医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
さわらクリニック三本木良紀院長が語る、心まで晴れる開放的な空間で取り組む「相談しやすい」医療
さわらクリニック
院長 三本木 良紀
福岡市早良区小田部の「さわらクリニック」。明るく開放的な待合室に一歩足を踏み入れると、そこが病院であることを忘れてしまうような穏やかな空気が流れています。院長を務めるのは、脳神経内科の分野で豊富なキャリアを持つ三本木良紀先生です。 三本木院長は、これまで救急医療や高度なカテーテル治療の最前線で多くの命を救ってきました。しかし、開業にあたって彼が掲げたテーマは「通いやすさ」と「予防」です。今回は「さわらクリニック」三本木院長に開業のきっかけから内装へのこだわり、そしてこれからのビジョンなどお話を伺いました。
—さっそくですが、三本木先生が医師を志したきっかけについて教えてください。
代々医者の家系だったわけではなく、ごく普通の家庭で育ちました。そして進路を決める際に「親族に一人くらいお医者さんがいたほうが家族や身内に何かあった時に心強いかな」という素朴な動機から医学の道を選びました。特別なドラマはありませんが、その分、患者さんの家族としての視点も大切にできていると思います。
—開業にあたって、早良区小田部という場所を選ばれたのはなぜでしょうか?
生活圏内である地元に近いこの場所で医療貢献をしたいという思いが強くありました。物件探しには2年以上という長い時間を費やしましたが、立地や環境には妥協したくなかったんです。粘り強く探した結果、ようやくこの場所で良いご縁に恵まれ開業することができました。
—開業にあたって、どのようなクリニックにしたいと考えましたか?
病院という場所は、どうしても「怖い」「行きたくない」と思われやすく、好んで来る場所ではありませんよね。だからこそ、私はそのイメージを払拭し、少しでも患者さんの気持ちが晴れるような開放感のある雰囲気にしたいと考えました。内装の設計段階から従来の病院らしさを抑え、リラックスできる空間を目指しました。
—待合室の天井が高く、とても明るいのが印象的です。
そこは設計における一番のこだわりポイントです。天井を高く設定し、外からの光がたっぷりと差し込むような窓の配置にしています。明るい光が入ることで、診察を待つ間の不安な気持ちが少しでも和らぎ、心穏やかに過ごしていただければ嬉しいですね。
—内装の色使いも優しい雰囲気ですね。
壁紙にパステルカラーを採用するなど、視覚的にもリラックスできるトーンで統一しました。空間が閉鎖的になると、どうしても緊張感が高まってしまいますので、なるべく明るく圧迫感のないデザインを心がけました。病院らしくない居心地の良さを感じていただけると思います。
—スタッフの方々の対応も丁寧で、安心感があるようですね。
医療は専門的な技術の提供であると同時に、サービス業としての一面も非常に大きいと考えています。そのため、スタッフには他の接客業と同じように「接遇」を大切にするよう常に伝えています。技術だけでなく立ち振る舞いや言葉遣いを含めて、患者さんが安心して体を預けられる環境を整えることが私の責任です。
—「さわらクリニック」では、どのような症状の患者さんが多いのでしょうか?
脳神経の分野でいえば、圧倒的に多いのは「頭痛」でお悩みの方です。日常的な痛みから急に起こった痛みまで幅広く相談をいただきます。そのほか、ご自身やご家族の「物忘れ」が気になり始めた方の相談や、めまい、ふらつきといった症状で来院される方も多くいらっしゃいます。
—診察で大切にされていることは何ですか?
何よりも一人ひとりの患者さんにしっかりと時間をかけ、丁寧にお話を「聴く」ことを最優先にしています。症状だけを見るのではなく患者さんが何を望んでいるのか、例えばお薬での解決を求めているのか、あるいは生活改善のアドバイスが欲しいのかといった個々の希望を汲み取り、対話を通じた治療提案を行うよう努めています。
—待ち時間への配慮など工夫していることはありますか?
丁寧な診察と待ち時間の短縮の両立は永遠の課題です。当院ではシステム面を効率化し、私が診察に集中できるよう、事務的な作業は可能な限り他のスタッフに任せる体制を整えました。これにより、医師が患者さんと向き合う時間を十分に確保しながらも、全体の待ち時間を最小限に抑える工夫をしています。
—今後の目標やビジョンについて教えてください。
一番の理想は派手な広告を出さなくても、実際に足を運んでくださった患者さんの「口コミ」だけで信頼の輪が広がっていくことです。一人ひとりの診察に誠実に向き合い、その結果として「あそこなら安心だ」という評価をいただくことが地域医療を支える一番の力になると信じています。
—将来的な展開として考えていることはありますか?
クリニックが地域に定着し、さらに多くの患者さんに頼っていただけるようになれば、医師の増員や診察室のさらなる有効活用を考えていきたいです。さらに先の話になりますが、今の医療体制をより広めるために分院の設立などもビジョンの一つとしてぼんやりとですが描き始めています。
—最後に、これから開業を目指す先生へメッセージやアドバイスをお願いします。
すべてを自分一人でやるのは相当なエネルギーが必要です。私はコスト削減のために土地探しから機器選定、ホームページ制作まで自分でやりましたが、勤務医を続けながらだと時間が圧倒的に足りなくなります。そのため「これだけはプロに任せる」という線引きをご自身の状況に合わせて判断することが、スムーズな開業への近道だと思います。
Profile
院長 三本木 良紀
さわらクリニック三本木良紀院長が語る、心まで晴れる開放的な空間で取り組む「相談しやすい」医療九州大学病院や福岡赤十字病院、小倉記念病院脳神経外科など県内屈指の医療機関で研鑽を積む。2015年には福岡赤十字病院のHCU(高度治療室)副部長に就任し、その実績から「名医のいる病院2018 西日本編」や「福岡の頼れるお医者さん 2022」にも選出。2021年より森高クリニック副院長を務めた後、2026年4月福岡市早良区に「さわらクリニック」を開業。専門である内科・脳神経内科の知識を活かし、地域住民の健康を守る「かかりつけ医」として活動している。