医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
患者様一人ひとりの人生に寄り添う医療への想い
医療法人社団みぶな会 産科・婦人科 ひなたクリニック
院長 三橋 裕一
札幌市中央区に位置する【医療法人社団みぶな会 産科・婦人科ひなたクリニック】は、院長の三橋裕一先生を中心に、女性のライフステージ全般にわたる健康をサポートされています。不妊治療から妊婦健診、婦人科疾患の診療、そして最新のフェムテックを取り入れた美容医療まで、幅広いニーズに対応し、患者様一人ひとりに合わせた丁寧な医療を提供しています。 三橋先生は、「患者様自身の人生」に目を向けた診療を大切にし、地域に根差したクリニックを目指されています。本日は、医師を志したきっかけから、クリニック開業への想い、そして今後の展望まで、三橋先生の熱い想いを伺いました。
—三橋先生が医師を志されたきっかけについてお聞かせいただけますか?
高校2年生の頃に、親戚が医学部に進学したという話を聞き、「自分もなれるのではないか」と感じたのが直接的なきっかけでした。実は、それまでは医療の道に進むことは考えていなかったのですが、身近な人が医師の道を選んだことが、自分自身の可能性に気づかせてくれました。
—数ある診療科の中で、産科・婦人科を選ばれたのはなぜでしょうか?
もともと外科系の、手術ができる科に進みたいと考えていました。一般外科と産婦人科で迷ったのですが、産婦人科は「おめでとう」と言われる唯一の科であり、出産という喜ばしい場面に立ち会えることに魅力を感じました。出産から年配の方のケアまで、幅広い診療ができるという点も決め手になりました。
—診療において、日頃から意識されていること、大切にされているポリシーは何でしょうか?
まず一つは、患者様になるべく専門用語を使わず、わかりやすい言葉で説明することです。そしてもう一つ、恩師に教えていただいた「病気を診るのではなく、患者さんそのものを見なさい」という言葉を大切にしています。患者様ご自身の状態や背景を含めて、全体として向き合うことを常に心がけています。
—産婦人科医として特にやりがいを感じるのはどのような瞬間ですか?
他の病院に行ってもなかなか妊娠できなかった患者様が、当院に来てくださり、ようやく妊娠して無事に出産に至るというのを見たときが、一番「この仕事をしていてよかった」と感じる瞬間です。
—開業されたのは、何か特別な理由があったのでしょうか?
大学病院などで勤務していた頃から、いつかは自分でクリニックを開業したいという想いをずっと持っていました。北海道に来たのも、開業することを前提としていたからです。当時は研修制度が変わる時期で、大学からの要請もありましたが、自分の計画を進めたいという気持ちから、東京ではなく札幌に来ることを決めました。
—クリニック名「ひなたクリニック」に込められた想いを教えてください。
「女性のひなたになれる」という意味合いで名付けました。女性にとって、明るく温かい場所、そして希望を持てるようなクリニックでありたいという願いが込められています。
—開業当初から導入されていた、先進的な取り組みはありますか?
当時としてはまだ珍しかったのですが、患者様の利便性を考慮して、予約システムやクレジットカード決済を、開業当初から導入していました。患者様にとって、少しでも便利で来やすいクリニックにしたいという思いで、これらのシステムを採り入れました。
—これまで18年間クリニックを経営される中で、現在、最も大きな課題と感じていることは何でしょうか?
現在の大きな課題は、診療報酬の減額です。同じこと、同じ数の患者様に対して医療を提供しても、前年度並みの収益が得られず、経営的に厳しい状況にあります。
—人材確保の面で、何か課題を感じることはありますか?
人材の採用と定着は、長年の課題であり、今も非常に悩ましい問題です。特に当院のように女性スタッフだけの職場では、人間関係のトラブルなどもあり、開業当初のスタッフは残念ながら今は残っていません。また、美容クリニックなど、より高い給与を提示する職場に流れてしまう看護師もいます。
—経営的な課題を乗り越えるため、今後力を入れていきたいことは何でしょうか?
今後は、保険診療だけでは難しいため、自費診療の分野に力を入れていきたいと考えています。特に、フェムテック(Femtech)という、女性の健康課題をテクノロジーで解決する分野です。医療レーザー脱毛や膣のケアなど、女性のための様々な医療サービスを安定して提供できる体制を整えていきます。
—脱毛施術では、どのような層の患者様が増えていますか?
若い方だけでなく、40代や50代の「脱毛難民」と言われる方々が多く来院されています。婦人科のクリニックで、「通いやすい海王脱毛」として提供しているため、今までエステなどでは敷居が高かったり、効果が得られなかった方が多く来てくださっています。
—先生は、今後どのようなクリニックにしていきたいというビジョンをお持ちですか?
現在の産婦人科としての役割を維持しつつ、フェムテックの分野を成長させて、安定した経営基盤を確立したいと考えています。長期的には、女性だけでなく、そのパートナーの男性も一緒に来院できるような、男女の秘めた悩みを解決できるようなクリニックを同じエリア内に作るという夢もあります。
—最後に、開業を迷っている医師や、現在困難な状況にある先生方にメッセージをお願いします。
自分で開業すると、自分の好きなように医療を提供できるようになります。組織に縛られず、小規模であっても、患者様にとって最善の医療を追求できる。そして、その結果として患者様からいただく喜びは、非常に大きなものです。「自分自身でやってみたい」という気持ちが少しでもあるなら、ぜひチャレンジしてほしいと思っています。
Profile
院長 三橋 裕一
福島県会津若松市出身。1994年に昭和大学医学部を卒業され、1998年に昭和大学大学院を卒業されています。昭和大学病院、亀田総合病院、千葉西総合病院、せんぽ東京高輪病院、牧田総合病院(医長)、大和徳洲会病院(部長)など、数々の病院で経験を積まれました。その後、2004年に札幌マタニティ・ウイメンズホスピタルでの勤務を経て、2007年に札幌の地に【産科・婦人科 ひなたクリニック】を開設。開業医として、地域に密着した医療を提供し続けています。患者様への「満足だけでなく、感動を」持ち帰っていただくことを理念とし、プライバシーを重視した温かい診療を心掛けています。