことです。また、私は患者様に対して中途半端にせず、とことん向き合ってしまう性分で、そうした医療を許容してもらえる場所は他にはないだろうと考えました。患者様の要望と、認知症医療を深く追求したいという思いから、開院を決意しました。

認知症治療で大切にする「正解のない」寄り添い

先生がご専門の認知症治療で、特に効果的だと感じられている非薬物療法のアプローチがあれば教えていただけますか?

認知症の治療において、最も重要なのは「マニュアルがない」ということです。特定の「何々療法」というものはなく、患者様一人ひとりに合わせた治療が不可欠です。

患者様一人ひとりに合わせるために、どのような点を重視されているのでしょうか?

私たちが担うべき役割は、患者様がその病気とどう付き合い、どう生きていくのかという、その後の人生を支えることです。医学的な観点だけでなく、患者様の生活面、ご家族との関係性も含め、全てを考慮します。

治療におけるゴール設定はどのようにされていますか?

病を抱えながらでも、100%ではないかもしれませんが、その人らしく、思い通りに生きていくために何が必要かを追求します。「これさえやれば良い」という単純な領域ではないため、「正解がない」からこそ、患者様と常に向き合い、その都度アプローチを考えていく必要があります。

先生が医療を行う中で、最も喜びを感じる瞬間はどんな時ですか?

患者様が「良かった」「ホッとした」「安心できた」と喜んでくださる瞬間は、やはり私にとって一番の喜びです。

開院直後の多忙な日々、乗り越えるべき課題

開院から間もない頃、最も苦労されたエピソードがあればお聞かせください。

やはり「人」の問題と、「時間の確保」です。開院当初から以前の職場からの引き継ぎの患者様がすぐに来院されたため、通常のクリニックのような体制を整える時間が全くありませんでした。

人手不足の中で、具体的な業務の負担はどのようなものでしたか?

全職員が退職したため、全ての患者様に手紙を書く必要があり、開院後も夜な夜な以前の職場に行って、朝まで手紙を書き続ける日々が1ヶ月以上続きました。また、診察室で私自身が会計まで行っているため、どうしても待ち時間が長くなってしまいます。

待ち時間への対応以外に、診療面での課題はありますか?

脳神経内科は神経学的な所見を丁寧に取る必要があり、時間を要します。さらに、レントゲンやCT、骨密度測定などの検査も私自身が行っているため、他の診療科に比べて患者様一人にかかる時間が長くなってしまい、効率は悪いかもしれません。

クリニックの運営体制を安定させるために、今後取り組みたいことは何でしょうか?

安定した経営基盤の確保です。これは、職員に適切な給与を支払い、休みを取ってもらうため、そして何よりも患者様に必要な検査や治療の選択肢を増やすために必要不可欠です。

個人の枠を超えた、認知症の人々のための社会実現

そのような多忙な中でも、先生が今後クリニックで実現したいことは何でしょうか?

私は、患者様に必要な検査や治療の選択肢を増やしたいと考えています。クリニックを大きくしたり、分院展開をしたりする考えは全くなく、私の理念が薄れてしまう可能性が高いと考えているため、この場所で医療の質を高めていきたいです。

先生の医療に対する最終的な夢とは何でしょうか?

私自身のクリニックの範囲を超えて、認知症の人に対する社会の偏見をなくしたいというのが最大の夢です。認知症の人も、そうでない人も、それぞれに良いところもあれば、不十分なところもあるはずです。具体的に、認知症であるというだけで差別されたり、生活しづらい状況があったりする現状を打破し、誰もがバリアフリーな環境で生きられる社会を実現したいのです。私一人の力では難しいかもしれませんが、この目標に向かって、これからももがき続けていきたいと思っています。

Profile

院長 松村 美由起

松村美由起先生は、1988年に東京女子医科大学を卒業後、同大学神経内科に入局され、医学博士も取得されました。長年にわたり東京女子医科大学の神経内科医としてご活躍され、2006年からは東京女子医科大学附属成人医学センターにて講師を務められました。特に認知症の専門医として深く関わり、2016年には東京都地域連携型認知症疾患医療センター長、2021年には東京女子医科大学附属成人医学センター副所長を歴任されています。2025年、長年の経験と患者様への強い思いから「代々木駅前脳神経内科・内科クリニック」を開院され、院長に就任されました。大学病院時代から一貫して患者様第一主義を貫き、認知症の人が生きやすい社会を目指し、理想の医療を提供し続けていらっしゃいます。

会社情報

医院名

代々木駅前脳神経内科・内科クリニック

設立

2025年