なぜ、訪問診療という形で地域医療に貢献するのか?仙台みやぎの訪問クリニック 院長 川村 雄剛 先生に聞く、医師としての信念と挑戦
2025.10.01
「一生、診療現場に立ち続けたい」地域医療と技術研鑽に捧げる情熱
水の森整形外科クリニック
院長 佐藤 研友
宮城県仙台市青葉区にある「水の森整形外科クリニック」。院長の佐藤 研友先生は、整形外科で一般的とされる「手術」という選択肢だけでなく、超音波(エコー)を用いた緻密な診断と針を使った「ハイドロリリース」などの保存療法を組み合わせ、患者さんの痛みと向き合っています。 佐藤先生が診療の軸に据えているのは、単に患部の形を整えることではなく、患者さんが再び自分の足で歩き日常生活を取り戻すための「運動機能の回復」です。勤務医時代の経験を経て、なぜ現在の「切らない診療スタイル」を選んだのか?そして、故郷である仙台の地で理想の医療を形にした想いとは?水の森整形外科クリニックの佐藤 研友院長に、これまでの歩みと診療への思いを伺いました。
—さっそくですが、佐藤先生が医師を志したきっかけについて教えてください。
私の父が内科医をしていたこともあり、幼少期から健康や医療が身近な存在であったことは間違いありません。父からは「跡を継げ」とは言われず自由に生きろと背中を押されましたが、進路を考える時期に自分の学力と「健康に貢献したい」という価値観を照らし合わせた結果、自然と医学部を目指すことになりました。
—数ある診療科の中で、なぜ整形外科を選ばれたのですか?
父と同じ内科も見ていましたが、内科は延命や管理が主眼に置かれることが多いと感じました。一方で私は「動けなくなった人が、再び自分の足で元気に歩けるようになる」という運動機能の回復に強いやりがいを見出したのです。自分のリソースを注ぐなら、人が元気に生きるためのサポートができる整形外科だと思いこの道を選びました。
—佐藤先生にとって、理想とする医療の形とはどのようなものでしょうか?
生きている以上、元気に歩きたいし活発に活動したいですよね。そういった「元気に生きる」という部分に自分の医療リソースを使いたいと考えています。その想いは、今の「切らずに治す」というクリニックのコンセプトにも繋がっています。
—以前は手術をメインに活動されていたとお聞きしました。
はい。勤務医時代は脊椎手術をはじめ、かなりガッチリと手術に打ち込み、幅広い分野を手掛けてきました。しかし、現場で働くうちに一つの大きな「ギャップ」を感じるようになったのです。整形外科医は手術で治すことに誇りを持っていますが、外来に来る多くの患者様は「できれば手術せずに治したい」と願っています。この需要と供給のズレは、お互いにとってストレスになると感じました。
—そのギャップを埋める解決策が「エコー」だったのですね。
その通りです。従来の保存療法には限界を感じていた時、超音波(エコー)を用いて診断・治療を行う手法に出会いました。これを使ってミリ単位で患部を特定し、針を進める「ハイドロリリース」などの処置を行うと、目の前で患者様の痛みが取れ可動域が劇的に改善します。これこそが、手術を望まない患者様が本当に求めていた医療だと確信しました。
—なぜ大きな病院ではなく、あえて「クリニック」を開業されたのですか?
大きな病院では「手術」が経営の軸となり、手間のかかるエコー診療のような保存療法は敬遠されがちな側面があります。それならば自分の理想とするエコー診療を突き詰め、それを支えるスタッフを育てられる環境を自ら作ろうと考え独立を決意しました。
—場所を仙台に選ばれた理由を教えてください。
自分が生まれ育った思入れのある場所だからです。勤務医時代は岩手県など各地を回りましたが、開業するならやはり馴染みのある仙台で、地域の皆様に貢献したいという想いがありました。
—診療において、特に意識されていることはありますか?
意外に思われるかもしれませんが、一番は「業務効率」です。当院には非常に多くの患者様がいらっしゃいます。一人ひとりに時間をかけすぎて、溢れた方に「今日は帰ってください」とは、やはり言いたくないです。限られた時間の中で、最大限多くの方に質の高い医療を提供するために的確な診断と処置をスピーディーに行うことを大切にしています。
—患者様との関わり方で大切にされているポイントは何ですか?
私は「患者様に寄り添います」といった情緒的な言葉を売りにはしていません。むしろ、技術を磨きその技術で患者様を「本気で治す」ことに真摯に取り組むのが私のスタイルです。また、患者様自身の「治そうとする力」も必要だと考えており、二人三脚で改善を目指す姿勢を大切にしています。
—「ドクターショッピング」で悩まれている患者様も多いとお聞きします
そうですね、あちこち回っても治らずに来院される方は多いです。そういった場合、ゼロから調べ直すよりも紹介状や過去の資料を持ってきていただくようお伝えしています。情報を整理した上で効率よくアプローチすることで、より早くより多くの患者様を救うことができると考えています。
—リハビリテーションの重要性についてはどのようにお考えですか?
当院ではリハビリもかなり充実させています。エコー処置で一時的に痛みが取れても、身体の使い方が変わらなければ再発します。場所もしっかり確保し理学療法士がしっかりと介入することで、患者様の満足度と治療効果の両立を目指しています。
—スタッフ教育や経営において大切にしていることは何ですか?
スタッフが「新しい技術を身につける楽しさ」を感じてほしいと思っています。理学療法士などが新しい学びを得たいという場合は、クリニックの費用で支援するなどスキルアップを惜しみなく応援しています。活き活きと働いているスタッフこそが、クリニックの質を高めてくれると信じているからです。
—佐藤先生の、今後の夢やビジョンを教えてください。
多店舗展開などには興味がなく、私は一生「診療バカ」でありたいですね(笑)。この場所で、80歳になっても現役で、技術を研鑽し続けたいです。昨日より今日、今日より明日、より高い精度で患者様を治せるようになることが、私の目指すゴールです。
—最後に、これから開業を目指す医師へメッセージをお願いします。
まずは「明確なコンセプト」を練り上げることです。これがブレなければ経営も診療もまっすぐ突き進めます。また、資金面では「借りられるだけ借りておく」のも一つの戦略かもしれません。余裕があれば、不測の事態にも対応できますし、より良い医療機器に投資して患者様に還元することも可能になります。
Profile
院長 佐藤 研友
2004年に自治医科大学を卒業し、仙台医療センターで研修を開始。その後、涌谷町国保病院の整形外科科長や気仙沼市立病院、盛岡医療センターの整形外科医長などを歴任。長年、脊椎手術を中心とした高度な外科治療に携わる中で、患者さんの「手術をせずに治したい」という切実な願いを実感する。 2019年からはフリーランスの医師として石巻市立病院や仙台ペインクリニックなど、宮城県内各地の医療機関で専門外来や手術を担当。幅広い臨床経験を積む中でエコーを用いた保存療法の可能性を確信し、2022年4月生まれ育った仙台の地に「水の森整形外科クリニック」を開院。専門医としての経験とエコー技術を組み合わせ、地域の方々の健康を支えている。